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「ソフィーのアトリエ2」感想とこれからのアトリエへの期待

「ソフィーのアトリエ2」の発売から約2週間が経ちました。不思議シリーズ第3作「リディー&スール」発売から約4年、不思議シリーズの新作ということで発売前から非常に楽しみにしていた作品です。

この記事では私個人の感想として、「ソフィー2」をプレイしてどう感じたか、そしてこれからのアトリエに何を期待するかを書いていこうと思います。今は廃止されてしまったガストソーシャルの長大なWebアンケートに答えるつもりで網羅的に書いていきます。

おことわり

  • 直接的な表現は避けますが、ストーリー終盤の展開や終盤で解禁される要素にも触れていくため、ご注意ください。
  • 未プレイの方に内容を紹介し宣伝するような記事にはなっていません。気になったらこの記事を読む前に是非プレイしてみてください!既にプレイした方や、アトリエ経験者で「今作はどんな感じなんだろう」と気になっている方には内容が伝わりやすいと思います。
  • PS4版のソフトウェアバージョン1.00~1.03でのプレイ記憶を元にしています。記載内容がアップデートで改善・変更されている可能性があります。
  • 作品名を指す時は「ソフィー」「フィリス」のように鉤括弧付きの略称で書くこととします。

ストーリー、キャラクター

全編を通してポジティブで、心温まる、王道と言えるストーリーだと感じました。「ソフィー」でのソフィーとプラフタ、「フィリス」でのフィリスとリアーネ、「リディー&スール」でのマーレン一家で描かれたようなストーリーが、夢幻世界エルデ=ヴィーゲという特別な場所でソフィー達を軸に描かれます。

物語の1つの軸となるのはソフィーとラミゼルの出会い、そして2人のプラフタの出会いです。特にラミゼルと少女プラフタについては、自分がまだ知らない未来での人と出会うことになるわけですが、その感情描写に個性が表れています。戸惑いがありながらも少しずつ絆を深めていくソフィー・ラミゼルと、常に落ち着いていて多くを語らずにお互いを理解する2人のプラフタの関係はとても対照的でした。プラフタ同士の会話がすごく好きなんですよね。

他のパーティーメンバーであるアレット・オリアス・ディーボルト、そしてサブキャラクターの人々も魅力的です。ロイテールの人々は「夢を叶える」または「新しい夢を見つける」という点で共通しているので、サブストーリーがどれも一貫していて前向きです。個人的にはノームの話が好き。

物語のもう1つの軸はエルデ=ヴィーゲという世界そのもの、そして創造主であるエルヴィーラです。エルヴィーラはラミゼルとしか話せませんでしたが、ソフィー達と親交を深め、そしてロイテールの人々とも話すようになります。エルヴィーラ自身の成長も重要なテーマになっています。

そしてロイテールの人々もエルヴィーラを慕っています。終盤のとあるイベントでエルヴィーラを熱く諭すモブ、あのイベントがとても好きです。モブが熱いゲームは良いゲームだ。

家族というテーマ、多くの人々の協力、そして夢。これまでの不思議シリーズで描いてきたもの全てをストレートに継承し、ソフィーとプラフタという「3作品のプレイヤーならお馴染みの」強い関係性を軸に描いた、期待通りの素晴らしい物語でした。スタッフロールでシナリオライターさんに注目していたのですが、不思議シリーズ3作品と同じ方が引き続き担当されていて納得しました。

それぞれのイベントシーンでは、キャラクターの表情が素敵だと感じました。皆の表情が豊かで、イベント中でもセリフではなく表情から考えていることを推測できる場面が多かったと思います。キャラクターの魅力が伝わるだけでなく、イベントのテンポアップとしても素晴らしいと思いました。

仲間になるキャラクターは6人で、揃った後はずっと同じ6人で戦闘することになります。入れ替えの余地がないことは自由度が乏しいという面もありますが、いつも同じメンバーなので愛着が湧くというメリットも感じています。過去作でも「リディー&スール」はDLC配信前は同じく6人固定、より遡れば「イリスGF」では3人固定ですが、どちらも愛着が強まって良かったと思います。

