Ultimate Rondo

アトリエシリーズとゲーム音楽とその他いろいろ

開発者インタビューから読み解く、今後のアトリエシリーズはどうなっていくのか?

最近のアトリエシリーズでは、ゲーム雑誌やWebメディアで開発陣インタビューが掲載されることが恒例になっています。私は元々インタビューを読むのが好きですが、「レスレリアーナ」の発表以降は特に注視するようになっています。それはゲーム性の大きく異なる作品が正統新作扱いで展開されたことで、今後のアトリエシリーズの展開時期・ゲーム内容についての不確実性が一気に増しているからです。

この記事では「レスレリアーナ」発表から半周年までのインタビュー内容から私が気になっている部分を読み解き、アトリエシリーズの中で開発陣が「レスレリアーナ」をどう捉えているのか、そして今後のアトリエシリーズがどうなっていくかを考えていきたいと思います。その上で私の希望・願望も語っていきます。

※(2024/04/26追記)本記事は4月13日に初版公開しましたが、今月の「レスレリアーナ」の展開内容(特に過去作キャラの扱い)を受け、少し厳し目のニュアンスに記載変更しました。安心するのは早かったですね。

※(2024/06/29追記)本記事の内容が拡大解釈された上に、まるで運営陣の見解の情報ソースであるかのように本記事が広められた酷い事例を見たため、同様のことが繰り返された場合に備えて念の為記載しておきます。本記事はインタビューに対する私の解釈・願望を述べたものであり、それをさらに拡大解釈すること自体は個人の自由ですが、運営陣の見解の根拠となるものでは決してありません。(そもそも元記事の公式インタビューのみがソースとして扱われるべきで、ただのプレイヤーのブログ記事をソースと呼ぶことがおかしいです)思い込みを論じて回るのは勝手ですが私を巻き込まないでください。

サービス開始前(2023年8月頃)

サービス開始前のインタビューです。特にファミ通の方はレスレリアーナ発表当日に公開されたため、確実にユーザーの反応を見る前に録られたものです(4Gamerの方は不明)。

3度目のスマホゲームに挑戦した理由、共同開発チーム結成の経緯、A25を冠する正統新作として扱うことなどが語られました。また過去作キャラが登場することはまだ「匂わせ」の段階だったので、気づいてほしいというアピールも感じます。

発表当日の生放送の時点で強いアピールポイントとなっていたグラフィックの品質だけでなく、生放送ではほとんど触れられなかったシステム面についても高い自信が見えています。ファミ通では次のように語られています。

(インタビュアー)続いて、システムについて伺います。採取、調合、戦闘といった『アトリエ』シリーズらしい要素はすべて盛り込まれていると考えてよいでしょうか。

(細井P)はい。調合など『アトリエ』シリーズの要素は、きちんとスマートフォン向けに最適化しています。

(山口P)『アトリエ』シリーズでもっとも重要な要素として、ゲームサイクルの中にしっかり取り入れています。これまで『アトリエ』シリーズに触れたことがない方でもプレイできるように手軽さを意識しつつ、やり込みたい方はガッツリ遊んでいただける仕様にしています。

(作田P)スマートフォン向けゲームでありつつ、『アトリエ』シリーズらしいゲームシステムにするために、何度か作り直しながら検討を重ねましたが、なかなかいい形にできたんじゃないかと自負しています。

また4Gamerでも次のように語られています。

  • おそらく,ファンの皆さんがイメージする「アトリエ」シリーズのプレイ感と大きくは変わらないはずです。
  • また当然のことながら,「アトリエ」シリーズらしく,アイテムの価値を担保したバトルシステムになっているので,プレイ感に関してもコンシューマゲームとあまり変わらないかと思います。
  • 「アトリエ」シリーズとしてはもちろん,RPGとしてもこだわり抜いたタイトルですので,そこは実感していただけると思っています。

実際にプレイした今、私が求めるアトリエ正統新作の基準で言えば全てが誇大広告なのですが、サービス開始前はこれだけのことを言っていたわけです。このインタビュー内容と実物との落差が、私が「レスレリアーナ」に失望した最大の原因です。

その一方で、コンシューマでも引き続きアトリエシリーズを展開していくということはこの頃から言及されていて、それは1つの安心材料でした。そのゲーム内容が「レスレリアーナ」の方向性に引っ張られないかという点が不安でした。

サービス開始後2ヶ月程度(2023年12月頭)

課金やガチャ等のスマホゲームとしての問題、アトリエ従来作と比較したゲーム完成度の問題、そして広報や運営に関わる問題など、まあ色々ありました。私は対応スマホを持っていなかったのでSteam待ちでしたが、調合の薄っぺらさ、爆弾の弱さと使い勝手の悪さ、重要オリジナルキャラであるイザナロマン未実装、などの情報を得て既に諦め気分でした。

問題だけではなくグラフィックやストーリーなどポジティブな面の評価もあり、実際にサービスが開始されてプレイヤーが増えてからは、プレイヤー間でも「ガチャゲーとしての楽しさを求める人」「推しの過去作キャラの登場を求める人」「アトリエ正統新作としてのシステム完成度を求めていた人」など多方面からの異なる意見が出るようになっていったと感じます。もちろんこれはきっぱり分かれるのではなくグラデーションであり、実際のスタンスは人それぞれではありますが。(私は順に0%、5%、95%くらいの割合です)

インタビューでもサービス開始前の雰囲気とはガラッと変わり、本文からは(笑)が消え、半ば反省会のようになっています。そしてこの時点でのインタビューで、サービス開始前にあれだけ推していた正統新作という扱いや従来作と比較したシステムの完成度には触れず、「ガチャゲーとしての楽しさや遊びやすさ」を重視・改善していく方向に舵を切ったと感じます。これは私目線では現実が見えているとしてポジティブに見ており、収益にも直結するので、誇大広告を押し通すよりも有意義だと感じます。

ファミ通誌面でのインタビューではアカツキゲームスの山口PがA25を冠していることについて言及していますが、ガストブランドの細井Pからは積極的な言及がなく(後に引用する「ナンバリングなのに...」という消極的な文脈のみ)、意図して控えているのであれば私にとって歓迎すべきことでした。

宣伝や運営面の課題を認識し改善に向かおうとしている一方で、

  • 「アトリエ」シリーズとして「絶対に外してはいけない」という部分のイメージは早めに掴めていた

という発言には大きな疑問符が浮かびますが、これはガストブランドではなくTeam NINJAの作田Pの発言であるため、致し方ないのかなという気持ちです。

他の観点では、過去作キャラが登場する理由についてようやく言及がありました。

なぜナンバリングなのに歴代作品のキャラクターが登場するのか、という点については、物語としてきちんと意味があり、「アトリエ」シリーズとして面白さや驚きをさらに増やせるのであれば、可能性としてはあっても良いのではないかと私は考えています。

これまでのユーザーさんにも新しいキャラクターの魅力を発見してもらえるのではという思いもあり、今作では歴代作品のキャラクターを登場させるかたちを採用しました。

「可能性としてはあっても良いのではないか」という言い方の時点で非常に消極的であり、結局「ガチャの弾が欲しい」という運営都合以外の必然性はないのね、という印象です。ですが外伝作品だったら十分納得できる回答でした。多様なifシナリオを展開できてガチャシステムに適したオールスターお祭りゲームと、キャラ・ストーリー・システム等全ての要素に必然性と一貫性を求めたくなる正統新作の、相容れなさを改めて実感しました。

台北ゲームショウ2024開催時(2024年2月頭)

このインタビューは個人的に重要だと考えています。記事タイトルにあるように、「レスレリアーナ」とコンシューマ作品の2つの軸でアトリエシリーズを展開していくという構想が語られたからです。該当部分を引用します。

4Gamer: 今後という意味では,新作がどうなるのかという点も気になるのですが,聞いていいですか。

細井氏: そこは,我々がまだ発表できておらず,ユーザーさんに申し訳なく思っています。「アトリエ」シリーズはコンシューマ中心で広がってきたシリーズなこともあり,おそらく,「レスレリ」の展開を見て不安を感じられている方もいらっしゃると思うんです。  もちろん,コンシューマ向けの新作の「アトリエ」も開発中です。

4Gamer: 「秘密」シリーズとは違う,新シリーズということですよね。

細井氏: シリーズになるかは,まだ分からないですが,我々としては,その新しい世界と「レスレリ」の世界,2つを軸に展開することで,これまで以上に「アトリエ」シリーズを広げられると考えています。

アカツキゲームスの田川Pから「ポータル」という言葉も出ているように、「レスレリアーナ」はコンシューマ作品と並行して展開していくものであるという位置づけです。私のイメージとしてはフィギュアなどの各種グッズに近い印象で、関心も金銭感覚も異なる消費者層に対して、従来のコンシューマゲームとは異なる商品をアピールすることで幅広く収益を獲得しながらアトリエの知名度を広げていく、その一手段がガチャなのだろうと。A25などと言わず最初からその方向性を掲げてくれたらどれだけ良かったか。

あらゆる点で従来作と大きく乖離した「レスレリアーナ」のゲームとしての方向性や価値判断を、決してコンシューマ作品に持ち込まずガチャゲーの中だけで完結させ、そしてガチャプレイヤーから稼いだ利益がコンシューマ作品開発に使われるのであれば、私個人としてはドライな損得勘定で見れば歓迎すべきことです(心情的に思うことはいくらでもありますが)。

そして次のコンシューマ新作を予想する上で見逃せないのが「シリーズになるかは,まだ分からないですが」という一言。本当にまだ決まっていないのか単に伏せているのかは分かりませんが、色々な可能性を考慮する必要がありそうです。

てっきり私は「レスレリアーナ」発表当初、BLUE REFLECTIONシリーズのように同一世界観でコンシューマ作品とスマホ作品が混在するのかな?極夜シリーズみたいなのが始まるのかな?と思っていましたが、「新しい世界と「レスレリ」の世界」と並べて書かれているのであればその可能性は低いかもしれません。

半周年施策開始直前(2024年2月末)

現時点で最新のインタビューです。半周年というタイミングでストーリーの山場、システム面の改善について語られました。私は既に「レスレリアーナ」をアンインストールしているので実際のプレイ体験ではないですが、調合リソースやスタミナ、編成などの不便さに対して思い切った緩和に踏み切り、これまでのアトリエ作品との関係を度外視した"ただアトリエコンテンツを利用しているだけのガチャゲー"として見るのであれば、良い方向に向かっているのではないかと感じます。アトリエ正統新作としての問題点は何も改善されていない(逆に悪化した点もある)上に今後改善する意思を1ミリも感じないため、私がプレイを再開する予定はないですが、黒字なら短期集中で稼げるだけ稼いでから速やかに終わって欲しいし、赤字なら今すぐにでも終わって欲しい、そういったドライなスタンスです。

3つ全てのインタビューで細井Pからコンシューマ新作のことが言及されており、この点は非常に心強いです。また4Gamerの記事では「こちらの続報は,2024年内に発表できればと考えています」と具体的な時期も示されました。

4Gamerのインタビューより、スマホ展開とコンシューマ作品について触れている部分を引用します。

4Gamer:先ほど話の出た「スマホ展開」については,どのような声があったのでしょうか。

細井氏:約4年続いた「秘密」シリーズが終わったあと,スマホを選んだことに関してや,「「レスレリ」が新シリーズとしてCSが発売されずにこれから3~4年続いていくのだろうか……」といった不安を抱かせてしまったのではないかと思います。そこは真摯に受け止めなければいけません。

以前もお話ししましたが,ライザを主人公とした「秘密」シリーズのあと,より多くの人に「アトリエ」シリーズをお届けしたいと考えました。そこでスマホという選択肢のひとつを取ったのですが,タイトル発表の方法に関しては, たとえば,コンシューマの新シリーズとスマホの新シリーズを同時に発表するなどで,もう少し違った反応やご意見をいただけたのかなと考えています。

4Gamer:スマホに行ったっきり,帰ってこないシリーズもありますからね。先日公開となったインタビューなどで,今後もコンシューマ機やPCで新作が出るのが分かって,ファンは安心したんではないでしょうか。

細井氏:そこはぜひ,ご安心いただきたいです。

細井Pの回答にある「コンシューマの新シリーズとスマホの新シリーズを同時に発表する」というのは、(新シリーズではないものの)「リディー&スール」と「アトリエオンライン」の発表時に取られていた形式であり、当時の私の印象は決して悪くないものでした。一方で今回は「アトリエ新作発表」と1週間前に告知してからの騙し討ちのようなスマホゲーム発表でした。あたかも後から気付いた反省事項のように語っていますが、この反応を事前に予期できずに強行したことが信じられないほどの愚行だと考えます。しかし改めて言及されたのは今後に繋がる良いことだと思いますし、二度と繰り返さないことを願います。

細かい言葉を見ると「コンシューマの新シリーズ」という言い方が次作のヒントにも感じられますが、あくまで例示であり深い意味はないかもしれません。

まとめ

ここまでのインタビュー内容を、私が受けた印象を交えながらまとめます。

  • 「レスレリアーナ」の正統新作としての完成度や従来作と比較したプレイ感はサービス開始以降言及しなくなり、あくまでガチャゲーとして改善・運営しプレイヤー層の信頼を取り戻していく方針が見えた(あくまで方針が見えただけで、それが十分に実行されるかは別問題)
  • 「レスレリアーナ」をアトリエシリーズのポータルと位置づけ、コンシューマ作品と並行する2軸で展開していく方針が示された
  • コンシューマ新作の情報は2024年内に出る見込みであり、純粋な新シリーズではない可能性が高い。また「レスレリアーナ」と世界観を共有して極夜シリーズのようなものとなる可能性は低い

これまでのブログ記事にも書いている通り、私は「レスレリアーナ」の方向性がコンシューマ新作に伝染することを最も恐れています。なのでガストブランド外の運営陣はともかく、細井Pが(明示的な撤回ではないものの)「レスレリアーナ」を正統新作としてアピールしなくなったことがインタビューにおける最大の好材料であり、今後のアトリエ正統新作の流れを「レスレリアーナ」の方向性にシフトすることはなく、従来作から正統進化したコンシューマ新作を作ってくれることを期待しています。今後のインタビューでもその点は引き続き注視したいと思います。

