Ultimate Rondo

アトリエシリーズとゲーム音楽とその他いろいろ

新シリーズ、ナンバリングタイトル、そしてスマートフォン。「レスレリアーナのアトリエ」について色々語ってみる

2023年8月8日の生放送にて、アトリエ最新作「レスレリアーナのアトリエ ~忘れられた錬金術と極夜の解放者~」が発表されました!

レスレリアーナのアトリエ ~忘れられた錬金術と極夜の解放者~

「アトリエ」シリーズ新作発表会 - YouTube

『レスレリアーナのアトリエ』発表記念 ガスト×Team NINJA×アカツキゲームスインタビュー。“プロジェクトA25”を冠するスマホ向けシリーズ正統新作で、さらなる飛躍を目指す | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

色々と驚きがあった発表でしたが、記憶の新しいうちに色々と語っていきたいと思います。

なお私は普段スマートフォンゲームをほとんどプレイせず、まともにプレイしたのは「アトリエオンライン」と、アトリエシリーズ作曲者の阿知波さん・柳川さん・矢野さんが音楽を担当された繋がりでプレイした「マナシスリフレイン」くらいです。そのためスマートフォンゲームについては色々と知識不足や未プレイ者の感想が入りますがご了承ください。

公式略称は「レスレリ」らしいですが、正直ダサい…のでしばらく私は「レスナ」と呼んでいこうと思います。

スマートフォンで新シリーズ!?

今作はスマートフォンゲームでありながら、秘密シリーズに続く4年ぶりの新シリーズと紹介され、PVには「Project A25」(ナンバリングタイトルの25作目)の表示があります。これが「アトリエオンライン」との最大の違いだと思います。

生放送でいきなりPVが流れたときには、「事前登録受付中」の文字が出るまでコンシューマの新シリーズだと思っていました。「Project A25」というナンバリングタイトル新作を思わせる表示もそうですが、

  • 秘密シリーズや「ソフィー2」を正統進化させたような風景や建物のグラフィック
  • アーランドや不思議シリーズのような従来のアトリエに近い雰囲気のキャラクター
  • 見覚えのある敵キャラたち

など、まさに新シリーズが来た!とワクワクしました。私はコンシューマのアトリエが好きなので、「事前登録受付中」の瞬間には正直がっかりしました。

ただ今回のシリーズ(何シリーズになるんでしょう?極夜シリーズ?)がスマホゲームでずっと出続けるかは分からなくて、「レスナ」のサービスが続いている状態で2作目3作目のスマホゲームが出るってあまり想像できないんですよね。

  • アトリエオンラインのアプリ名が新シーズン開始時に「アトリエオンライン2」になったように(?)、同一アプリ・同一サービスにコンテンツを追加していくことで実質的な続編とする

ということも考えられますが、

  • 「ブルーリフレクション」シリーズ(順番は逆ですが)のように、「レスナ」と世界観を同じくした続編としてコンシューマ作品が制作される

という可能性も十分あると思います。

一応「シェルノサージュ」のように後にオフライン版が出たという前例もあって、個人的にはそれが一番熱いのですが、今作のゲームシステムの性質上なさそうですね…。

世界観や雰囲気は、まさしくアトリエ

今回の生放送で発表された範囲の情報やグラフィックを見ると、世界観や雰囲気に関してはまさしくアトリエらしいと思いました。秘密シリーズより遥かに「安心できるアトリエ」感があります。アトリエ初代ディレクターの吉池さんが監修として関わっていることもありますが、私のような従来作プレイヤーがスマホゲームに持つ抵抗をなんとか減らそうとしているのか、直球で典型的なアトリエらしさを目指しているように感じました。

そのため世界観の描写やストーリー、キャラクターについては安心して楽しめそうだなと思いました。

星がテーマというのも良いですね!これまでのアトリエ作品でも、アイテム、フィールド、楽曲名など様々なもののモチーフとなってきましたが、世界観とストーリーにがっつり関わってくるのは意外と珍しいと思います。

音楽も、PVで流れていた楽曲は6/8拍子+アコースティック+笛の王道アトリエサウンドという感じで、逆に作曲者が当てづらいほどです。第一印象がちょっと矢野さんっぽかったんですけど何でかは自分でも分かりません…。新規参加の方がアトリエサウンドに寄せて作られている可能性もあるので、作曲者さんについては何とも言えないです。今後の情報を待ちたいところです…そしてサントラは絶対出してください!お願いします!

