Ultimate Rondo

アトリエシリーズとゲーム音楽とその他いろいろ

アトリエのゲームサイクルの魅力を丁寧に凝縮した良作。「紅の錬金術士と白の守護者」感想とこれからのアトリエへの期待

はじめに

「紅の錬金術士と白の守護者 ~レスレリアーナのアトリエ~」ついに発売となりました!

発売前の情報から、男女のW主人公や快適性を重視したゲームシステムに期待が高まっていた今作。その期待通り、いや期待を超えたシステム完成度の高さに感心しながら楽しくプレイしました。

一方の気がかりはオリジナルキャラの少なさと、前作「レスレリアーナ1」から続くアトリエ過去作キャラの必然性のない中途半端な登場でした。こちらも懸念の通りではありましたが、今作の主人公たちを中心に据えた物語と大きな破綻のない過去作キャラの扱いについては、限られた材料を丁寧に使ってゲーム作りをしてくれたと感じました。

本記事ではいつも通り、ゲームの各要素ごとに良かった点・改善して欲しい点を挙げていきます。

おことわり

  • エンディングまでのネタバレを含みます。
  • この記事の感想は全て私の主観的なものです。
  • PS5版、発売当時のバージョンでクリアしたプレイ体験に基づきます。記載内容がアップデートで変更・改善されている可能性があります。

ストーリー・キャラクター

◯大切な故郷を守るという王道テーマ

錬金術の素質を持つリアスと、ガイストコアという道具を操れるスレイ。2人の主人公は同じ町の出身であり、ともに12年前に町を襲った事件で肉親を失っています。そんな彼らが協力して町を復興させ、同時に町の歴史と事件の謎を紐解いていきます。最終的に彼らの能力は、歴史の中で災厄に立ち向かい町を守った者たちの血筋によるものという運命的な事実が判明し、未だ残る災厄から町を守るために戦います。

物語は一貫して、故郷のため、肉親のため、仲間のために努力し戦うという動機で進んでいきます。これらは多くのアトリエ作品で温かい物語を紡いできた主人公たちの動機と同じであり、まさに王道のテーマを真っ直ぐ描いてくれました。

終盤に訪れる町の危機に対し、町の全員で立ち向かう描写も好きな点です。入口を守る異邦人たちや亜空の道を見張るレスナたちだけでなく、名もなき人々も危機に立ち向かい物資支援などを行っています。「リディー&スール」や「ソフィー2」では終盤のイベントシーンで町の人々の支援や想いが描かれましたが、今作でも人々に話しかけることで「皆でこの場所を守るぞ!」という雰囲気を感じられます。

町のためにやれることをやる(ところで後ろの看板は何…?)

×細部の散漫な展開とスッキリしない結末

一方で物語の気になる点を挙げるなら、細部の散漫な展開やワンパターンさ、そして「トゥルーEDに到達できなかった時のノーマルED」であるかのようなスッキリしない結末です。

「レスレリアーナ1」の登場人物であるブラッド、ララ、ジェロンは顔見せ程度に出てきてすぐハルフェンを去ったため、今作の物語の中では浮いています。そしてララとジェロンによるピンチに異邦人が割り込んで助けるシーンを2回もやるなど、同じような展開のイベントが多いように感じます。(スレイとヴァレリアのシーンも合わせると4回類似シーンをやっていますね)

そしてラスボス戦前からエンディングまでの展開はややスッキリしないものです。リアスが操られた(?)時の「守り神だったクルシュアが紅く染まった理由が分かっていないのにこのまま倒して良いのか」って実際そうで。「おっ、ここからもう一展開あるか!?」と感心しかけたところで、結局クルシュアを倒し、住民の件も完全解決とはならず、でも諦めずに復興と調査を続けよう!というところで終わります。トゥルーEDに到達できなかったノーマルEDの見本のようです。リアスのアレはクルシュアの株下げただけ…?