とはいえここまで酷いものを見てしまった以上は、肝心のコンシューマ新作の中身も、ゲーム情報が出て実際に遊んでみるまでは不安が残ります。しかし「レスレリアーナ」と「ソフィー2」のクレジットを確認した限りゲームデザイン関係のメンバーはほとんど重複していないので、従来作の開発チームが引き続き担当してくれるなら希望は持てます。総合プロデューサー続投の可能性も十分考えられますが、システム完成度が高かった「リディー&スール」や「ソフィー2」も細井Pの担当作ですし、良くも悪くもゲームとしての中身は現場に任せるタイプなのかなと。「レスレリアーナ」の価値判断を持ち込まないことを祈るばかりです。

ということを踏まえ、ここからは完全に私の妄想ですが、「A26」を冠するであろう次のコンシューマ正統新作を何パターンか予想してみます。(マリーリメイクに続くエリーリメイクのような作品は別枠として除きます、出してほしいけどね)

①そうは言っても完全新シリーズ

さっき純粋な新シリーズではない可能性が高いと書きましたが、何だかんだで一番順当なのはこれかなと。完全新シリーズであれば世界観の構築やイラストレーター探しなどで時間は掛かりますし、コンシューマ新作の発売間隔が空くことを見込んで「レスレリアーナ」が必要だったというのも一理あります。

この場合はどんな作品になるのか本当に分からないですが…個人的な趣味としてはやはり和風アトリエを推したいところ。「アトリエオンライン」では和装した別世界の主人公が登場してましたが、こういうキャラで展開されるアトリエも新鮮だと思うんですよねー。

②過去シリーズなら順当な黄昏4作目

「ルルア」「ソフィー2」と完結済みシリーズの4作目が作られる流れがあるので、アーランドと不思議に挟まれている黄昏の4作目が作られるのも予想しやすい流れかなと思います。「レスレリアーナ」に黄昏キャラの登場が多いという理由もあります。

既存3作の中で度々言及されていながら未だに謎が多い「中央」という分かりやすい題材があるのもポイントです。残された謎を回収しながらストーリーを構成していくという点で「ライザ3」に近いストーリー構成になりそうだなと。

商業的理由で主人公がエスロジ続投になりそうな気配もしますが、できれば新主人公で他の新キャラもしっかり目立つような作りだといいな…。パーティ加入する既存キャラを絞るのが本当に大変そうですが、ただの同窓会パーティにしないためにしっかり絞ってほしいです。

③商業的理由で秘密4作目

秘密シリーズの4作目はいずれ出るとは思っていて。まだ早いかなという気はしますが、「レスレリアーナ」で掴んだ新規プレイヤーをコンシューマに流すなら、ライザが出る作品をさっさと出したほうが良いだろうという理屈です。ライザの弟子が主人公というのが王道パターンでしょうか。

個人的には秘密シリーズ新作を作るなら、何作品か間を置いて技術力を高め、リアルタイム戦闘のシステムをもっと作り込んで欲しいなと思うところ。ただ次作が秘密シリーズと無関係の世界観で、そこに集客用ライザを連れてこられるのも予想できてしまうので、それをするくらいなら秘密シリーズ続行でいいかなって…これは完全に商業的理由(ライザを出したいのならという観点)での予想です。

④まさかのザールブルグ4作目

意外と可能性があると思っています。リリー・マリー・エリーの3人が実際にザールブルグに集い、グラフィック・システム共に正統新作のクオリティで作られるザールブルグのナンバリング4作目です。

マリーリメイクはデフォルメ頭身や当時のプレイ体験を残したシステムなど私は楽しめましたが、やはり現代基準のグラフィック・システムを求める声もあり。マリーリメイクの反応を受け、同じ方針でエリー・リリーとリメイクを進めるのではなく、正統新作としてザールブルグの世界を描こうという企画が立ち上がることもあり得ます。

「レスレリアーナ」に初代ディレクターの吉池さんが監修として関わっていて、この3人のイベントストーリーも手掛けられているので、引き続き吉池さんに関わってもらいながらザールブルグ4作目が作られるならとてもアツい話だなと。

年齢差があるのでエリー卒業後の話だとリリーは50歳近くになってしまいますが、リリーだと何となく大丈夫な気もしています。ザールブルグとグラムナートは同一世界なので、グラムナートのキャラも登場するかもしれません。

ということで、4つの案を出して妄想を語ってみました。実際どうなるかは分かりませんが、次のコンシューマ正統新作の発表が楽しみです。ここまでお読みいただきありがとうございました!

CS新作、そして新シリーズに期待!アトリエシリーズで復活して欲しい要素を語る

はじめに

この記事は昨年の7月ごろ、「ライザ3」と「マリーリメイク」をプレイし終えた時期に書いていたものです。ライザの三部作が完結し、懐かしい作品のリメイクもあり、さあ次は新シリーズかな?という期待を込めて書いたものです。下書きをしている最中にA25扱いでスマホゲームが出ることが発表され、私の失望のうちにこの記事はお蔵入りとなりました。

それから約半年が経ち、そろそろコンシューマ正統新作を期待しても良い頃かなと思いまして。ここ最近はNintendo Directで新作タイトルが発表されることが多く、冬のNintendo Directは2月開催が多いため、その意味でも期待が高まります。

今の私の最大の関心は、

  • 「ソフィー2」「ライザ3」までの作品で地道に培われてきたゲームシステムの奥深さ・快適さ・完成度
  • ストーリー・ゲーム攻略の両面でオリジナルキャラクターが活き活きと活躍するRPGとしての魅力

がしっかり保たれ、さらに進化してくれるかという点です。しかしそれはアトリエ正統新作に求める最低ラインであってそればかりを語っても仕方ありません。A25が発表される前の気持ちに戻り、当時の文章をなるべく書き換えないまま公開し、次なるコンシューマ新作アトリエへの期待としたいと思います。

はじめに2(A25発表前に書いていたもの)

アトリエシリーズは26年の歴史の中で、そのゲームシステムを大きく進化させてきました。最近では特に「ソフィー2」の痒い所に手が届くようなシステム改善が印象的で、今後さらに快適で楽しくなるようにゲームシステムを進化させ続けてくれるでしょう。

一方で、過去の作品にあった便利な要素や楽しい要素が、最近の作品で採用されなくなってしまったことも多々あります。最新作を遊ぶ時には消えてしまった要素を触る機会はないため、言及されることも少ないかもしれません。しかしこのまま消えてしまうのも惜しいと思います。

この記事を書いている時点(※昨年書いていた当時)でまさにアトリエ新作発表が控えていますし、秘密シリーズが3作出て新シリーズへの期待も高まっている時期です。この機会に色々語ってみようかなと思います。

スイング強化

シンボルエンカウント形式の作品で、ザコ敵のレベルが自分たちより十分低い場合に、スイングを当てると戦闘無しで倒した扱いになるシステムです。「メルル」「シャリー」などに採用されていて、アトリエ作品で初めてシンボルエンカウントが採用された「イリスGF」にもあります。

敵シンボルに対してスイングできるシステム自体は最近でもほとんどの作品にあって、先制が取れるなど有利な状態で戦闘を開始できるのですが、そのまま倒してしまえるシステムは採用されなくなって久しいです。

ドロップアイテム集めが楽になるだけでなく、探索や採取が快適になり、スイングで敵を潰していく爽快感もなかなかです。けっこう好きなシステムなので復活して欲しいなと思います。

確かに便利だけど楽になりすぎでは?という意見もあるかもしれません。物語の中盤以降くらいで、格下のザコ戦が一瞬で終わって蹴散らしていけるならこのシステムは無くても良いのですが、最近のアトリエは格下相手であっても戦闘時間が長くなりがちなシステムになっています。秘密シリーズが3作通して実時間の経過を待たないといけないシステムだったことに加え、「ライザ3」では敵のレベルが味方に連動する仕組みによってザコ敵でもHPが多く、「ソフィー2」では戦闘開始時に付与されるオーラによってダメージが軽減されます。

アトリエに限らず、RPGの戦闘にメリハリや盛り上がりを付けようとして「戦闘中に段々ギアを上げる」システムを作ると、必然的に戦闘開始直後の攻撃は弱くなってしまい、ザコ戦にまで儀式的な手順が要求されて戦闘時間が長くなる現象はよくあります。今後のアトリエでも、戦闘システムを凝った結果さらに戦闘時間が長引いてしまう可能性は十分あります。ボスや強敵相手はメリハリのある戦闘を楽しめる一方で、回数の多い格下のザコ戦はさくっと省略できる、そういった良いとこ取りを強化スイングによって実現できると良いと思います。

戦闘中のおおまかな待機時間表示

これは「ソフィー2」で大きく気になった部分です。

アトリエシリーズの多くの戦闘では「コストターンバトル」と呼ばれる、各行動の待機時間によって行動順や行動回数がその都度変化していくターン制バトルシステムを採用しています(「トトリ」「ソフィー」などいくつか例外あり)。そのうち「イリス2」から「ルルア」までの戦闘画面には、各キャラの次の行動までの待機時間をカードの枚数や見た目の長さで視覚的に示すものがあります。タイムラインやタイムカード等のように呼ばれています。

これが「ソフィー2」では次の行動が回ってくる順序のみが表示され、待機時間が長いか短いかという情報がなくなってしまいました。感想記事にも書きましたが、待機時間を見ながら行動を決めていくのも戦略として楽しい部分なので復活して欲しいと思います。

従来作の待機時間表示は変な挙動に見えることがあり、カード式だとカード1枚分の間隔が示す待機時間が固定されていないので、上の方で詰まったり急に何枚も下に飛んだりすることが頻発します。それが分かりにくいという理由で廃止されたのかもしれません。逆に「アーシャ」はカードがない代わりに、敵味方の表示が密集してしまうとどの順番で動くのか分からないというデメリットがありました。

個人的な理想としては「アーシャ」に近く、カードや目盛りは無くても良いので、見た目の長さと待機時間が可能な限り比例していて、密集して行動順が分かりにくいところだけ間隔調整される(あるいは詳細情報画面で順番を確認できる)感じだととても嬉しいです。とはいえ「リディー&スール」「ルルア」等のいつもの仕様に戻るだけでも、「ソフィー2」より戦いやすくなるので全然OKです。

図鑑のキャラ会話か、キャラ目線での説明文

私が不思議シリーズで大好きな点の1つが図鑑です。図鑑に載っているアイテムや敵などについて、キャラ達がデフォルメされた顔アイコンで会話をしていて、1つ1つは短いながらも笑える会話や感動する会話などバラエティに富んでいます。この形式は不思議シリーズ4作品と「ルルア」で採用されています。

また、「マリー」から「ヴィオラート」までの5作や「メルル」では、図鑑の説明文の書き手が主人公の口調になっています。この形式も、それぞれの主人公たちの性格や魅力が伝わってきて好きです。「メルル」のメメモや「リディー&スール」のやることメモなど、主人公たちが目標達成のために書いている文章も同様です。

一方で秘密シリーズの図鑑は、キャラ目線ではない説明文です。不思議シリーズのように全アイテムに面白い会話文を考えるのは大変かもしれませんが、図鑑の文章がキャラ口調に変わるだけでも受ける印象はかなり違うので、どちらか復活して欲しいと思います。

※という文章を書いた後に、アイテム説明の一切ないA25の図鑑を見てしまい、説明文があるだけマシだと思ってしまったわけですが…。

音楽堂の作曲者コメント

アトリエ定番機能として、クリア後にイラストやBGM等を一覧で楽しむことができる「Extra(おまけ)」があります。従来多くの作品では、このBGM1曲ずつに作曲者さんのコメントが付いていたのですが、「ライザ」以降なくなってしまいました。

作曲者さんが曲に込めた想い、キャラや作品への愛、こっそり入っている過去作オマージュ等の小ネタ、そういったものが作曲者さんそれぞれ自由に語られています。クリア後に余韻に浸りながら、曲を聴きコメントを読むというのを毎回楽しみにしていたのでとても残念です。「ライザ3」ではゲーム内ではなく特典の「おとのはしらべ」にコメントが掲載されていて(つい最近知りました)、これだよこれ!と感激しましたが、できればゲーム内で読みたいものです。

確かに全曲書くのは大変でしょうし、ガスト(コーエーテクモ)を退社されて外部から参加されている作曲者さんも多いので難しいのかもしれませんが、復活して欲しいと思います。

特定のボスの専用BGM

最近のアトリエで思うのが、このボスにはこの曲!という特定のボスや種族の専用曲が非常に少ないことです。流石にラスボスには専用曲がありますが(「ネルケ」にはなかった…)、それ以外の専用曲は作品ごとに0~1曲で残りは汎用曲というのが続いています。特に秘密シリーズは3作通して少ないです。

汎用曲も良い曲なのですが、後で聴いた時に戦う相手が思い出せないので印象が薄く、イベントの展開がとても熱い時に汎用曲が流れると私はちょっと冷めます。

「Nefertiti」「Astral Blader」「紫電清霜」「ドロシアの虎」「Rabbit & Crow」「Losaria」など挙げたら色々ありますが、特定のボスや種族の専用曲のほうがそのボスのイメージにぴったり合った曲になっているし、イントロを聴くとボスの登場シーンまで鮮明に思い出せる曲もたくさんあります。こういうボス曲が復活して欲しいと思います。

ストーリーボスに関して言えば、秘密シリーズはそもそもBGM以前の問題でストーリー中に戦うボスの印象が薄いです。「トトリ」のフラウシュトラウト、「シャリー」の水の王、「リディー&スール」のファルギオルなどは、ストーリー展開の熱さ、ボスそのものの格好良さ、そして魅力的な戦闘曲と全てが噛み合って素晴らしいボス戦になっていると思います。秘密シリーズ3作の中で、これらの過去作ボス戦と肩を並べられると思うボス戦は1つもありません。新シリーズでは是非、まずは魅力的なボス戦を、そしてその魅力をさらに高める専用曲を、よろしくお願いいたします。

おわりに

前々から思っていた点や、過去作の攻略本などを眺めていて「これ良かったなあ」と思う点などを挙げてみました。他にも細かい点や個人的にそこまで強い要望ではない点も思いつきましたが割愛しました(フィニッシュジングルとか)。後から思い出したけどめっちゃ復活して欲しい点がもしあればこっそり加筆するかもしれません。