ゲームシステムには期待していない

一方で生放送中に表示されたメニュー画面は、典型的な「ザ・スマホゲー」という感じです。スタミナ、ガチャ、課金石、ミッション、とステレオタイプもいいところです。スマホゲームの会社が入って作っているならまあそうなるよなと。

ガチャが話題になりがちですが、私が一番見たくなかったのはスタミナの表示です。生放送でシステム面は全く触れられていなかったのですが、Google Playのスクリーンショットには探索地に入る時にスタミナを消費するような表示があり、スタミナが切れると満足に採取もできなそうに見えます。

アトリエシリーズの醍醐味であるアイテムの作り込みも、そもそもできないか、相当課金しないと満足に進められないかの2択でしょう。極論、自分のペースで好きなだけ遊べるなら「マリー」くらいの調合システムでも私は良いのです。しかしそこにスタミナやら超低確率レア素材やらが入った時点で「自分のペースで好きなだけ」という前提が崩れ去ります。

せめてストーリーを楽しむだけならストレスなく遊べると良いなと思っていますが、「アトリエオンライン」でせめてストーリーだけでもと思ってあまりの面倒臭さに諦めた記憶があり、さらに今作はスタミナ制というなら尚更期待できないです。「ストーリー進めたい→ボスに勝てない→装備やアイテムを作ろう」という過程は、アトリエの醍醐味であり楽しいところのはずです。でもそのためには◯時間ごとにスタミナ貯めて採取してを繰り返し、低確率のレア素材を集めないといけない。足りなかったらまた◯時間後にやり直し。気持ちがどんどん冷めます。「マナシスリフレイン」はその点良かったんですよね、スタミナ制なしで好きなだけ遊べたしストーリーはすぐに楽しめたので。

私が普段スマホゲームをやらない理由にも繋がるのですが、そもそもコンシューマとスマホゲームはプレイ体験として全く別物だと思っていて、何ならゲームとアニメくらい違うと私は感じています。システムをどんどん快適にして、ストレスなく好きなだけ遊べるように進化し工夫してくれているのがコンシューマのアトリエなのであれば、実時間の制約・莫大な必要アイテム数・期間限定・超低確率やら何やらでフラストレーションを与え、我慢するかお金を払うかの2択を迫り続ける、それがスマホゲームです。私が「ソフィー2」で「快適だ!素晴らしい進化だ!」と言っていたようなこととは完全に逆行するでしょう(そうしないと儲からないからね)。

同じお金を払うにしても、「作品に払う」のか「アイテム(あるいはアイテムが出るかもしれないガチャ)に払う」のかでは全く感覚が違います。ストーリー、グラフィック、システム、ボイス、音楽、地味で細かい改善、作品愛と遊び心、その他諸々を注ぎ込んでゲーム作品として作り上げてくれたことに感謝して対価を払いたいのであって、フラストレーション解消、所有欲、ギャンブル体験にお金を払うスマホゲームの課金にそういう感覚は一切ありません。なのでゲームソフト代だと思って課金して快適さを享受すれば良いという話ではないし、その快適さはあくまで一時的です。最近のスマホゲーム情勢では絶対にあり得ないでしょうが、「Nintendo Switch Online」などのようにゲームソフト代と月額のオンラインプレイ料を払って好きなだけ遊べるならそちらのほうが遥かに良いくらいです。

またオンラインゲームである以上、いつかは遊べなくなります。そして最近のスマホゲーム情勢を見ていると、正直サービス期間はそう長くはないでしょう。私は「トトリ」発売くらいの時にアトリエシリーズを知ったので、それ以前のナンバリングタイトルやDS作品は後追いで全てプレイしましたし、今でも20年くらい前のアトリエ作品を起動して遊ぶことがありますが、そういう遊び方が根本的にできないわけです。これはとても寂しいことです。