別EDのトロフィーがないのでこれが唯一の結末だという前提で話をしますが…。大筋は良い物語だったと思います。しかし「ユミア」に引き続き結末でモヤモヤを残すような作風がアトリエに定着するとちょっと辛いな、というのが私の実感です。

△パーティキャラが異邦人だけであることの功罪

今作で主人公以外に仲間になるのはロゼ、ウィルベル、トトリ、ソフィーの4人。彼らは原作で一通りの成長をした後の姿として、戦闘あるいは錬金術に卓越し、おまけにランターナ事情や他の異邦人にも詳しく、主人公を導く人格者として描かれます。イベントでの出番やパーティキャラ同士の会話も多く、原作プレイヤーとして彼らの姿を見られることは単純に嬉しいです。

しかし彼らは人物としての成長が既にカンストしており、従来作における「普通の」仲間にはあった、彼らなりの目的、悩み、成長、そういったものが今作の4人では描かれません。そのため今作の4人は仲間ではなく協力者や助っ人とでも言うべき、非対等な関係を感じてしまいます。

まあこれは異邦人のパーティ参加ではなくオリジナルキャラがいないことが問題ですけどね…。彼らの原作を全部プレイしているからこそあえて言いますが、4枠全部過去作キャラは極端です。

××オリジナルキャラがとても少ない

私が思う今作最大の不満点はこれです。とにかくオリジナルキャラが少ない。主人公2人、NPCキャラ4人、ストーリー中で喋る妖精さん3人、以上です。本当に少ない。

パーティキャラが3人しかいない「イリスGF」であってもたくさんのNPCキャラ達が物語やイベントを盛り上げてくれました。オリジナルキャラがここまで少ないアトリエはほとんど例がありません。

とはいえ「ネルケ」のオリジナルキャラは4人(+過去作とは別人格のパメラとハゲル)でした。もし同作のように「今作はアトリエオールスターに舵を切り、オールスターでしかできないゲーム体験作りに集中するぞ!」というのであれば、オリジナルキャラの少なさも納得できます。でも残念ながらそうではないよね、というのが次の話です。

△過去作キャラとしての扱いは無難だが物足りない

オリジナルキャラの数が少ない分を埋めているのが異邦人、いわゆるアトリエ過去作キャラです。ボイスなしのキャラまで含めると合計21人が登場し、その全ては「レスレリアーナ1」で登場済みのキャラを流用しています。

それぞれのキャラは原作エピソードにちなんだ話題を持ってきてくれるし、大きな破綻や粗雑な扱いがないという点では「レスレリアーナ1」より丁寧に扱われています。それはもちろん良い点なのですが、前作登場済みという縛りのため歴代主人公は揃わず、世界観を超えたキャラの絡みや意外なエピソードが出て来て「そこ拾ってくれるか!」と感心することはほとんどありません。良くも悪くも定番ネタが披露されます。

やはり「ネルケ」のキャライベントがオールスター作品として濃厚だったので比較対象になってしまいます。同作は歴代主人公全員が一同に集まり、そして最後には帰っていくというところまで描き切ったため、「今この場だけの特別感」を強く実感することができました(最後の全員集合スチルには感動しました)。さらに原作のマニアックなエピソードを拾い上げ、キャラ同士の共通点探しを軸として別世界のキャラ達を絡ませるイベントを詰め込んだことを思い起こすと、正直今作は物足りないなと。これなら異邦人を減らしてオリジナルキャラを増やして欲しかったなーと思いますね…前作登場済み異邦人のほうが3Dを使い回せるという事情は察しますが。

帰る気が薄い問題は相変わらず。異邦人の設定は根本的に不自然

探索・採取

◎素晴らしく快適な探索体験

今作の探索と採取は過去イチで快適でストレスフリーだと思います。アトリエ過去作の良い点を取り入れ課題だった点を解決した、本当に素晴らしい探索体験です。良い点を列挙します。

  • 採取ボタンが全ての採取ポイントで共通化され、快適に採取できる
  • カゴ容量500、コンテナ容量9999が最初から確保されていて、大量に採取できる
  • マップが非常に見やすく、道に迷うことがほとんどない
  • ファストトラベル地点が豊富
  • 段階的に解放されるギミック(ワイヤーと壁)はあるが、現時点で通行可能かどうかミニマップから読み取れて、主人公の切り替え込みでワンボタンで通行できる
  • 格下のザコ敵を戦闘なしで撃破できるアサルトスイングが採用され、しかも撃破可能かどうか事前にマーカーで判別可能
  • 依頼や図鑑からほぼ全てのアイテムや敵の追跡設定が可能であり、エリアマップとミニマップの両方に表示される。敵のドロップ品にも対応
  • マップ入り直しで採取ポイントと敵が即復活するため狙った素材を素早く何度も取れる