次のコンシューマ新作は果たしてどんな作品になるのか、今から楽しみですね。

正統新作だと言うのなら、徹底的に。「レスレリアーナのアトリエ」感想

レスレリアーナのアトリエ、Steam版が配信されたのでプレイしました。感想を書きます。

最初に書いておきますが、ほぼネガティブな感想しかありません。普段の感想記事では避けているような皮肉や強い言葉での批判を含みます(理由)。そして長いです。ご了承の上お読みいただければと思います。

「総括」セクションに良い点・悪い点を箇条書きでまとめているので、長いなと思ったらそこまで飛ばしてください。

おことわり

今作は従来のアトリエプレイヤーだけでなく様々な人にプレイされ、話題にされています。そのため本記事のスタンスを明確にします。

  • 私はアトリエシリーズの従来ナンバリングタイトルを「マリー」から「ライザ3」までプレイ済みであり、それらと比較して今作を評価し感想を述べます(その理由は「総括」セクションをお読みください)。
  • 私は今作でも他のゲームでも「ガチャ」に課金することはありません。そのためガチャの価格や確率等に関する感想は述べません。
  • ゲームそのものの内容と、ゲーム内容に言及しているインタビュー・生放送・公式Twitter等の情報のみを扱います。ゲーム内容以外でも色々言いたいことはありますがこの記事では触れません。
  • 私はあくまで1人のアトリエファンであり、この記事の感想や主張がアトリエファン全体あるいは多数の総意というわけでは決してありません。
  • 記載内容のほとんどはSteam版配信直後である2024年1月時点でのゲーム内容に基づきますが、後のアップデートで変更された内容について部分的に追記を行うことがあります。

キャラクター

オリジナルキャラも過去作キャラも、キャラクターデザインは魅力的であり、3Dグラフィックは(キャラごとにバラつきはあるものの)概ね高品質です。この点は今作の大きな長所です。

主人公レスナを筆頭に、オリジナルキャラのデザインはアーランド・不思議シリーズのような「安心できるアトリエ」感があります。私のような従来作プレイヤーがスマホゲームに持つ抵抗をなんとか減らそうとしているのかもしれませんが、直球で典型的なアトリエらしさを目指しているように感じました。

一方でキャラクターに関する最大の問題は、最序盤から過去作キャラのゴリ押しがあまりにも目立ち、オリジナルキャラの活躍機会を奪っていることです。システムの問題点を抜きにしてこの1点だけ挙げても、「4年ぶりの新主人公」「正統新作」等よくもまあ言えたなと思います。

私はアトリエ過去作は全て好きだし、過去作キャラ達も(少なくとも味方サイドは)全員好きです。彼らに思い入れがあるのは、それぞれの原作での活躍を見ているから。だからこそ「レスレリアーナのアトリエ」という作品では、この作品のオリジナルキャラ達を優先して活躍させて欲しかった。

ゲーム開始時の主人公はレスナですが、なんと今作最初の戦闘にレスナはいません。何故か「ライザのアトリエ」の戦闘BGMを流しながらライザが戦っています。まずここで印象がめちゃくちゃ悪い。

そして過去作キャラがストーリー進行・初回ガチャ含めてぞろぞろ加入し、序盤はほとんどの場合レスナ+過去作キャラ最大4人という構成で進むことになります。しばらく進んだ後にヴァレリアが加入しますが、第一部でストーリー加入するオリジナルキャラはこれだけ。イザナやロマンは最序盤からの協力者にも関わらず、数ヶ月遅れた上に限定ガチャで実装されました。彼らよりも実装が優先された過去作キャラは30人を超えます

ストーリー中のイベントシーンではオリジナルキャラも活躍するし、イザナやロマンが戦っている描写もあるのです。しかし実際の戦闘になると彼らの姿は消え、ストーリーでは別行動中の過去作キャラや、ストーリーに一切出てこないガチャ産キャラがぞろぞろ戦いに出てきます。イベントシーン鑑賞パートとゲーム攻略パートがプレイ体験として完全に乖離していて、その繋ぎ合わせがあまりにも雑すぎます

本来最も目立たなければいけない主人公が、あくまで脇役でいてほしい過去作キャラを過剰に持ち上げるのも印象が悪いです。レスナの錬金術オタクというキャラ付け自体は良いですが、過剰な持ち上げと極端なキャラ実装状況を合わせて見ると、運営陣による過去作キャラ(=ガチャ商材)のゴリ押しを代弁・正当化しているようです。

オリジナルキャラはどうせ後から実装されるから良いだろうという話ではなく、仮にエンディングまで一気にプレイできるオフラインゲームであっても開始直後のプレイ体験がこれだと相当に悪印象です。ましてやストーリーやキャラが少しずつ追加されるオンラインゲームで、サービス開始時点でレスナだけで良いと思ったその判断を疑います。インタビューでは「今後もメインストーリー更新のタイミングで、今遊びたいなと思ってもらえるようなタイミングできっと登場するのではないかと思います」と悠長に語られていますが、イザナやロマンは最序盤でそのタイミングはとっくに過ぎているでしょう。特にイザナはシナリオの中では明らかにレスナを戦闘面でサポートする最初からの相棒として描かれており、初期パーティにいないのは本当に意味が分かりません。後からガチャに出して性能を盛っておけば良いという話ではありません。

彼らが一時的に離れるようなストーリー展開の都合とか、キャラを買うガチャゲーであるが故に途中離脱という形がとれないとか、色々と擁護気味に理由を考えたとしても、それがオリジナルキャラの実装を軽視する理由に足るものでは全くありません。というか別行動中の過去作キャラは平気で参戦し続けているので整合性なんて最初からないでしょう。結局「30人を超える過去作キャラよりもオリジナルキャラを後回しにして、今もし続けている」という事実は覆りません。

調合・戦闘シーンなどで過去作キャラ達が協力する映像(特に原作で関わりのなかった組み合わせ)は、映像だけ見れば私にとって感慨深いものです。しかし今作に過去作キャラを出す必然性がなくガチャ商材のゴリ押しにしか思えないこと、そして何よりオリジナルキャラの活躍機会を完全に食ってしまっていることによって、ポジティブな気持ちで見ることはできません。まるで卒業したOBが出しゃばってくる高校の部活のようです。

例外として過去作に焦点を当てた本編外のイベントならば、過去作キャラのほうが目立つことへの違和感はありません。ザールブルグやリディー&スールのイベントシナリオは良いものだったと聞いています。以前の記事にも書いた通り、過去作キャラの出番はこれだけで必要十分だったと思います。

従来作でも続投キャラがパーティ加入する作品は多々ありますが、例えば「メルルのアトリエ」のケイナとライアスのように、最初の仲間は主人公の幼馴染などの新キャラである場合がほとんどです(例外は主人公ごと続投の秘密シリーズ)。また「ソフィーのアトリエ2」ではインタビューで「見知ったキャラクターばかりで、スピンオフのように見えるのは避けたかったんです。今回は、きちんとした新しい物語を、シリーズ最新作として描くということがコンセプトとしてありましたので。」と語られ、続投キャラの人数を絞っています。これまでのアトリエが新しい物語を描くために気遣い続けてきたことを、今作は一発で台無しにしたのです。

過去作キャラを出すなとは言っていないし、ガチャ商材をプッシュすること自体は否定しません。その前にまずは今作のオリジナルキャラを大事にして、序盤から仲間ポジションにいるキャラはちゃんと攻略上でも早期実装して、それから他をやるべきでしょうと、ただそれだけのことです。それができない、最初からやろうという意志すら無い作品に正統新作を名乗る資格はありません。

ここまで述べてきたことがキャラクターに関する最大の問題だと思っていますが、それ以外の点で完成度が高いわけでもなく、

  • 初回ガチャの時点でストーリーに登場していないヴァレリアが唐突に出てきてレスナとイチャつき出す
  • アイテム調合時に名前すら紹介されてない過去キャラ達がゾロゾロ出てくる(全員知ってるキャラなのに「お前ら誰だよ」と言いたくなる)
  • 編成に加えたキャラが何故か見送りしてくる
  • ガッツポーズ、あざといポーズ、虫採取などの共通モーションで一部の過去作キャラがキャラ崩壊している(虫採取のみ、スール実装時に総ツッコミを受け4ヶ月後のアップデートでモーション変更)
  • 少なくない人数のキャラが見た目の攻撃方法や原作のスキルに合わない属性を割り当てられている(多少の変動は仕方ないが、特に物理か魔法かが変わると違和感が激しい)

など、ゲーム内でのキャラクターの扱いが雑だと思う点は本当に多数あります。グラフィックやモーションの表面的な格好良さ・可愛さ・色気などを偏重する一方で、「このキャラクターがこの場面でこうすることは自然だろうか?」という観点での配慮は相当に欠けています。

従来作では、「リディー&スールのアトリエ」で喧嘩イベント中に細かいセリフの変化や図鑑での配慮があったり、「ソフィーのアトリエ2」でレベルやレシピ習得の設定に前作由来の工夫が組み込まれていたり等、キャラクターの状態や背景をイベントの会話だけでなくゲーム内の細かいところまで丁寧に反映させてくれた例があります。今作はそういう深い作り込みが足りないというレベルではなく、普通にプレイしているだけで違和感だらけ。雲泥の差です。

ストーリー

ストーリーは社外のプロの方(タカヒロ氏)に依頼している部分であり、世界観やキャラクターの設定は魅力的に作られています。「錬金術を軸とした主人公と仲間たちの奮闘劇」というアトリエシリーズ伝統の要素と、「敵対する組織の謎めいた活動」という最近のアトリエシリーズでは珍しいダークな要素が両立しているのは良い点です。敵側のキャラも魅力的にデザインされています。

一方でキャラの扱いや設定の説明が雑だと思う点はストーリー中にも多々あります。例えばシャリステラは「ランターナのマナ枯渇が故郷の水涸れを解決するヒントになるかも」と言ってレスナに同行しますが、世界が違うし現象も違うので全く繋がりません。インタビューで「「レスレリに出てくる1人の登場人物である」という見せ方をしたかった」などと言っていますが、これだけ大量に出しておいてわざとらしい昔話も頻繁に挟んでくる時点でその言い分は無理があるでしょう。過去作キャラが登場する必然性と合理性はストーリーの観点でも皆無で、結局運営都合で過去キャラを絡ませたいから理由をこじ付けているように見えます。外伝お祭りゲームならその程度の理由で良いと思うのですが、今作はそうではないはずです。

設定の説明についても、過去キャラが大量に出てくる理由・瞬間移動する飴・調合スタミナが時間回復するアトリエなど、ガチャゲーの都合で追加された設定の話題になった途端に説明が雑になり、ザスキア師匠に「よく分からない」を連発させる始末です。世界観やストーリーに合わない運営都合の設定が無理やりねじ込まれ、それが異物となって世界観への没入を妨げます。

そしてイベント鑑賞パートはただメッセージ送りをするだけであり、プレイヤーが操作できる戦闘は先述の通りパーティメンバーがシナリオの流れと完全に乖離しているので、仲間と一緒に敵と対峙し困難を解決しながら冒険していく、RPGの醍醐味と言える感覚は相当に薄くなっています。「RPGとしてもこだわり抜いたタイトル」などと言っていますが一切同意できません。何度でも書きますが、この序盤のシナリオ展開でイザナが戦闘に出てこないのは本当に致命的で、ゲームプレイとしっかり連動してストーリーの魅力を味わうというRPGの醍醐味を、運営の過去作キャラとガチャへの執着が完全に破壊しています

ストーリーはまだ完結していませんし、現時点で私自身がプレイしたのは2章の途中までです。ただしここで挙げた問題点は今後の展開次第で解決・挽回できる類のものではないし、これまでのプレイ体験で私が先へ進むモチベーションを失うには十分過ぎました。この先のストーリー展開や問題点もスマホ版の情報からある程度は見聞きしていますが、自分自身のプレイ体験ではないため本記事では触れないでおきます。

調合システム

アトリエシリーズの肝となる調合システム。キャラクターと材料を同等に扱って色で繋げていくというアイデア自体は面白いと思うので、コンシューマ新シリーズの調合システムに活かされると良いなと思います。もっと自由な順番でキャラと材料を組み合わせたり、触媒のような便利パーツを導入したり、縦横で二次元的に繋げてみたり、従来のコンシューマ作品レベルの完成度であれば可能性が広がります。

しかし今作の場合はガチャで集めるキャラ資産とランダム要素の引きが全てであり、中和剤のような中間材料を用いて品質や特性を継承していく仕組みがないため、従来作のようにプレイヤーが頭を使って考えられる調合ルート組み立てや工夫の余地があまりにも少なく、本当に面白みがありません。これはアイテムの作り込みではなく、くじ引きの景品を使ったくじ引きです。スカスカなシステムで簡単に最高性能のものを作らせないために結果のランダム性を入れたんじゃないかと思うレベル。ガチャゲー会社は射幸心を煽ることしかゲーム作りの引き出しがないのでしょうか。

おまけに材料集めも調合自体の回数もスタミナによる実時間制約付き。イリス~マナケミアシリーズで重要だったマナという言葉をこんなものに使いたくないのでスタミナと呼びます。スタミナが邪魔なのは確かですが、仮にスタミナが撤廃されれば調合が面白いかと言うと決してそんなことはありません。

従来作で協力調合システムがある「マナケミア」を引き合いに出すと、「マナケミア」のエーテル値操作が今作のギフトカラーと大体同じくらいの完成度で、あとは調合中間材料のレシピをごっそり削除、目押しルーレットの代わりに結果のランダム性導入、協力調合のキャラがガチャ産、スタミナによる実時間縛りと、16年前のシステムと比べても劣化要素しかありません。言うまでもなく、不思議シリーズ以降の独自性・奥深さ・自由度があってしっかり練られた調合システムとはあらゆる点で比べ物になりません。

あと、せめて調合演出はレスナが毎回メインでやってくれませんかね…?調合ですら主人公をその他大勢と同等の扱いにして、この作品はどこまでオリジナルキャラを軽視したいのでしょう?初めての戦闘はライザだけが戦っている、そして初めての調合はマリーが釜を混ぜている、これが新主人公と正統新作でやりかったことですか?