改めて箇条書きで、私が懸念していることをまとめます。

  • 実時間の制約を受けるスタミナ制により、調合と採取を繰り返してアイテムを作り込んでいくプレイ体験がブツ切りになり、熱中して楽しめない
  • 基本プレイ無料・アイテム課金制のゲームの傾向として、長期間のプレイ継続や課金を促すため、ストーリー進行やキャラ強化に必要なアイテムが大量または入手困難に設定され、ゲームそのものが不親切になるように設計されている可能性が高い
  • 素晴らしいゲームやコンテンツに対してなら喜んで対価を払いたいが、意図的に設計された不親切さを解消するための対価は払いたくない
  • サービス終了してしまうと振り返って遊ぶことが出来ず、それ以降にアトリエを知った人が後追いで遊ぶことができない

これらの点は、スマホゲームである時点で最初から期待はしていないし、そもそも根本的に違うものだと思っているので、自分が楽しめる範囲で楽しめればいいと思っています。今作の悪いところを指摘しているわけではなく、そもそもスマホゲームの常識はそういうもので、私がアトリエシリーズのシステムに求める点がそれらと根本的に相容れないから、私はそこには期待していないということです。私の求める「自由に快適に好きなだけ遊べるアトリエ」を基本プレイ無料で出したらそりゃ儲からない。

まだゲームシステムはほとんど情報がないので、あくまで現時点で公開されている僅かな情報からの予想です。とはいえアトリエ作品でスタミナ制の画面を見せられただけで、私が期待を失うには十分すぎました。良い方向に裏切るなら裏切って欲しい。

今後のアトリエはどうなる

新シリーズ、ナンバリングタイトル、そしてそれがスマートフォンゲームだったということで、気になるのは今後のアトリエがどうなるかです。「アトリエシリーズ」というものを様々な方面に展開するのは喜ばしいことだとして、個人的にはコンシューマの完全新作をこれからも出し続けて欲しいというか、正直それが完全になくなるとアトリエシリーズを追っている意味が私の中ではなくなります。

インタビューで「当然のことながらコンシューマーでも引き続き『アトリエ』シリーズは展開していきますので」と語られているのでそれを信じていますが、気になるのは発売頻度や質への影響です。

今回ゲームシステムの開発は(典型的なスマホゲーのシステムだし)アカツキゲームスが主体だろうと思っていて、キャラの3Dグラフィックはコーエーテクモ内の別ブランドであるTeam NINJAが主に手掛けています。じゃあ元々コンシューマのアトリエを作っている人たちのリソースはあまり取られていないのかな?というのも思いますが、風景や建物のグラフィックがかなり従来のアトリエっぽいのでそこには人が入ってそうな気がするんですよね。アニメとかは増えたところでゲームの開発リソースは多分取られないんでどんどんやってくれ!という気持ちだったんですが、今回に関してはコンシューマの開発が遅くなったり作品のクオリティが下がったりする可能性があるのは嫌だなと。

これまでのアトリエで調合や戦闘などのコアシステムを作ってくれていた人たちがちゃんと残って、素晴らしいコンシューマ作品を作り続けてくれることを願うばかりです。逆にそれが叶うなら、私が楽しめない分野であってもアトリエが展開していくのは喜ばしいと思います。

「レスナ」の世界観がとても好きなのでこのシリーズの2作目としてコンシューマ作品というのが個人的には一番嬉しいんですけど…どうなるでしょうね。

おわりに

色々書きましたが、やはり新作発表というのは嬉しいものです。その上で、私から見た今作の明確に期待できるところ、明確に期待できないところを書き連ねてきました。良い意味で期待を裏切ってくれれば嬉しいですが、それはそれで"基本プレイ無料"のゲームとしてはきっと立ち行かなくなるでしょうから。楽しめるところだけ楽しんで、楽しめなくなったら辞めます。そういうものだと思っています。

スマホゲームはスマホゲームとして、コンシューマゲームはコンシューマゲームとして、それぞれのスタイルの良さを存分に発揮した作品を作り続けてほしいと思います。

「レスナ」の今後の情報、そしていずれ来ると信じているコンシューマ作品の新作発表を楽しみにしています。お読みいただきありがとうございました!