特に追跡設定とファストトラベルの便利さによって「足りない素材はすぐ取りに行ける」という安心感があり、調合で手持ちの素材を躊躇なく使うことができます。プレイヤーとゲームとの信頼関係によって、ゲームサイクルを軽快に回せるようになっていると感じます。

素材の取りやすさはコンテナ整理のしやすさにも直結します。コンテナ容量9999といえども結局は埋まるし、技術的問題を無視すればコンテナなんてデカけりゃデカいほど良いです。しかし増やすとそれだけ読み込みやソート、フィルタの負荷は大きくなってしまいます(今作でもたまに重い)。それならば今作のように取り直しを簡単にすることで、在庫処分に悩むストレスを減らすというのも1つの落とし所だと思います。もちろん「ユミア」のようなスタック制も1つの手ですね。

ミニマップでの素材追跡表示。この機能を待ち望んでいた

×昼夜の切り替わりに不便さが残る

今作は「レスレリアーナ1」の世界設定を引き継ぐため、朝と夕方がなく昼と夜が急に切り替わる世界です。その設定を演出するためか、あるいはフィールド表示の切り替えの処理時間を稼ぐためか、昼と夜が切り替わるたびに7秒程度の操作不能の演出が入ります。(タッチパッド押し込みで飛ばせるらしいです…知らなかった)

また敵や採取素材が昼と夜で異なるのは従来作でも見られた仕様ですが、昼夜をプレイヤーが任意で切り替えられるのはヤドリギ堂の奥にあるベッドだけです。「ソフィー」のようにエリアマップで時間を進められるか、せめてアトリエにも休憩ポイントがあればと思います。

エリアマップで時刻調整できる「ソフィーのアトリエ」

×魅力が乏しく不便さが目立つランダムダンジョン

「亜空の道」というランダム生成ダンジョン。5種類×4難易度が用意され、ストーリー中でそれぞれの初級相当は攻略必須であり、レシピ解放のためには中級以降も攻略する必要があります。

昨今のローグライクブームや同社の「無双アビス」などの影響もあり、ランダム生成ダンジョンを取り入れること自体は悪くないと思います。しかしローグライクの魅力は、1回1回の挑戦のたびに得られる新鮮なプレイ体験や多様なビルドの可能性があってのもの。今作はその魅力を作れていたとは言い難く、構造が単調かつ途中で自由に出入りできない不便なだけの採取地となってしまった印象です。カゴ容量500は「埋まったら一度帰れば良い」という前提があるからこそ十分であり、それができないダンジョンでは重荷となります。

調合システムを組み込んだアトリエローグライク自体は、それ単独の外伝ゲームもしくは1つのゲームモードとして面白そうとは思うものの、それならそれでしっかり作り込んで欲しいという気持ちです。

調合・アイテム管理

◎手軽さとストイックなやり応えを内包する調合システム

今作の調合システムをアーランド~秘密シリーズの調合と比較すると、次のような特徴であると言えます。

  • 従来の品質に代わるアイテムレベルが威力も効果も決定するため、何を伸ばせば強くなるのかが分かりやすい
  • その代わりギフトカラーによる制約や、継承特性を自由に選べない仕様によって、特性3枠まで突き詰めようとすると緻密な材料準備が要求される
  • その厳しい制約を乗り越える手段として、豊富に活用できる中間材料、材料の色や投入カテゴリを操作できる活性素材、完成後に特性やアイテムレベルを上乗せできるアイテム強化などを駆使していく

ギフトカラーの制約は確かに厳しいですが、「とりあえずレシピ変化を起こしたい」「継承したい特性が1個あるから繋がるように間を埋めたい」程度の要件であれば、大量に集めた素材からハマるものがだいたい見つかります。間にハマる色の材料を一番上に表示してくれる親切機能もありますし、活性素材という抜け道もあります。その一方で「アイテムレベルと特性3枠を全部強くしたいなら材料作りからしっかり頑張ってね」というのは、手軽さとやり応えの両方を内包する良いバランスだと思います。