戦闘・育成システム

戦闘システムについて。全員の行動を指示できる非リアルタイムのコマンド式に戻った点と、キャラごとにロールがあって役割分担しながら戦えるという点は、秘密シリーズの戦闘よりも良いと思います。今作の新要素として敵味方の行動順と重なるようにバフ・デバフ・バーストのパネルが配置されており、行動順を調整することでパネルの効果を得たり敵に押し付けたりできます。多くの従来作品で重要だった行動順調整がさらなる意味を持ち、アイデアとしては面白いと思います。

パネルの影響は過剰なほど大きく、行動順に干渉できないと敵のバーストで即壊滅するため、理想的な戦闘運びに貢献できないキャラや編成はかなり使いづらくなります。しかしこれも、

  • ストーリーで早期に加入するオリジナルキャラ達が標準的な編成であり、そのパーティでストーリークリアまで無理なく進められる
  • 元のロールや属性を度外視して推しキャラだけで組んでも、アイテムや装備でキャラの役割を拡張して標準的な編成と同等に戦える

といった配慮があれば解決し、攻略と育成の楽しさを感じられる戦闘システムとなったでしょう。

残念ながら実際はそうではなく、次に挙げる多数の問題があります。

  • オリジナルキャラがまともに加入せず、確定加入のシャリステラとロロナを考慮しても序盤はガチャ産キャラが最低でも2人混ざるので、リセマラが強く推奨されているほど
  • キャラの得意属性はほとんどのキャラにとって「その属性のスキルしか使えない」ことを意味し、スキルの数も少なく防御等の基本的な行動もないため、行動を工夫することで敵や状況に対応する戦略性が著しく低い
  • 調合がスカスカであり、ガチャ資産と運で強力な装備を作っても属性やロールを細かく指定してくる効果が多いため、キャラの役割を拡張する自由度が低い
  • 戦闘中のアイテムの使い勝手があまりにも悪く、アトリエシリーズの魅力であるアイテムを主軸とした戦い方ができない
  • これらの理由で味方側の育成や行動の自由度が著しく低い上に、敵側は極端な属性耐性・状態異常・庇う+カウンター等のギミック・異常な連続行動など戦略的な対処が必要な能力を多彩に持ち、推しを育成しようなどとキャラ愛に訴える売り方をしておきながらキャラの活躍の可能性を潰してくる嫌がらせのようなゲームデザインである

従来作品の多くでは調合の自由度の高さが戦闘面での攻略の多様さにも直結しており、強敵に阻まれることは調合を楽しむチャンスになります。超火力の爆弾で吹き飛ばすのか、装備の品質や特性でステータスを上げてスキルで戦うのか、敵の弱点を突く爆弾や敵が使う状態異常に耐性を持つアクセサリーを作るなど個別対策を練るのか等、調合を軸とした様々な攻略の楽しさがありました。「全てを作り込めばヌルゲー」というゲームデザインになりがちですが、それは様々なアプローチで十分に戦力を上げられることの裏返しでもあります。

対して今作は、まずアイテムの使い勝手が絶望的に悪く、

  • ゲージ制であり溜まるのが遅いので使用可能頻度があまりにも低い
  • 行動順をずらせる貴重な手段だが強制的にずれてしまうので、回復したいだけなのに敵のバーストを無駄に誘発する可能性もある
  • 複数回分のゲージをストックできないので、敵バースト回避のために温存すると他の用途に使いづらい
  • アイテムの対象を選べないため、敵の頭数減らしやブレイクによる危険行動回避など目的に応じて戦略的にアイテムを活用することができない。味方への回復アイテムも回復無効のキャラに使ってしまう等が頻発する
  • そもそも威力がキャラのスキルと比べて絶望的に低い

とあまりにも冷遇されています。従来作でもアイテムの使い勝手や有用性は作品によって様々ではありますが、ここまでアイテムが全方位において冷遇されたナンバリング作品は他にありません。アトリエシリーズらしさのカケラもない。

アイテムの使いづらさに加えてスキルの数も少なく、防御等の基本行動もなく、ほとんどのターンで選べる行動は2通りだけ。敵のバーストを回避できずに壊滅していく様子を眺め、カウンターされると分かっていて攻撃を突っ込む、本当に嫌がらせのような戦闘システムです。

このようにプレイヤーの戦略性を狭めれば狭めるほど価値を増すのが、ゲージ消費無く無尽蔵に使えるキャラスキルです。従来作ではアイテムや装備にも持たせられた役割が、ことごとくキャラスキル(=ガチャ商材)に詰め込まれています。自由な攻略や抜け道をひたすら潰して回ることで、「運営が売りたいキャラをガチャで引き、ステージごとのギミックや優遇属性の想定解でクリアしなさい」という攻略手段の押しつけ、開発者のエゴを強く感じます。これは従来のアトリエ作品の真逆です。敵側のやっていることだけを比べて従来作品も変わらないと主張する擁護意見もありますが、プレイヤー側の自由度が雲泥の差であるため質が全く異なります。

多様な攻略手段を潰すほどガチャ資産の価値は上がるでしょうし、ガチャゲーとしてそのようなゲーム性自体を否定するつもりはありません。しかしアイテムを作り込めば無限の攻略可能性が生まれるようなゲームシリーズの正統新作を名乗っておいて、その魅力を潰すゲーム性をわざわざ採用する道理はないし、キャラ性能ゲーでガチャ売りしたいならアトリエ以外のところで勝手にやってください(あるいは外伝作品を名乗ってください)という話です。

育成システムについて。典型的な課金ゲーらしく単調な周回で集める育成リソースを膨大に要求してきますが、成長リセットやレベル下限の底上げなどのシステムが後付けで導入されサービス開始時と比べると緩和されています。その一方で、同一人物であっても衣装違いであれば一切の成長状況が共有されない点や、一度成長させたキャラをリセットして成長アイテムを吐き出させるシステムは、キャラをゲームの中で生きる登場人物ではなく単なるゲームユニットとして扱い大事にしていない印象を強く受けます。

他のいくつかのゲームのように、キャラをカード等で召喚して戦う設定であったり、ゲームの世界観としてキャラがヒューマノイドやロボットである場合はそれでも良いと思いますが、今作のキャラ達はそうではないはずです。育成緩和のテコ入れが必要だったという事情は理解できますが、もし運営陣がキャラに愛着を持っているならこんな扱いをせずに、必要リソースの緩和や獲得量の上昇を十分に行うことで対応するはずでしょう。

そして単なるゲームユニットとしての扱いが極まったのが、2024年3月に仕様変更された衣装違いの同一人物の同時編成です。確かに衣装違いを連発して稼ぐガチャゲーとなった以上、同時編成不可のデメリットが大きいことは理解できます。一方でこの仕様は、キャラ達がランターナという世界で確かに生きている存在であるということを完全に否定しました。改めて問いましょう、なぜ運営都合で作品の世界観を破壊することにこれほど躊躇がないのに、正統新作を名乗れると思ってしまったのでしょうか。正統新作を名乗るなら同時編成を望まれるようなゲーム設計にしてしまった時点で失敗なのです。外伝ガチャゲーを名乗るのであれば好きにすればいいと思います。

その他いろいろ

ここまで述べてきたことに比べれば些細な問題ですが、図鑑は歴代ワーストの手抜きです。これまでのアトリエは細かいところも大事にしてくれていたんですけどね。システムの根本がこのレベルなら細部は期待するだけ無駄でしょう。

キャラデザイン・音楽など社外のプロの方に依頼している部分は、今作のゲームとしての出来とは関係なく高品質だと思います。くじ引きにお金を払う気はさらさらないが、サントラは買わせて欲しい。

胸揺れ・飴舐め・カメラアングル等のエロ媚びは目に付きますが、露骨さで言えば秘密シリーズも同レベルだと思います。ただ今作の場合はゲームとしての著しい完成度の低さ故に余計ネガティブに評価してしまいます。システムは雑で手抜きだらけの癖にこんな所だけ異常に凝りやがって、という気持ちです。ライザアニメの調合シーンが、エロ媚びだけ異様に描き込まれててそれ以外が手抜きだったのと同じ感想です。

ガチャや調合のくじ引きで、結果が出る前の演出に変化を入れることで良い結果を匂わせ射幸心を煽る機能(パチスロにそういう文化があるらしい)も、異様に細かく作り込まれているようです。他の部分のゲーム完成度が高ければ勝手にやってくれて良いんですけど、他が壊滅的だと「そこ本当に力を入れるべき箇所だったんですか?」と問いたくなります。もっと作り込むべき箇所は山ほどあるでしょう。

総括

総括として、本作の良いと思った点を挙げます。

  • 世界観・イベントストーリー(吉池さん担当分)・キャラデザイン・音楽など、社外のプロの方に依頼している要素の品質の高さ
  • 3Dグラフィックの品質の高さ
  • 調合と戦闘システムの、アイデアやコンセプトだけを見た場合の面白さと将来性

そして悪いと思った点を挙げます。

  • オリジナルキャラの軽視と過去作キャラのゴリ押しが、実装優先度・イベント演出・調合演出などゲーム全般に見られること
  • そもそも今作に過去作キャラを登場させる(運営都合以外の)必然性が全く見い出せないこと
  • 調合のスカスカさと、それをランダム要素で更に改悪していること
  • キャラ愛に訴える売り方とキャラ格差の激しさの矛盾
  • アイテムの使いづらさ、行動の選択肢の少なさ、キャラを潰す極端な属性耐性・状態異常・ギミックなど戦闘攻略の自由度があらゆる点で狭められ、開発者のエゴとガチャキャラの押し売りを強く感じること
  • 調合と戦闘デザインの問題によって、戦闘からアトリエらしさが完全に失われていること
  • その他、ゲーム全体を通してキャラの扱いの丁寧さや細部の作り込みが従来作に比べあらゆる点で大幅に劣っていること
  • ここまで挙げてきた理由によって、イベントシーン鑑賞パートとゲーム攻略パートがプレイ体験として完全に乖離し、RPGとしての魅力が失われていること
  • これらの問題を放置しておきながら異常な執着を見せるエロ媚びと射幸心煽り演出

スタミナやガチャなどのテンプレ集金要素は今作の問題のごく一部に過ぎません。第1回生放送の時点ではメニュー画面を見て「ゲームシステムには期待していない」と言いつつ、スマホゲームで稼ぐなら仕方ないとある程度は同情的な書き方をしていましたが、リリースされたものは当時の低い期待すらも遥かに大きく下回ります。

「アトリエオンライン」を槍玉に挙げて失敗だ何だと言う人々もいますが、オリジナルキャラを初期パーティに据え、スタミナを採用せず、マルチプレイによってオンラインでしかできない魅力を出そうとする姿勢があったという点では前作のほうが遥かにマシです。

今作のインタビューや生放送で語られる開発サイドからの自信満々の言葉には、ことごとく中身が伴っていません。最初から「今作はここを捨てて、ここに力を入れました」と言ってくれるならまだ良いのです。過去作キャラを大量投入してグラフィックだけ凝りまくった外伝ガチャゲーですと。もしそうであればこの記事で批判してきた多くの点はそういうものだと納得できたでしょう。キャラゲーとしては高品質のグラフィックと演出、ガチャゲーのおまけにしては整っている戦闘と調合、これで稼げるなら良いんじゃないですか、A25のコンシューマ新作開発よろしくね、そう評価していました。

そうではなく今作を「プロジェクトA25」「シリーズの正統新作」「RPGとしてもこだわり抜いたタイトル」「プレイ感は大きくは変わらない」とプロデューサーが豪語しているからこそ、そう言うのなら従来作と徹底的に比較しましょうと私はブログ記事を書いています。従来作とは似ても似つかないものを軽々しく正統新作と呼んだことが、これまでの作品達が守ってきた魅力・新しい挑戦・地道な改善の積み重ねを踏みにじる、どれほど愚かな行為であるかを主張するために。これまでの作品が好きだからこそ、それらに敬意を払って価値を守るために、そしてこのような愚行を今作限りで断ち切ってもらうために、今作には強い言葉を使わざるを得ません。

私もアトリエシリーズには稼いで欲しいと思っています。ビジネス戦略上アトリエシリーズとして新規プレイヤーのエロ釣りとガチャ集金がどうしても必要であり、従来作ファンにも売るためにナンバリングの箔付けと過去キャラ大量投入がどうしても必要だったのであれば、この判断にも同情の余地はあります。それでも堂々と正統新作を名乗る以上は、少しでも従来作と同等のプレイ感を維持するために、

  • 調合において中和剤などの中間材料を用いた特性継承や合成があり、ランダムの引きに頼らなくてもプレイヤー自身が考えて調合品を良くしていける自由度がある
  • オリジナルキャラがストーリー進行中に早期加入し、性能控えめでも育成は楽なように優遇されていて、メインストーリーはオリジナルキャラだけで十分攻略可能である

くらいの最低限の配慮はあるだろうという希望を持っていました。本当に残念なことにそのような配慮は何一つとして感じられず、サービス開始後もひたすら過去作キャラのイベントと限定ガチャを乱発し、ガチャ商材をゴリ押し続けています。足りないのではなくゼロ。これでは全く同情の余地はありません。歴代最悪のアトリエナンバリング作品とはっきり言い切ります。

サービス開始から2ヶ月ほど経って世間の評価を一通り受けた後のインタビューでも、運営面や宣伝面での反省はありつつも「「アトリエ」シリーズとして「絶対に外してはいけない」という部分のイメージは早めに掴めていた」と語っており、大きな感覚のズレを感じます。採取→調合→戦闘というサイクルを形だけなぞることが「絶対に外してはいけない」という部分なのだとしたらあまりにも浅はかであり、各要素の奥深さ・快適さ・完成度こそを大切にして欲しかった。アトリエ要素はこんなもんでいいだろう、という妥協と軽視が今作のシステム面のあらゆる部分から伝わってきます。

社外のプロの方々が担当された部分を筆頭に、部分的には良い素材が集まっているのです。しかしゲーム全体の完成度から目を背け、ストーリーは良いから、グラフィックは良いから、推しキャラが3Dで出てるからと割り切って今作を擁護することは私にはできません。正統新作と位置付けられた以上、私が求めるのは総合点の高さです。

Steam版を待っている間にスマートフォン版の動向を見てすっかり冷めてしまったということもあり、私は既に今作の根本的な改善を諦め、次のコンシューマ作品に関心が向いています。「この惨状は開発体制が違うから起こっただけであり、ガチャゲー会社とアトリエの縁が切れてコンシューマに戻れば大丈夫だろう」と、今作のサービス開始前は楽観的に考えていました。しかし今作がスマホゲーム特有の事情を抜きにしても多くの問題点を抱えていること、そしてその要因の1つがガスト側のプロデューサーの発言によるものであることから、今後の作品にも大きな不安が残ります。