効果発現を単純化する代わりに特性付与を不自由にした点は、これまでのアトリエの調合システムの歴史を思い起こします。例えば「シャリー」から「ソフィー」への変化では、グリッドパズルという複雑性が増した点を中和するかのように、特性付与のコストであるPPが廃止されました。このように全体の制約や複雑性をコントロールしながら新しい調合体験を作ってきたのがこれまでのアトリエです。

今作は思い切って強い制約を設けながらも、プレイヤーが使える武器もちゃんと提供することで、「頑張り甲斐」や「全てが上手く繋がった気持ちよさ」を味わうことができます。一方で「ライザ」の影響拡大や「ユミア」の広範囲共鳴のようにインフレで脳汁が出るような体験はないので、最近のアトリエの中ではストイックな部類ですね…。

×調合中の情報確認が劣化している

今作の調合では、従来作ではできていた調合中の情報確認機能が失われています。最も不便なのは現在継承されている特性の効果を見ることができない点だと思います。調合操作中のボタンはたくさん余っているし、ここは頑張って欲しかった。

またいわゆる「逆引き調合」、つまり作りたいアイテムの材料となるアイテムの調合画面に飛べる機能も欲しかった。関連項目からのカテゴリ選択で図鑑までは開けるので、図鑑から調合画面に行ける機能があればと思います。(「ソフィー2」の感想でも同じことを書いていました)

現在継承されている特性の効果が分からない

特性候補の効果を全て確認できる「ソフィーのアトリエ」

△利点も欠点もあるソート機能

今作はギフトカラーを繋げることが重要であるため、材料選択時には左右の色に繋がる材料が常に上位に表示されるようになっています。それ自体は良い機能なのですが、解除する手段がなく、アイテムレベル等でソートした時にもギフトカラーが最優先になってしまう点は不便です。色はどうでもいいから高レベルの材料を使いたい時って結構あるので…。というかソート基準を指定しているのにその基準で並んでいないのはかなり違和感のある挙動です。

また調合中に限らずアイテムをソートする機能として、

  • 多くの従来作にあった個数順ソート
  • 「ライザ3」や「ユミア」にあった各条件での逆順ソート

これらは今後の作品には取り入れて欲しいです。不用品処分や出資で大量のアイテムを渡す時に、「個数の多いものから」または「アイテムレベルの低い方から」という選び方をしたい時はけっこうありました。

×活性素材が通常素材と混ざる

調合において重要な役割を果たす活性素材。不思議シリーズの触媒や黄昏シリーズの調合スキルのように調合システムを支えるインフラ的存在であり、普通に投入する素材とは全く異なる役割を持つものです。

これが使い捨てなのは(アサルトスイングで乱獲できることを考慮すれば)まあいいのですが…。問題はコンテナでもカゴでも通常素材と混ざってしまい、「まとめて捨てる」などの機能で邪魔になることです。

アイテムレベル順でこうなるのは悲惨

救いなのは活性素材が売却不可であるため売却画面では混ざらずに通常素材を処分できること。しかしそもそも混ぜて表示するものではないだろうと思います。

戦闘

◎連携を主体とする6人バトルにパネルが加わり戦術性アップ

今作の戦闘は「マナケミア」から続く、6人参加で連携攻撃を主体とした、前衛後衛が交代しながら戦うコストターンバトルです。行動順を割り込んで手数を増やせるマルチアクションやインタラプトは、従来作においても

  • 手数を増やしながら多くのキャラを活躍させられる
  • 属性相性やHP・APなどの状況を考慮しながら、誰を前衛に残すかを選べる

という戦術面での役割がありましたが、今作ではさらに

  • 行動順をずらすことで、敵からプラスパネルを奪いマイナスパネルを押し付けられる

という活用方法があります。「レスレリアーナ1」の時点から行動順パネルシステムに求めていたのは、その場その場のパネル状況に応じて行動順へのミクロな介入を行うことで得られる「上手く戦闘を回せている実感」です。まさに今作ではそれが可能となっています。

△ジャストガードは良調整だが、処理落ちに難あり

今作では敵の攻撃に対し、普通のガードまたはタイミングを合わせたジャストガードをすることができます。敵ごとの動きを覚える必要はなく「ユミア」と同様に赤いエフェクトでタイミングを測れるので、倍速時でもそこそこ成功させることができます。失敗しても大きなペナルティはないので(遅いと普通に食らうだけ)、気軽に挑戦しやすい良調整だと思います。

1つ問題として、倍速時に敵の多段ヒット攻撃をジャストガードすると処理が重くなるのか、PS5でもかなり処理落ちします。これでラスボス戦のBGMが一時的にバグることも…。

◯仲間キャラの戦闘能力に個性あり。もっと思い切っても良い

今作で地味に嬉しかったのが、トトリが最初から全体回復スキルを持っていてヒーラーとして活躍できたことです。従来作では仲間キャラは全員アタッカーで、錬金術士のアイテムがその他全部の役割をやるようなスキル設定も多いです。対して今作では挑発を付与しタンクとなるスレイやブレイクに長けたソフィーなど、仲間キャラの戦闘能力に個性があります。しかしもっと思い切ってキャラ付けをしても良いと思います。

仲間キャラごとの戦闘能力の個性というものは、全員の行動を指示できるターン制バトル(あるいは十分に賢い自動行動)でないと上手く発揮できません。「ライザ3」の仲間キャラは、しっかりと個性付けされつつも単調な自動行動のため埋もれてしまった惜しい例でした。今作のように入れ替えながら全キャラを活躍させられる下地があるなら、もっとキャラ性能を差別化しても面白いでしょう。

ヒーラートトリちゃん。後衛も回復できるのが偉い

その他

△ライトに調整された店の経営と町の発展

今作ではお店を経営することができます。「ヴィオラート」や「ネルケ」と比べると相当にお手軽に調整されていて、ストーリーの軸の1つである故郷の発展をゲームシステムに組み込みながら、高効率でお金も稼げるというものになっています。商品選択のUIやソート機能はほとんど作り込まれておらず、本格的な経営シミュレーションとして見ると物足りないですが、ゲーム全体の比重で見ればまあ良いかなと。

調合したアイテムと稼いだお金を町に出資することで様々な恩恵を受けられるシステムもあります。1つ不便な点を挙げるなら出資に必要なアイテムをメニューから確認できると良いと思います。

◯新曲は少ないが粒ぞろいのBGM

今作のBGMの特徴として、過去作キャラや「レスレリアーナ1」にちなんだ場面で過去作の曲がそのまま使われていることが挙げられます。過去作キャラのイベントでは原作のキャラテーマが流れ、妖精さんイベントではマリーリメイクのBGM、ソフィー登場シーンではオマージュ元である「リディー&スール」の場面と同じ「Mysterious Painting」が流れます。これらの楽曲流用もあって今作のサントラはCD1枚。一時期のアトリエではCD4枚組+ボーカルアルバムにまで増えていたことを考えると相当少ないです。

原曲そのままというのはこれはこれで良いと思う反面、「ネルケ」の過去作キャラや従来作の続投キャラはアレンジBGMが作られていたので、若干の寂しさはあります。あと「Mysterious Painting」にソフィー個人のイメージはないので、オマージュ元の場面通りとはいえちょっと違和感ありますね…。

そんなわけで今作の新曲の数は少ないものの、その密度はピカイチ。最近のアンビエント指向を脱却した、メロディを軸にしっかり存在を主張してくれる楽曲が並んでいます。プレイした後に耳に残って、口ずさんだりサントラで聴き返したくなるようなBGMって本当に大事だなと改めて思います。

戦闘曲の「Burn Out」「濁浪」など、これまでのアトリエで阿知波さんや矢野さんが作ってきた世界を引き継ぐような楽曲もあります。本音を言えば御本人たちがまた作曲参加してくれると私としては嬉しいんですけどね…。

そして最後に触れたいのがラスボス戦、なんと男女デュエットボーカル!楽曲そのものの熱さはもちろんのこと、2人の主人公の戦いを象徴する素晴らしい演出でした。

希望としてはサントラをプレミアムボックス特典ではなく普通に売って欲しいことですね…ダウンロード販売限定とかでもいいので…。

◯図鑑コメント復活!