もし今作と同じような価値判断でコンシューマの「正統新作」が作られた場合、たとえ買い切りのゲームであっても、システム面での完成度を軽視して調合や戦闘の作り込みが浅くなったり、これまで以上に安直に過去の人気キャラを投入してオリジナルキャラの活躍機会を奪ったり、「ライザ2」のようなイベントの雰囲気やゲームの快適性を破壊するエロ媚びが更にエスカレートすることは十分に考えられてしまいます。そうなって欲しくないと強く思うから、私はここまで正統新作という発言にこだわって批判するし、直接公式にも意見を送り続けています。これは今作だけの問題ではないのです。

ずっと好きだったシリーズがどうしてこんなことになってしまったのかと、ただただ悲しく思いますが、大事なのはこれからの作品がどうなるかです。今作の経験と反応を顧みて、考え方を変えるのか、人を変えるのか、あるいは何も変わらないのか、それは今後の作品を見ていけば分かるでしょう。コンシューマ作品のシステムを作り続けてきた開発チームのことは強く信頼しています。これまで続いてきたアトリエシリーズの面白さや魅力はこんな薄っぺらいものではありません。システムの奥深さと快適性の両立、没頭してアイテムを作り込んでいく中毒性、自由な攻略によって強敵をなぎ倒していく楽しさ、魅力的なオリジナルキャラ達の活躍、思わず笑ったり感動するような細部の作り込みと遊び心、その他沢山の魅力が詰まった総合点の高い「アトリエ正統新作」を、私は待ち続けます。

で、どうするの

ここまで散々書いておいて、プレイを続けるのかという話。この世界観がコンシューマ新作にも引き継がれる可能性があるならストーリーは追っかけようと思っていましたが、実際に自分でストーリーを追ってみるとオリジナルキャラ(特にイザナ)が戦闘に参加しないことの異常さが想像以上で、もういいかなって…自分の中で唯一価値が残っているのが過去作設定準拠の(お遊戯会じゃない方の)イベントシナリオなので、それを読むためにアカウントは残しておきます。あくまで私個人の願望ですが、なるべく早いストーリー完結とサービス終了、そしてコンシューマ作品への集中を強く望みます。

このブログでは過去記事で「コンシューマ版アトリエとして正統進化したシステムでのオフライン版リメイク」を希望していて、もしそれが叶うならガチャゲー版はやらなくて良いんですけど、実際どれほど期待できるでしょうね。エロ釣りと過去キャラ乱発で短期的には売上を稼いだようですし、開発サイドがA25をただの箔付けとしてしか認識していないのであれば儲からないコンシューマ版をわざわざ作るメリットはないでしょう。しかし軽率にA25の冠を使ったことを愚行だと認め、今からでもナンバリングタイトルとして大事にしていくという姿勢を見せるのであれば、システム完成度が高くずっと遊び続けられるコンシューマ版アトリエとしてリメイクして欲しいと思います。その方が、今作に携わった声優・イラストレーター・作曲家などの方々の良い仕事も報われるのではないでしょうか。

オリジナルキャラ達は本当に魅力的なので、リメイク版のストーリーをオリジナルキャラ達だけで再構成するか、続編がコンシューマ作品になって彼女たちの成長した姿を見られたらいいなあ。過去作キャラは自分たちの世界にお帰りください。

こうなってたらよかったのに

最後に今作に対する私の改善案というか、「こうなってたらよかったのに」という点を箇条書きで書き出します。ストーリーの序盤やゲームシステムの根幹に関わる内容が多く、これらの点に対する運営の関心も相当に薄そうなので、今から改善されることは期待していません(逆に言えばリリース後の小手先の修正でどうにもならない致命的な問題が多すぎるということです)。ただ今後の作品で今作の問題点を持ち込むことがないように、そして従来の魅力を取り戻してくれるようにという気持ちも込めて、未来のために書き記しておきます。

  • オリジナルキャラ主体でストーリーを追う無課金勢と、好きな過去作キャラを集めたり高難度に挑む課金勢、両方の遊び方ができるようにする。具体的には次のような工夫の導入。
    • イザナ・ロマン等のオリジナルキャラがストーリーでの同行時点で早期パーティ加入する(代わりに過去作キャラのストーリー加入が減っても構わない)
    • オリジナルキャラの編成が良いバランスとなるようロールを割り振り、ストーリー攻略可能な程度の戦力を持たせる
    • オリジナルキャラの育成に必要なアイテムを少なくすることで、彼らを主体に攻略を進めるのであればスタミナ等のテンプレ集金要素がもたらすストレスが軽減されるようにする
  • ストーリー進行におけるシナリオと戦闘の整合性を取る。オリジナルキャラでも過去作キャラでも、シナリオで離脱しているキャラはその間のストーリー戦闘で使えないようにする(これによって後に離脱する予定のキャラでも早期加入できる)。戦闘が破綻しないようストーリー展開も考慮し、その間の敵の強さも調整する。普通のRPGは普通にやっていること。
  • 運に頼らなくてもプレイヤー自身が考えて調合品を良くしていける仕組み。例えば次のような要素の導入。
    • 中和剤等の中間素材を用いた品質向上と特性引き継ぎ
    • 付与する特性を自分で選べるようにする
    • 同じ特性を複数使うことによるレベルアップや合成が可能で、運ではなく調合ルートの組み立てで確実に最高レベルを作る方法がある
    • その他、触媒・活性化アイテム・アイテムリビルドなど従来作からの調合システム導入や、キャラ覚醒時に高レベル特性付与確率を大幅に上げる等の工夫で、ゲームを進めるにつれて運頼みから理詰めの調合へと移行していけるゲームデザイン
  • 誰が推しキャラであっても幅広く活躍させられる、育成と戦力強化のカスタマイズ性。例えば次のような要素の導入。
    • スキルツリーのような仕組みで、キャラ性能をどのロールに寄せて育成するか選択可能にする
    • キャラ人気に関わらず全員に2つ以上のロールが実装され、推しキャラや推しの組み合わせで編成したい時にも柔軟性を持たせる
    • 装備品等で誰でも使用できるコモンスキルがあり、元のロールの特徴以外のスキルも使えるようになる
    • 装備品の効果にキャラの属性やロールを指定しないものを増やす
  • アイテムが活躍し、アイテムで強敵を攻略できるアトリエらしい戦闘。例えば次のような要素の導入。
    • 戦闘中のアイテムの使用可能頻度を上げ、ゲージ制だとしても複数回分ストックできるようにして使い勝手を上げる。使用対象も選べるようにする
    • 攻撃アイテムの威力を上げ、敵の属性耐性も爆弾の使い分けで対応できるようにする
    • 状態異常の治療アイテムや耐性装備、極端な属性耐性を低減できるデバフアイテム、蘇生効果を持つ回復アイテムなどを充実させ、敵の特徴や戦況に調合で対応できる自由度を持たせる
  • 調合や採取のモーションはレスナメインでやる。雑な共通モーションだらけで解釈違いを連発するくらいなら他キャラを使えるようにする必要はない
  • 図鑑説明文の充実。レスナ口調でのアイテム解説など
  • 揺れもの設定をオフにできる選択肢
  • こういった工夫によって少しでも従来作と同等のプレイ感を維持しようとする配慮ができない、あるいは元々する気がないのであれば、最初からA25やアトリエ正統新作を名乗らない

「レスレリアーナのアトリエ」に対するTwitterアカウントや本ブログでの投稿スタンス

「レスレリアーナのアトリエ」に対する私のTwitterアカウントや本ブログでの投稿について、スタンスを書き残しておきます。以前にもツイートしたのですが、詳しく書くと長くなるのでブログ記事にします。

ただの個人の情報発信なので好きなようにやりますということでも良いのですが、ネガティブな発言がどうしても増えると思うので。気になる方は必要に応じてフォロー解除・ミュート・ブロック等の対応を取っていただければと思います。

しばらく本記事へのリンクをTwitterアカウントのプロフィールに固定しておきます。

私の現状(2023年11月時点)

所持スマートフォンが「レスレリアーナのアトリエ」非対応のためSteam版を待っている状態です。言ってしまえば「プレイせずに批判している」という状態になります。

「プレイせずに批判する」というのは私も嫌いな行為ですしなるべく避けたいと思っています。しかしSteam版の提供開始が当初の予想より遅いこと、提供開始されれば必ずプレイすると決めていること、そしてコレがアトリエシリーズ正統新作として運営されているという事実が私にとってあまりにも重すぎることから、先行して批判や言及を行っています。

率直に言って、今作で問題だと感じていることはゲームシステムの根本全てであり、プレイしなくても分かる情報だけで私が「歴代最悪のナンバリング作品」と評価するには十分過ぎます。具体的には、

  • 今作オリジナルキャラの実装優先度が著しく低く、過去作キャラ(=ガチャ商材)ばかりを大量に投入している
  • 調合システムが中身スッカスカの「くじ引きの景品を使ったくじ引き」に成り下がっており、中間材料を用いた特性継承のルート構築などプレイヤーが考えてアイテムを作り込む自由度や面白みが著しく低い

という点は公式の情報発信や攻略情報を見れば分かりますし、この2点だけでアトリエ正統新作としては致命的です。実際にプレイして分かる細かい機能・快適さ・作り込み等で多少評価が上下したところで、根本的な問題が大きすぎるため「歴代最悪のナンバリング作品」という評価が変わることはないと断言できます。

1月予定のSteam版提供開始までに改善されることも一切期待はしていませんが、それでも自分の目で確かめるためにプレイはするし、その後で改めて感想記事を公開します。記事の文章はほぼ書き上げている状態ですが、実際のプレイ体験を元に加筆・修正を行い、自分の感想として公開します。

何故今作を批判するのか

私が「レスレリアーナのアトリエ」という作品を批判するのは、ひとえにこれが運営陣によって「アトリエシリーズ正統新作」と主張されているからです。さらに言えば、私の批判には次の2つの目的があります。

  • A24までの素晴らしいコンシューマ作品達と比べた今作の劣化点を徹底的に比較し批判することで、従来作の名誉と価値を守ること。言い換えれば「完全な別物なので一緒にしないでくれ」と主張することで、今作の悪評とアトリエシリーズ全体のイメージを可能な限り切り離すこと。
  • 今作の問題点を徹底的に批判することで、次回作以降のアトリエ正統新作が、A24までの完成度の高いシステムを引き継ぎ進化させたコンシューマ作品に戻るよう働きかけること。

私が発信するのはあくまで私個人の感想ですが、既にネット上でゲーム内・ゲーム外の諸々について相当な悪評が立っているのは事実です。特にコンシューマ作品未プレイの方から「アトリエシリーズって調合システムが奥深いって聞いてたけどただのガチャじゃん」等の感想を持たれるのは心外です。従来作品の名誉を守るためには徹底的に比較して別物だと主張し続けなくてはいけません。

私はゲームを作ってくれたクリエイターの方々に敬意を示したい、ネガポジどちらの意見も敬意を持った上で表明したいと思っています。しかし今作の場合はコンシューマ作品のシステムを作ってくれた方々のほうが遥かに優先です。これまでとこれからのアトリエ作品に敬意を示すために、今作には強い言葉で批判しなければならないと思っています。

もし仮に(ないと思いますが)今作に付けたA25の看板と「アトリエシリーズ正統新作」という主張を永久に取り下げると運営陣が公式に表明し、アトリエナンバリング作品が築いてきた価値を守り続けてくれるのであれば、このガチャゲーは単にnot for meなだけのものとして扱い、批判は取り下げます。例えば従来作品についてもゲーム本編以外のグッズ・店舗特典・DLC衣装などの一部では異常なエロ媚びが目立ちましたが、ゲーム本編で強制されないなら勝手にやってくれというスタンスでした。それらと同じ位置付けになります。

そして私の目的の1つに次回作以降の完成度の回復、さらに言えば今作のような愚行を二度と繰り返させないことがあるため、私は既に3回公式の問い合わせフォームに意見を送っています(今後も送る予定です)。ユーザーの声として少しでも次回作以降に影響を与えられるのであれば、インプットは早いほうが良いという判断です。

やらないこと

個別のイベントや炎上ネタ等に対する「揚げ足取り」的な批判は行いません。いわゆる炎上ネタによってアトリエシリーズの悪評が広がることも私には悲しいのですが、あくまで根本的な問題は今作のゲームシステムの完成度の低さ(そしてそれを正統新作と主張していること)です。

例えば最近開催された調合キャンペーンですが、ネット上では「不公平感の増長」「石をエサにした課金煽り」等の批判や「誰も損しないキャンペーンだから良いだろ」等の擁護意見がありました。私の視点は異なっていて(こんなゲームの石とか要らないし)、

  • そもそも今作の調合システムが、プレイヤーが考えてアイテムを作り込む自由度や面白みが著しく低い、ただパチスロのような演出で射幸心を煽るだけのくじ引きに成り下がり、アトリエ正統新作の調合システムに求める魅力や完成度を一切満たさないこと
  • 調合における射幸心煽りをさらに助長するキャンペーンの開催によって、運営陣が現状の調合システムの酷さに関して問題意識や反省意識を全く持っていないと判明したこと

が私にとっての最大の問題であり、これを批判する意図のツイートを投稿しました。未プレイだからなあという意識が働いてツイートではボカした書き方になってしまいましたが、公式への意見では上記2点をしっかり書いて送りました。

運営陣のインタビューや生放送での発言を批判する際にも言葉尻を捕らえるのではなく、ゲームシステムの完成度の低さを批判することを前提に、実情とかけ離れた誇大広告のような発言を取り上げて反論・指摘します。「シリーズの正統新作」「RPGとしてもこだわり抜いたタイトル」「おそらく,ファンの皆さんがイメージする「アトリエ」シリーズのプレイ感と大きくは変わらないはずです」等の発言はその最たるものです。

また今作を楽しんでいる方や、納得した上でガチャ等にお金を払っている方の判断を否定するような発言も行いません。問題点を感じながらも今作を前向きに楽しんでいる方や、推しの過去作キャラが登場することを非常に重視している方がいることも理解しています。「優良なユーザーはシリーズから離れる」「まともなアトリエファンならこんなもの認めない」のような主語の大きい主張は行いません(サービス開始初期にいくつか他のプレイヤーの方に言及するツイートを行いましたが、削除しました)。私が行う批判はあくまで私という1人のアトリエファンの意見です。