今作では不思議シリーズや「ルルア」のような図鑑のキャラ会話テキストが復活しています!発売前の生放送でスライドや動画と関係なくディレクターさんが言及したくらいなので、開発側もこの機能の人気を認識しているようです。今後も定番化して欲しい。

主人公2人の登場機会が多めでありながら、NPCのオリジナルキャラ達やボイスのない過去作キャラもテキストで登場。数は多くないですが会話イベントよりマイナーなネタも盛り込んでいて、ちゃんと過去作を知る人が書いてくれたと伝わります。実はスタッフロールに土屋さんの名前があったのですが携わっていたりして…?

経験者は語る

経験者は語る2

×メニューが重い

今作のメニュー画面は項目を切り替えると決定ボタンを押さなくても内容が読み込まれるようになっています。決定ボタンを押す回数を少なくしたがるのは「ユミア」でも見られた傾向ですが、初期位置から見たい項目までの間の項目がいちいちロードされるので、滅茶苦茶重いんですよね…。多分決定ボタンを押すまでロードしない仕様にするほうがトータルで速く表示できると思います。L1で見たい項目を直接開けるリングメニューもありますが、私は昔からの癖で無意識にメニューを開いてしまいます。

×余談:トロフィー名ミス

一般のプレイヤーや非公式媒体の書き間違いはともかく、ガスト(コエテク)公式のミスは久しぶりに見ました。変換辞書に登録しておいてくださいね…。

おわりに

今作は、採取・調合・戦闘というアトリエのゲームサイクルの面白さをエッセンスとして凝縮したような素晴らしいゲーム体験を与えてくれました。そのシステム完成度の高さは、「快適でストレスが少ないこと」「ゲームを有利に進めるためにプレイヤーが使える手段が豊富に用意されていること」によって、プレイヤーが主体的にタスクに没頭できることに由来しています。(「ターン制だから」「オープンフィールドじゃないから」「買い切りゲームだから」という短絡的な理由ではありません)

ゲームの規模としては近年のCSアトリエ作品と比べると縮小されているものの、そのぶんコツコツと小さな達成感を積み上げやすい設計になっており、コンパクトで密度の濃い楽しさを味わうことができました。「ユミア」が「質より量」のゲーム作りであるならば、今作はまさに「量より質」です。

一方でキャラクターの扱いについては、「レスレリアーナ」シリーズであるが故の歪さを感じずにはいられません。完全新作として見ればオリジナルキャラの数が極端に少なく、オールスター作品として見れば出典の偏りや原作掘り下げの浅さを解消できていない。キャラを流用して開発コストを抑える必要があったのだろうという裏事情の推察は、ゲームに没頭している最中であっても頭をよぎるほど露骨に伝わってきます。

とはいえキャラや色々なものを流用したからこそ、システム完成度を磨き上げることに開発リソースを注げたという可能性も推測できます。その上で大きな破綻なく歴代キャラを扱ってくれたのですから、トータルで見て丁寧にゲームを作ってくれたと思います。しかしもう一声を望むなら、流用キャラの頭数ではなく今作ならではの魅力をもっと深めて欲しかったと思います。

さて、今後のアトリエはどうなっていくでしょうか。「ユミア」と「紅白」は対照的な2つのアトリエの姿を見せてくれました。この2作は担当ディレクターが異なるということもあり、例えば「ユミアの続編が紅白のようなゲーム性に大きくシフト」ということは予想しづらく、しばらくは2ライン並行で開発が進んでいくのではないかと思います(スタッフロールを見比べましたがディレクターだけでなく開発チームごと別であるように見えます)。私の予想と期待を書くとこんな感じです。

  • 安彦D作品:「ユミア」から続くシリーズ(追憶?幻想?)を完結させる中で、広大なフィールドやスピーディな戦闘などの現代的要素を武器としながら、「ユミア」では未熟だったゲームの快適性や体験密度を向上させる
  • 勝又D作品:安定してシステム完成度の高いゲーム作りで、リメイク・過去シリーズ続編(黄昏4作目など)・スピンオフなどを制作し、流用素材に囚われず「そのタイトルで一番やりたいこと」を貫いたキャラクターと世界を描く

そして「ユミア」から続くシリーズが完結した次のシリーズにおいて、双方の開発資産とノウハウが融合した「量も質も最高」なアトリエが出てくれれば、これほど嬉しいことはありません。

アトリエの将来が楽しみになる素晴らしい作品でした。開発ありがとうございました、次のアトリエも楽しみにしています!