一方で「批判に対する批判」であって、特にそれがコンシューマ作品の特徴を短絡的に持ち出して今作の問題点を擁護する意見(例えば、キャラ育成の労力や調合による戦力拡張の自由度の著しい差を棚に上げて「理不尽な状態異常・属性耐性・解除不可デバフ等はコンシューマの敵が使うこともあるから、今作でやっても文句言うな」等)である場合には、それを取り上げて反論することはあります。短絡的な共通点だけを持ち出してこんなものと一緒にされたくないし、私の目的に反するからです。

おわりに

今回の記事はアトリエ作品というより私自身に関する記事でしたが、ここまでお読みいただきありがとうございました。長々と書きましたが、結局は

「レスレリアーナ」よりも「アトリエシリーズ」のほうが私にとっては遥かに大事です

という一言に尽きます。

私のTwitterアカウントを以前からフォローしてくれている方だけでなく、今作の件で私が荒れている時にフォローしてくれた方もいて、「あまり気分の良いことはツイートしてないよ…?」とも思ったりしたのですが、ストレスを溜めながら中途半端にネガティブ発言が漏れ出るのも良くないと思ったので、自分のスタンスを書き出しました。

この記事の公開後は「レスレリアーナのアトリエ」に対するネガティブな言及が以前よりも増える予定です。気になる方はフォロー解除等の対応をお願いいたします。その上でフォローや交流を続けてくださる方、いつもありがとうございます。

今まで通りコンシューマ作品や楽曲に関するポジティブな言及や考察などは変わらず投稿していきますので、よろしくお願いいたします。

今だからこそ魅力を語ろう。「リディー&スールのアトリエ」感想

最近の「レスレリアーナのアトリエ」の展開を見ながら、私が求めるアトリエ作品の魅力って何なんだろうということを考えています。

「マリー」から「ライザ3」まで歴代アトリエ作品にはそれぞれの魅力があり、時代が進むにつれて進化や挑戦を続けてきました。その中でも私が求めるものがほぼ全て詰まっていて、総合的な完成度が特に高い作品だと思っているのが「リディー&スールのアトリエ」です。今作が2017年に発売されて以降、それより新しい作品もいくつか発売されましたが、今でもその気持ちは変わりません。

発売当時はアトリエ1作品ごとに感想記事を書いていなかったため、当時のプレイ感想が残っていません。アトリエシリーズがこれからどうなっていくのか予想できない今だからこそ、この作品の感想を述べ、魅力を語りたいと思います。

おことわり

  • この記事は私個人の感想や評価です。
  • 「ソフィー」「フィリス」「リディー&スール」3作のネタバレを含みます。ご注意ください。
  • DX版ではなくオリジナル版の内容に基づく、当時のプレイ体験を振り返りながらの感想です。

ストーリーとキャラクター

今作の主人公は双子の女の子、リディーとスール。2人はずっと一緒に行動しているので会話が尽きることはなく、イベントはいつも賑やかです。今作のプレイ体験全体を通した心地よさやクスッと笑うような面白さは、この主人公2人の魅力によるものが大きいと思います。

今作のストーリーをワンフレーズで述べるなら「家族愛をテーマとした王道ハートフルストーリー」でしょう。リディーとスールは3年前に亡くなった母親オネットへの想いを胸に、母親との約束を果たすために奮闘し成長していきます。そんな母親と奇跡のような再開を果たす過程で、序盤からお調子者として振る舞っていた父親ロジェの本心も明らかになっていきます。そして大切な母親を危機から救うために2人は戦い、さらに錬金術の力で母親を現実世界に蘇らせます。

トゥルーEDで故人を蘇らせてのハッピーエンドというのは流石に話が出来すぎている気もしますが、そんな指摘も野暮だと思えるくらいに家族の幸せが温かく描かれた最高の結末だったと思います。

リディーとスールは街の人々にも愛されています。ストーリー中盤で彼女たちは故郷を守るためにファルギオルを撃退し、逆にストーリー終盤のイベントでは街の人々が2人のために大事な情報の書かれた本を探してくれます。名前のあるキャラだけでなくモブの住民達が2人を助けてくれることで、故郷の温かさが見事に描かれています

主人公以外のパーティメンバーも魅力的で、特にマティアスの存在が大きいと思います。今作のパーティメンバー(DLC除く)で純粋な新キャラだと言えるのは主人公とマティアスだけです。このマティアスが最初に仲間に入って、ギャグ的な面も真面目な面も見せながら(主にイジられ役として)パーティを盛り上げていくため、私はプレイ前の印象よりも格段にマティアスのことが好きになりました。そこからフィリス・アルトと加入し、ファルギオルと対峙するピンチで満を持してソフィーが登場する流れは見事です。

「ソフィー」「フィリス」で登場した過去作キャラ達の物語も、全員ではないものの多くの伏線をキレイに回収してくれました。家族が再集結したフリッツ達、父親と再開できたコルネリア、プラフタを真に人間にするという大きな目標を叶えたソフィーとプラフタ、そしてようやく穏やかに言葉を交わすことができたプラフタとルアード。他にもカルドが属する「標の民」の話など回収してほしい設定はありましたが、十分でしょう。

絵の中で出会う人々も魅力的でした。フーコやネージュ、ざわめきの森のオバケなども可愛いのですが、その中でも私が好きなのがキャプテン・バッケンのイベントです。パーティメンバー総出でノリノリで子分になりたがるのが可愛すぎる。

メインイベントもサブイベントも、真面目なところは真面目に、ギャグはしっかりギャグにというメリハリが効いていました。基本的にはギャグの中でもキャラを大切に扱ってくれる中で、リアーネだけはかなり誇張というか暴走が激しかったような気がします。3つの贈り物イベントはとても素敵だったのでまあ良いでしょう。

ストーリー進行に関して1点ネガティブな感想を書くと、ロジェの時限イベントはメリットがない上に最悪詰むので無いほうが良かったと思います。この頃は日数制限のあるなしについてアトリエシリーズがまだ模索していた時期だったので、「フィリス」の前半と同様に部分的に入れちゃったのかなと思いますが。今のアトリエのプレイ感ややり込みの深さを考えると無いままで良いと思います。

探索と採取

今作の探索フィールドは、現実世界の街の外にある地上フィールドと、絵の中の異世界からなります。特に絵の中の世界はどれも個性豊かで、歩いている時の画面や足跡の演出も素敵です。それぞれの絵画世界に最初に訪れた時のナレーションもとても良いですね。

高低差がないので道は分かりやすく、敵避けもしやすいです。探索はけっこう快適ですが、前作「フィリス」にはあったエリア全体の地図表示やランドマークへのファストトラベルが無くなってしまったのは残念です。マップ切り替えが入る各エリアの入り口まで飛ぶ機能は欲しかったな。

見つけたい素材がエリア内のどこにあるのか分からないという問題はこの頃からあり、「ライザ3」に至るまで今もなお解消されていません。ただ今作の場合はマップ規模が小さく採取オブジェクトの種類も少ないため、だいたい少し歩くと目当ての素材を見つけられることが多いです。これ以降、マップの大規模化や採取オブジェクトの細分化がどんどん進むにつれて問題が顕在化していった印象です。

全体的に探索は可もなく不可もなくといった印象で、絵画世界の美しさとキャラ達のセリフのおかげで歩いているだけでも楽しいと思えます。

調合システム

調合システムは不思議シリーズを通して採用されているパズル調合。3作目となる今作ではこれまでの問題点も解消される一方で、システム自体がかなり複雑になりました。

「ソフィー」の時間制限と「フィリス」の熟練度、前2作で不評だったシステムを潔く廃止したのは良いと思います。調合に限らず今作には、前2作で試して不評だった要素を潔く捨てている面が多数見られ、ストレスのないプレイ体験を実現していると思います

一方で今作の調合システムは、材料の錬金成分の多様化、触媒と活性化アイテムによるバリエーション、そしてマークと色の両方を考慮しないといけないパズルの複雑さと、若干やり過ぎと思うくらい要素が多いものになっています。慣れないうちは要素の多さに面食らいますが、アイテムが集まってくると使いやすい触媒や置き方のパターンが分かってきて、この調合システムを使いこなせるようになります。

今作に限らない話ではありますが、調合によってアイテムや装備を強化できる自由度は非常に高く、品質・効果・特性などを作り込んでいくことで強敵をなぎ倒していくことができます。超威力の爆弾で吹き飛ばすのも、装備でステータスを上げてスキルで削るのも、デバフで敵の攻撃を封じ込めて有利に戦うのも、敵の攻撃を観察して属性や状態異常などの対策を取りながら攻略していくのも自由。私はここがアトリエシリーズの魅力の根幹だと思っており、今までの作品では当たり前のようにこれらの魅力を守ってきてくれたので感想記事で触れることも少なかったのですが、今となっては感謝するばかりです。

歴代のダブル主人公作品のいくつかでは、選択した主人公によって作れるアイテムや調合の選択肢に差があり、作り直すには周回しないといけないという問題がありました。今作の主人公はどちらを操作するかいつでも切り替えられる上に、どちらを選んでいても調合時の差がないためストレスフリーになっています。

調合操作の快適さという点では、

  • 並べ替えや絞り込み機能はある程度不自由しないくらいに整っている
  • 前2作では段階的に解放された成分投入時の回転が標準機能になっている
  • 成分を配置している途中でも、未投入の材料は入れ替えられる

等、便利な機能はけっこう揃っています。一方で今のアトリエ作品に慣れると、アイテム完成後じゃないと特性を選べない(作成する前に巻き戻せない)のはかなり不便です。ここは今作以降のアトリエで大きく改善された部分だと言えるでしょう。

戦闘システム

戦闘はお馴染みコストターンバトルで、最大6人で戦闘することができます。「シャリー」などでは前衛の誰に対しても後衛からアシストをすることができましたが、今作では前衛1人と後衛1人がペアを組む形式になっており、前衛の行動に反応してペアの後衛がフォロースキルを使います。いわゆる必殺技「コンビネーションアーツ」もペア単位で行うため、出したい技があれば予めペアを組んでおく必要があります。

「シャリー」などのシステムではアシストを行うと後衛キャラが交代して前に出てくるため、手数を稼ぐように戦うと前衛で戦うキャラがどんどん入れ替わります。それも6人全員で戦っている感じがしてとても魅力的でしたが、今作もまたキャラ同士の連携が感じられる良いシステムだと思います。

そして主人公たちの特権であるバトルミックス(後にDLCキャラも使えるようになりましたが…)。戦闘中に即席でアイテムを調合して使うという技です。採取素材を使うバトルミックスもありますが、真骨頂は元々持っている爆弾などをさらに強化して使えるエクストラミックスです。「メルル」のポテンシャライズや「エスカ&ロジー」のWドローに近い技で、アイテム版の必殺技と言えるでしょう。私はスキルとしての必殺技も好きですがやはりアイテムで大ダメージを出すのが好きなので、アイテムを派手に活躍させられる要素があるのは嬉しいです。

パーティキャラがマティアス以外全員錬金術士ということもあって仲間達もアイテムを使えますが、使えるカテゴリがそれぞれ違います。細かいことを言うと、リディー・フィリス・ソフィーが全カテゴリ使える万能型ならスーちゃんも同じで良かったんじゃないかと…。主人公勢のこの4人に「ゼーレキャンバス」「はじけるおくりもの」「原初/終末の種火」「一球入魂メテオボール」とそれぞれ専用攻撃アイテムが用意されているのはとても良いと思います。N/Aのほうが強いけどね!

音楽

今作は音楽も魅力的です。曲数も非常に多く、4枚組のサウンドトラックとボーカルアルバムにぎっしり収められています。

まずは通常戦闘曲について。操作キャラをリディーにしている時の「紫陽花」シリーズとスールにしている時の「向日葵」シリーズが、ストーリー進行に応じてそれぞれ3パターンあります。さらにラストダンジョンでは専用曲「Albireo」が用意されるという大盤振る舞い。ストーリーの盛り上がりとともに、リディーとスールそれぞれの成長を象徴しています。

汎用ボス曲は「Mysterious Painting」と「Gemini Wing」という対照的な2曲。特に「Mysterious Painting」は可愛さ全振りの汎用ボス曲ということで、ここまでの歴代楽曲の中ではとても珍しいです。音楽堂ではリテイクになりかけたこの曲をプロデューサーに救ってもらったというエピソードが語られています。個人的にはこの流れが後の「なんとかなるなる!」などにも繋がっていったと思っていて、アトリエサウンドの選択肢を広げてくれた曲だと思っています。見た目のゴツい敵で流れるとちょっと笑っちゃいますけどね。

現実世界のフィールド曲は阿知波さんが担当されていて、タイトルが「ふたごの小鳥、◯◯する」という形式になっています。阿知波さんはいくつかの曲でリディーとスールを双子の鳥と喩えていて、「Prism」の歌詞にも"幼い鳥が羽ばたいてゆく"というフレーズがあります。そんな2人が成長した終盤で流れる曲のタイトルが「Albireo」、はくちょう座に含まれる二連星の名前です。センスが良すぎる。

絵画世界のフィールド曲は主に矢野さんと柳川さんが担当されていて、個性豊かで幻想的な楽曲が揃っています。やはりイチオシは星彩平原の「同じ星を見上げて」、風景の美しさや感動的なイベントの数々によってとても思い出深い曲です。他には氷晶の輝窟の「蒼淵のきらめき」なども大好きです。

他にも素晴らしい曲がたくさんあって、雑誌付録のPS4テーマで「双葉」を聴いた瞬間に好きになってひたすらリピートした思い出とか、フィリスの試練で「Journey to the Beyond」を聴いて感動した思い出とか、本当に語り尽くせません。

ちなみに発売当時にボーカル曲の感想を全曲書いた記事はあります。今と文体が全然違って読み返すと恥ずかしいですね。よろしければどうぞ。

リディー&スールのアトリエ ボーカル曲感想 - Ultimate Rondo

丁寧な作り込みと遊び心

ここまでゲーム内のシステムや要素をいくつか取り上げて感想を書いてきましたが、今作の魅力はそれだけではなく、本当に丁寧で細かい作り込みとアトリエ愛に溢れる遊び心にあります。いくつかピックアップします。

図鑑、やることメモ等の作り込み

不思議シリーズの図鑑は「ソフィー」以降、アイテムやモンスター等の各ページにキャラ達の会話が載っています。ギャグだったり真剣な会話だったり色々あって読むのがとても楽しいです。

今作ではさらに、ストーリー進行において次の目標を示す「やることメモ」が、リディーとスールがお互いに書きあうような形で書かれています。これが本当に可愛い。2人のボケツッコミが見られたり、真面目な気持ちが伝わってきたり、ミレイユやフーコがいつの間にか書き込んできたり。主人公達のキャラをとても大事にしてテキストを書いてくれたんだなと思います

喧嘩イベント関連

ストーリーの中にはリディーとスールが喧嘩をして、2人が不機嫌になる期間があります。この時はストーリー内のイベントだけでなく、普段ゲーム内で流れる移動・採取・調合などの大量のセリフが不機嫌モードに変わります。

それだけでなく、多分喧嘩イベントに合わせているのかな?と思う点があって、それは図鑑です。

図鑑での会話はリディーとスールの登場頻度が圧倒的に多いのですが、喧嘩イベント中に訪れる星彩平原、そしてそのイベント進行に必要となるアイテムの会話には登場しないのです。2人が喧嘩している最中の仲間たちの会話なのかもと思いますし、プレイヤーが図鑑のこのページを初めて開く時の状況を考慮したのでしょう。これに気づいた時にはびっくりしました。

虫嫌いとオバケ嫌い

スールは虫嫌いとオバケ嫌いであり、イベントでも随所でその描写があります。ついでにオバケ嫌いはソフィーも同じなので2人揃って怖がっていました。

前述のやることメモや図鑑でのスールの書き込みにもその様子が見られますが、注目は調合中。スールを操作キャラにして虫の素材を選ぶと悲鳴を上げます。これが好きすぎて(あと身構えていないとビックリするので)今作以外でも虫の素材を選ぶたびにスーちゃんを思い出すようになってしまいました。

過去作由来のオマケ要素

今作はアトリエ20周年記念作品であり、直接ストーリーには関わらないもののお遊び要素としてアトリエ過去作の要素がいくつか組み込まれています。

まずは武器屋の店主ハゲル。パメラは「ソフィー」からずっと登場していましたが、ハゲルは久しぶりの登場となります。キャラとして登場するのはまだ分かりますが、絵画世界のあちこちにハゲル像があって調べると爆発するというのはどういう発想で産まれたんでしょう。遊び心があり過ぎます。

次にイルメリアが飼っている手乗りプニ達の名前。「ぷにまるだゆう」とか「ぷにゅににゅ」とか見たことある名前が並んでいますが、これは「トトリ」でトトリがちむたちに付けた名前が元になっています。

さらに細かいネタだとトロフィー名の1つである「合体奥義・真・滅殺秘剣神竜…」。イベント中にスールも似たような技名を叫びますが、元ネタを知らないと何だこれはという感じでしょう。「イリスのアトリエ エターナルマナ」に登場するベグルという敵キャラが、必殺技の名前が長すぎて詠唱に時間がかかる(その間に攻撃して中断させる)というネタがあり、その技名が元ネタになっています。

あとはフィリスのキャライベント中に、背景に必ずどこかに紛れ込んでいるキモカワな顔の人形。終盤のイベントだと発見難易度が高すぎてウォーリーみたいになってました。「ソフィー」でも神の落し物で降ってきたりしますが、私が知る限りの初出は「イリスのアトリエ グランファンタズム」のアイテムであるヘルドールです。フィリスとの特別な繋がりはないと思いますが、フィリスがキモカワな人形が好きという設定によって起用されたのでしょうか。

他にもタイトルコールで前2作や前世(?)の記憶から言い間違えるキャラ達がいたり、私が思い出せないだけで他にも過去作ネタは盛り込まれていたと思います。仕込まれているけどまだプレイヤーの誰にも気づかれていないネタというのもあるかもしれません。

このように、イベントシーンだけでなくゲームをプレイしている中でのあらゆる場面において、キャラクターの魅力や開発スタッフさんの作品への愛を感じることができる要素があります。歴代アトリエ作品の多くでもこういった作り込みはされていると思いますが、この「リディー&スール」はその中でも抜群だと思っています。

総括

発売から約6年経った今、「リディー&スールのアトリエ」という作品を改めて見直し、私が思う魅力について語ってきました。本当に丁寧に作られた、あらゆる面で総合的な完成度の高い作品だと思っています

遊びやすさという点で、アトリエシリーズ初めてという人には本当はこの作品を勧めたいくらいなのですが、深く楽しむには前2作からやったほうが良いというのが悩ましいところです。前2作はシステムの変更を試したり技術的な挑戦をしていて、今作と比べると少し遊びづらい点もありますが、前2作も良い作品です。

この記事を書くにあたってゲームソフトを久しぶりに起動しましたが、もう図鑑の会話や音楽堂のコメントを眺めているだけで数時間溶けます。危険です。本当に多大な労力と配慮、そして情熱が注がれた作品なのだと思うし、これを創り出してくれたことに感謝するばかりです。

今回の記事では触れませんでしたが、後に作られた「ソフィーのアトリエ2」も、今作と並ぶくらい魅力に溢れた、総合力の高い作品でした。感想記事を書いていますのでよろしければ。

「ソフィーのアトリエ2」感想とこれからのアトリエへの期待 - Ultimate Rondo

この記事では「リディー&スールのアトリエ」という素晴らしい作品を振り返りつつ、私がアトリエシリーズの魅力だと感じていること、そして新しいアトリエ作品に求めているのはこれなんだという主張をさせていただきました。これからのアトリエシリーズにおいて、今作に匹敵するような、あるいは超えてくれるような、魅力的で没頭できるプレイ体験、ゲームとしての総合的な完成度と快適さ、そして遊び心とシリーズ愛に溢れた作品に出会えることを心から願っています。

再構成されたストーリー、こんな村が見たかった。アニメ「ライザのアトリエ」最終話まで観た感想

2023年7月から9月にかけて放送・配信されたアニメ「ライザのアトリエ」。ついに最終回を迎えました!

第1話視聴時点第4話まで視聴時点とこれまで何度か記事を書いてきましたが、改めて最終回まで観た感想記事を書きたいと思います。

※アニメで触れられなかった「ライザのアトリエ」原作でのストーリーや、「ライザ2」「ライザ3」のストーリーについての言及も含むので、ネタバレ等ご注意ください。

ストーリー

原作と同じく高橋弥七郎さんが構成されたストーリー。原作の中盤までしか進みませんでしたが、その代わりに

  • ライザ達が未熟な状態から成長する過程を描く
  • 原作より膨らませたパーティメンバー達の会話や、ライザがいない場面でのキャラ同士のやり取りを追加する
  • 原作では単なるおつかいクエストだった水没坑道の試験やガレキの除去を、上手くアニメの各話のメインエピソードに仕立てている
  • 村人達とのサブクエストをストーリーに組み込み、ライザ達の活躍を知った村人や家族が後に協力してくれるシーンを作る

等、1つ1つのエピソードがしっかり広げられていて非常に良かったです。

原作のストーリーでは、ライザ達のそれぞれの目標、ボオスとの確執と村の水源の問題、アンペル達の目的とフィルフサへの対処、島の動力安定化問題と、様々な問題が次々に顕在化し同時並行で進んでいきます。そのためゲームのイベント通りに進めると、どこで切っても未解決問題は残ってしまいます。フィルフサの問題やボオスとの確執が解決されないまま終わった点は中途半端ではありますが、原作にない形で無理矢理解決した扱いにするよりは良かったのかなと。もし2期があれば期待です。

ライザが村人達の役に立つことで錬金術に理解を示してもらい、彼らが後にライザに協力してくれる展開は、まさに私が「こういう故郷の村が見たかった」と思えるようなものでした。この点では、ライザ達が村から孤立していくような原作ストーリーよりも遥かに良かったと思います。

アニメで改変された点の多くは納得できるものでした。例えば

  • ライザの初期武器が農具に変更(原作では錬金術を知る前から錬金術士っぽい杖を持っていた)
  • クライディアの武器が「ライザ2」以降の持ち武器である弓に変更(原作ではフルートでの音波攻撃という超能力的な戦い方だった)

などはより自然な設定になりましたし、

  • 第4話でアンペルが、錬金術の強すぎる力を無責任に使うことの危険さをライザに諭すシーンを入れる(原作では中盤アンペルが仲間に加入するシーンで、アンペルの過去と錬金術に対する信念が語られ、「ライザ3」のメインストーリーにも繋がる)
  • 第4話でタオが、古代文字を読むことで仲間を救うというシーンを入れる(原作では中盤以降にタオの知識が役立ち、終盤に島の動力を安定させる場面で大活躍する)
  • 第7話以降でクラウディアが、ライザ達と冒険するために自ら弓の修業に取り組む(原作ではクラウディア自身の努力はあまり描かれず、ライザに頼り切りという面が強かった)

など、原作では中盤以降や続編で発揮されるキャラの魅力や信念を早い段階で展開に組み込んでいます。原作の終盤の展開が描かれなかった中で、これらはとても良い変更でした。

第5話のギャグっぽいアニオリ回も楽しかったです。秘密シリーズって他のアトリエ作品と比べるとイベントのギャグ要素が控えめなので、こういう話ができるのはアニオリ回ならではだと思います。

第11話で翼竜討伐というクライマックスを描き、最終話でアニオリの日常回をやって締めるという構成には少し驚きました。大団円と言うには物足りないですが、原作ストーリーの後半が問題続きだったため、アニメではあえて日常回で明るく締めたいという意志にも思えました。個人的には良い終わり方だったと思います。

キャラクターデザイン、映像、作画

アニメ公式サイト等で見られるキャラクターデザインは非常に良かったです。トリダモノさんのイラストをベースに、アニメらしくすっきりとしたデザインになりました。シーパラコラボのキービジュアルがとても好きです。

アニメ本編で特に良いと思ったのがキャラの表情です。ゲームの3Dモデルも笑顔やウインクなどは可愛いのですが、コミカルな表情パターンはありません。アニメだと場面ごとにコミカルで多様な表情を表現できるのでキャラがとても魅力的に思えました。もっとギャグっぽい表現があっても良かったくらいです。

一方で、OP/ED映像と本編のほぼ全話でライザの太ももを強調するアングルが非常に多く存在します。うんざりするほど頻繁に繰り返され、あまりにも無差別的かつ無神経に、どんなシーンにも節操なく挿入されています。第4話のアンペルがライザを諭すシーンや第11話で翼竜と対峙するシーンなど、シリアスでストーリー上非常に重要なシーンにまで侵食させてくる姿勢には呆れました。

そして調合シーンのアニメーションは、錬金術をテーマとした作品に対するものとは思えないほど、調合そのものの演出が手抜き過ぎてライザの身体ばかりを強調していました。私の感想を端的に言うと激ダサです。このアニメが錬金術や調合という行為をどういうものと解釈し、どう表現したいのか全く伝わってきません。引きの構図での作画や出来上がりシーンの手抜き加減と比べて、太ももや胸のアップは異様に描き込まれていて、何を軽視し何を偏重しているのかは明白です。以前のアニメ「エスカ&ロジー」の電子レンジのような調合シーンは「ちょっと安直だけどゲームで表現されてないから仕方ないよね」という感想でしたが、調合シーンを露骨に利用された今作のほうが遥かに印象が悪いです。

第5話の水着回(「エスカ&ロジー」であれば温泉回)のように、振り切った回でまとめてやってくれる分には良いのです。太ももが原作の話題性獲得に貢献した要素であることは事実だと思います。ニコニコ動画のコメントをセクハラで埋め尽くすような、エロとネットミームに群がる一部の視聴者層へのサービスも、少しはあってもいいでしょう。でもシリアスなシーンや調合シーンでは、もっと大事なことがあるんじゃないですか?

総じて絵コンテや映像演出を担当された人(あるいは上位の意思決定者である監督など)が、あまりにも原作に無理解だったか、安易な世間のバズりに迎合して他を軽視してしまったか、何も考えていないかのどれかだろうと思います。絵コンテ等は話数ごとに担当者が変わっていますが、全体通してこの調子なので監督またはチーム全体の意向でしょう。

せっかく原作のストーリー担当者を招いて丁寧に構成されたストーリーがあって、錬金術というアトリエシリーズ全体を象徴するテーマがあるのに、それらが軽視され映像面の安易なエロによって邪魔されたことは悲しいです。いくら原作に登場する建物や風景をたくさん描いても、原作のアイテムやモンスターをたくさん登場させても、第4話を観て以降「絵コンテや映像演出の担当者が原作をどれだけ尊重してくれているか」に対する私の信頼は一切なくなりました。

戦闘シーン

第1話でテンポが悪すぎると感じた戦闘シーンですが、やはりあれはライザ達の戦闘の不慣れさを表現する意図的なものだったのでしょう。第11話での翼竜との戦闘は、4人全員が活躍してしっかり連携する素晴らしい流れでした。

原作の戦闘では仲間の行動は非常に単調であり連携も何もないので、原作よりちゃんと連携して戦闘してる!と謎の感動を覚えるほどでした。ゲームのほうが見習って欲しい。

攻撃アイテムの映像演出は、ガレキ破壊時のフラムの火柱、翼竜戦のローゼフラム、アンペルがフィルフサに使ったプラジグなど、少し安っぽいかなという印象を受けました。しかし一方で、モンスターを殺す描写や人の怪我の描写が生々しすぎないのは個人的には助かりました(グロいものが苦手なので)。どちらも「リアルさを捨てて記号的な表現にしている」という点では同じなので、ここの良し悪しは人によるでしょう。個人的にはアイテムの演出がもっとカッコ良かったらなと思いました。

声優さんの演技

声優さんの演技は素晴らしいの一言でした。インタビューでは「ライザ3」まで演じ切ってしまったため「ライザ1」の感覚を取り戻すのに苦労したエピソードが語られていましたが、キャラと長く向き合って経験を積まれたからか、より活き活きしているように感じられました。

パーティキャラ以外ではモリッツさんの演技が好きです。

BGM

「トトリのアトリエ」以来多くのアトリエ楽曲を作られている柳川和樹さんによるBGM。私にとっては聴き馴染みがあって心地良かったです。劇伴に徹するような控えめな曲が多い一方で、少ないながらも柳川さんらしいオシャレな曲が効果的に使われていました。第5話の素材探しシーン等で流れる「お出かけ」が個人的にお気に入りです。

ゲームとアニメでBGMの使い方を比べると、ほぼ全ての時間でBGMが流れているゲームと違い、アニメだと意外とBGMのない時間が多かったです。BGMが流れ出したタイミングを過度に意識させないよう、イントロも控えめに作っているのかな?と思いました。音楽堂コメント等を読むとゲームBGMはイントロの掴みをかなり重視されていますからね。

そしてやはり注目したいのは戦闘曲。第11話の翼竜戦で流れる「古城の決戦」は、迫力がありながらもオシャレでメロディアスな、柳川さんらしい曲です。アニメ「エスカ&ロジー」でもフラメウ戦のBGM「あの春を目指して」がとても好きなんですが、けっこう近い曲調かなと思いました。

主題歌

OPテーマの「ゴールデンレイ」とEDテーマ「アロー」の曲は、BGMとは対照的に良い意味でアトリエっぽくない曲だと思います。本記事では特に「ゴールデンレイ」について語りたいと思います。

三月のパンタシア『ゴールデンレイ』 - YouTube

作詞・作曲者はるまきごはんさんのツイート

MVで描かれる2人がライザとクラウディアをモデルとしていることや、アトリエサウンドで多用される6/8拍子やアコースティックギター主体の楽器構成である点は、アトリエ作品を意識して制作されていると思います。一方で、タイトル通りの力強く進む光のように、ボーカルメロディで同じ音の繰り返しや不連続的な跳躍が多い点はアトリエサウンドとは違う特徴を感じます。アトリエの曲って、インスト曲でも歌いたくなるくらいメロディが滑らかで分かりやすい曲が多いんですよね。

MVのイチョウの葉の形で表現されている、別々の道を歩み、またどこかで出会ってという関係は、まさに「ライザ1」「ライザ2」「ライザ3」を通して描かれたライザとクラウディアの関係そのものです(レントやタオ達ともそうですが)。3作全てのエンディングで、目的を果たした後にライザは仲間たちと別れて1人になります。特に「ライザ3」のエンディング直前では、ライザとクラウディアが「時には離れて、時には一緒になって、自分の道を旅していく」と自分たちの関係を確認し合うシーンがあります。MV制作者さんが「ライザ3」までの展開も知った上で作られたのかどうかは分かりませんが、結果としては秘密シリーズ全体を通してライザが歩んだ道を象徴するものになっています。

そしてイチョウと言えば秋、夏が終わった後の季節。本当に良く出来てるなと思いました。

総じて

色々書きましたが、私はアトリエシリーズがアニメ化してくれる時点で嬉しいですし、素晴らしい点も多く、3ヶ月間楽しませていただきました。

ストーリーは本当に素晴らしかったです。アニメならではの表現や構成にアレンジされた点もありますし、原作のストーリーでもっとこうなって欲しかった、こんな村が見たかったという希望を見事に叶えてくれました。作中の時間軸は原作「ライザ」1作目ですが、3作通しての物語を既に経験したプレイヤーの感情に配慮してくれたのではないかとも思います。本当にありがとうございました。

映像面におけるエロの偏重と錬金術の軽視は最も残念だと思った点です。太ももアップ無差別入れたがりマンが原作のストーリーを尊重して重要な場面で自重する気持ちさえ持っていれば、そして錬金術と調合という行為をもっと大切に描いてくれれば、私の感想としては最高のアニメ化だったと思います。ですがそれを差し引いてもお釣りが来るくらい、本当にストーリーが魅力的でした。

今後もアニメなど、ゲーム以外の形でもアトリエシリーズが発展していくと嬉しいです。一番大事にして欲しいのはゲームですけどね(どうなることやら…)。お読みいただきありがとうございました。

レスレリアーナのシステム紹介や第2回生放送を受けて

「レスレリアーナのアトリエ」、第2回生放送やそれまでのインタビュー記事などで新しい情報が公開されました。本ブログで「レスレリアーナ」の記事は既に3本目となりますが、今回公開された情報に対する感想を書いていこうと思います。

今回の記事における主な情報源は、公式Twitterアカウントで公開されたシステム面の画像や動画、8月26日に公開された4Gamerのインタビュー、そして8月28日に配信された公式の第2回生放送です。

https://twitter.com/Atelier_Resleri

[インタビュー]「アトリエ」最新作は,シリーズ最高峰のキャラクターの表現に自信アリ。「レスレリアーナのアトリエ」で目指すものとは

第2回レスレリ生放送 - YouTube

今後のコンシューマ展開について

システムの話に入る前に、アトリエシリーズの今後のコンシューマ展開について。初報と同日に公開されたインタビューにも書かれてはいましたが、その後公開されたインタビューでも「当然のことながら次のナンバリングのコンシューマゲームも継続していきます」と明言されています。そして第2回生放送の最後でもコンシューマ作品について言及されたので、その点は信頼したいと思います。

「次のナンバリング」のコンシューマゲームなのか、次の「ナンバリングのコンシューマゲーム」なのかは分かりませんが、希望としてはすぐにでもコンシューマに戻って来て欲しいです。

以前の記事に書いたことの繰り返しとなりますが、「レスレリアーナ」のオフライン版リメイクも是非検討していただければと思います。このキャラクターと世界観によって作られるゲームをずっと長く楽しみたいし、量産型スマホゲームだけで使い潰すのはもったいないです。

システムについて

公式Twitterアカウントや第2回生放送でシステム面の情報が少しずつ明らかになってきました。私の印象を一言で書くと、

量産型スマホゲームのシステムの表面にアトリエシリーズの要素を薄く貼り付けた作品

です。インタビューでは「調合など『アトリエ』シリーズの要素は、きちんとスマートフォン向けに最適化しています。」と語られていましたが、順番が逆です。

スタミナ、ガチャ、凸、デイリークエストなどのシステムは、アイテム課金型のゲームがプレイ継続日数引き伸ばしと課金促進のために、コンシューマゲームとは全く別の論理で確立してきたテンプレートのようなシステムです。完全に運営側の都合で実時間の縛りが付けられ、そのせいでプレイ体験が分断される中で、いかにスタミナを効率よく頭を使わずに消化できるかという論理で設計されています。そのため文脈を思い出す必要がないようにシステム全体が単調化し、自動周回機能や細切れの報酬などが充実しています。

あまりにテンプレすぎて最近の人気スマホゲームではスタミナ等を採用していないものも多いと聞きますが、「レスレリアーナ」はまさにこのテンプレシステムをべったり採用しています。その表面だけにアトリエシリーズの要素を薄く貼り付けた結果、

  • 「全自動で周回してください」と言わんばかりの単調な一本道探索
  • 悪くはないが、イリス・マナケミアシリーズくらいのシステムの完成度に逆戻りしたような調合
  • そしてその両方を実時間で縛る最悪のスタミナ制度

が生まれてしまい、私は失望しています。今作をナンバリングタイトルとして見ると、何故か15~20年くらいシステムが退化した上にわざと遊びにくくされてて、これまで地道に積み上げてくれた改善が全部吹っ飛んでいると言わざるを得ません。

調合のスタミナに関しては第2回生放送で「入手手段が豊富なので調合できなくて困るようなことはない」と言われていましたが、そんなものはプレイスタイル次第でいくらでも変わりますし、仮にとてつもなく潤沢にもらえるなら何故そんな無意味なシステムを廃止せずに採用したのか?という話です。テンプレシステム一式を何が何でも採用する、その前提で全部考えていないでしょうか?

従来作品からあまり変更のない戦闘システムや、時代は逆戻りしているもののアトリエらしさを感じる調合システムは良いと思います(※あくまで詳細を知らない記事執筆当時の印象であり、リリース後は醜悪だと思っています)。しかし結局それはプラマイゼロであって、ナンバリングタイトル新作として進化した、素晴らしくなったと思える点は今のところ皆無です。

仮に今作をスマホゲームに再挑戦した外伝作品として捉えるなら、システムやプレイ感は大きく異なる前提で考え、逆にアトリエらしさを感じる点について好感を持ったと思います。私がプレイ済みの過去作を挙げると、

  • 「リーズ」「アニー」「リーナ」のDS3部作は、システムとしてはザールブルグ~グラムナートに逆戻りしているが、携帯機版の外伝として十分楽しめた
  • 「アトリエオンライン」はあくまで外伝作品であり、オンラインゲームならではの機能としてマルチプレイも可能だった。またタイトル発表も「リディー&スール」のタイトル発表の直後に行うことで従来作品ファンのケアもされていた
  • 「ネルケ」は街づくりがゲームの主軸であり、過去作キャラの集結が大きな魅力だったため、探索や調合はオマケ程度でも十分楽しめた

などがあります。どれもナンバリング新作ですと言われると戸惑いますが、それぞれの立ち位置を踏まえた上では妥当なシステム設計に思えました。

比較して今作は、従来作品で積み上げてきたものと完全に分断された借り物のスマホゲームシステムをそのまま使っておきながら、「シリーズの正統新作」「おそらく,ファンの皆さんがイメージする「アトリエ」シリーズのプレイ感と大きくは変わらないはずです」と語られており、私の感覚とは非常に大きなズレを感じます。ナンバリングが付いているかどうかは本質的な問題ではありませんが、量産型スマホゲームシステムを持ち出して「プレイ感は変わらない」と言われてしまうと、今後のアトリエ作品のシステムに対しても大きな不安を持ってしまいます。

過去作キャラについて

アトリエ従来作品の要素やキャラクターが関わることについては、新しく公開されたインタビューでも積極的に匂わせ言及を行っており、アピールしたいという意図を感じます。そして第2回放送では非常に多数の過去作キャラクターが登場する映像と、リリース時点で30人のキャラクターが登場することが告知されました。

私はアトリエ過去作は全て好きですし、2D時代のキャラクター達が3Dで動く姿には感動しました。一方で今作でのキャラクター達の扱いについては冷ややかな印象です。恐らくガチャの題材になるだろうという点もありますが、そんなことよりも「過去作キャラが好きだから登場させる」という思い入れや「歴代アトリエキャラでないと出来ないことがある」という必然性を全く感じないことが原因です。

これは「ネルケ」との決定的な違いです。「ネルケ」はアトリエ20周年記念作品であり、発売前インタビューでも「好きなキャラクターを中心にしてアトリエシリーズへの思い入れを表現してもらい,ユーザーさんが自分自身のものを作れるような仕組み」と語られていて、実際にプレイすると予想以上の過去作ネタの掘り下げの深さに驚きました。ネルケ自身も錬金術が使えない主人公として、オリジナルストーリーもありながら過去作キャラたちを引き立てるようにデザインされています。そこには過去作キャラでなければならない理由があったわけです。

対して今作ではインタビューで、コーエーテクモがアカツキゲームスから「長期運営をするうえで、これくらいのリソースが必要です」と言われて大変だと思ったというエピソードが語られました。これは多少ひねくれた視点ですが、「過去作キャラを出したい」ではなく「イベントやガチャの題材として必要」だから組み込んだのではないかと思ってしまいます。

結局第2回生放送では、何故過去作キャラクターが登場するのか、今作に過去作キャラクターを出してどうしたいのかという点は語られませんでした。「ネルケ」のようにコンセプトの主軸に据えるわけでもなく、ルローネ・パメラ・ロジー・ハゲルのように単なるお遊びやファンサービスとして組み込まれるのではなく、ただ「過去作キャラをたくさん出します」ということを無条件にセールスポイントにしたがっているような姿勢なのは、そもそも今作における過去作要素というものが運営側の都合で使わざるを得ない半端な位置づけになっているからではないでしょうか。ナンバリングタイトルとして今作のキャラクター・世界観・物語をしっかり描けるのであれば、過去作キャラは必要ないはずです。

例えば「ソフィー2」では、ソフィーとプラフタ以外の続投キャラの登場をあえて避けています。インタビューではその理由として「見知ったキャラクターばかりで、スピンオフのように見えるのは避けたかったんです。今回は、きちんとした新しい物語を、シリーズ最新作として描くということがコンセプトとしてありましたので。」と語られています。「レスレリアーナ」で起こっているのは、まさにこの記事で避けたかったと語られていることです。

さいごに

「レスレリアーナ」の記事はこれで3本目になり、その全てで今作のシステム面を酷評しました。気分を害してしまった方はすみません。私はアトリエファンの意見を代表したいわけでも、これを「炎上した」「今回の騒ぎで云々」「シリーズ終わったな」などと外野の評論家ぶりたいわけでもありません。ただ1人のプレイヤーとしてとても悲しい気持ちを吐き出しています。

以前の記事で私は「開発の方々が作りたいものを作るのが一番だし、それを楽しみたい」と書きました。それは当時のアトリエ作品において、もし自分の見たい作品やキャラが取り上げられなくても、自分の好きだったシステムが廃止されても、インタビュー記事等で判断の理由が語られ、それに概ね納得できたからです。

今作にはその納得感が一切ありません。量産型スマホゲームをやりたいのであればアトリエである必要が全くないし、ストーリーやグラフィック重視のRPGをやりたいのであればオンラインである必要が全くありません。何故こんな工夫のないシステムになってしまったのか、何故そんなに自信満々に「正統新作」「プレイ感は変わらない」と言えるのか、何故中途半端に過去作キャラクターを出しているのか、全てに納得感がありません。まるで「量産型スマホゲームをナンバリングタイトル扱いで売り出せ」という結果ありきの状態から何とか使える材料を集めて言い訳を考えているかのようです。

そもそもナンバリングタイトルという概念や「A◯◯」という番号表記自体、以前はゲームのエンドロールでも掲げられていましたが、最近は公式情報の中で見る機会が激減していました。それを今回殊更に使っているのは、スマホゲームを失敗させないためにナンバリングという箔を使わざるを得なかったのではないでしょうか。そう邪推してしまうくらい、A23やA24のシステムと比べてあまりに非連続的であり全くの別物です。

システム以外は本当に素晴らしいのです。部分的には非常に魅力的な要素があるだけに、ゲームの根幹をなすシステムに一切の工夫がないこと、それが「プレイ感は変わらない」と主張されていること、そしていずれサービス終了によって遊べなくなってしまうことが本当にもったいなく思います。せっかく産み出された魅力的な世界観やキャラクターが、じっくり熱中して遊べる快適なコンシューマ作品として生まれ変わることを心から願っています。