協力スキルやツインアクションの時に名前を呼び合うのも、6人の仲を感じられて良いですね。「ライザ」のアクションオーダーの時も良かったので、今後も続いて欲しいと思います。デュアルトリガーを使うと勝利ポーズが2人になるのも好きです。

調合

不思議シリーズお馴染みのパズル調合。今作はマスを埋めるだけでなく、材料の中で星印が付いているマスを隣り合わせる「リンク」がとても重要です。最初は窯も狭くて不自由ですが、触媒と協力スキルによって調合システムがどんどん拡張されていきます。

同じ材料でも錬金成分の形は多岐に渡り、さらに協力スキルの材料追加によっていくつも材料を追加できるので調合パターンは膨大です。そのぶん最高効果のアイテムを作るための要求レベルも高く、アドリブ力が求められます。リバースパネルの変則的な形状の中でリンクを崩さないように材料を置くのも難しく、作り込みの難易度で言えば不思議シリーズ4作品の中で1番難しいと思います。

その一方で難しさを一切感じさせない「おまかせ材料投入」がとても素晴らしいです。適当に作りたい時に楽になるだけでなく、そこそこ良い効果が出るように配置してくれるので、初心者へのお手本としての役割も大きいのではないでしょうか。

ソフィーとプラフタがそれぞれ調合できるというシステムは、不便な点はあるものの良いシステムだと思います。「エスカ&ロジー」「リディー&スール」では錬金レベルを共有していて便利でしたが、今回はプラフタがソフィーとの実力差を感じたり勝負を持ち掛けるシーンがあるので、利便性よりも設定を重視して別々にしたのではと思っています。

どちらかにしか作れないアイテムを探す時に2人のリストを行ったり来たりしながら探していたので、そこは合わせて一覧になっていると嬉しいです。図鑑から調合に飛べるならそれでも良いですね。

材料投入中に引き継ぎ特性一覧を確認できるのがとても便利です。さらなる要望として、材料投入中に作っているアイテムの図鑑ページを開いて効果リストを確認できたら嬉しいです。

採取と探索

まずは今作の目玉システムである天候操作について。「フィリス」では1つのエリアだけ実装されていた機能ですが、今作ではほとんどのエリアの天候を操作可能で、攻略に不可欠な要素となっています。歩ける場所だけでなく登場する敵や採取物も変化します。

これは夢幻世界という世界観に合っていて、各エリアを初めて攻略する時には非常に楽しく思いました。とても好きなシステムなのですが、一方で目当ての素材や敵を求めてエリアを何度も訪れるアトリエにおいては、何度も切り替えて歩いて切り替えて…を繰り返しながらエリア内を探し回ることになり、若干のミスマッチを感じました。

ストーリー進行に必要な素材には「ガイド」という機能があり、ワールドマップとミニマップで採取場所がすぐに分かります。これは本当に素晴らしい機能で、依頼で要求されている素材と敵も同様に表示されます。もしこの機能に任意の素材と敵を登録できれば、天候の煩わしさもほとんど気にならなくなり、快適性が格段に上がったと思います。

とはいえ、

  • 入り口を指定してマップに入ることができる
  • 敵を避けやすい
  • コンテナ容量9999、カゴは400まで拡張可能
  • 特定のマップや天候で採取物が見えにくい場合にはマーカーが表示される
  • 素手での採取と道具での採取のボタンが共通になった(PS4だと□ボタン)
  • 1ボタンでレシピ発想や回復アイテム使用画面にアクセス可能
  • 帰還した時のアイテム確認をオフにする機能

など、地味だけど効果の大きな改善によって本当に快適に遊べています。アトリエを何作も遊んできた目線で「これできたら便利だよね」「これ要らなくない?」と思っていたところをピンポイントで突くような改善が多く、とても嬉しいです。

細かいところではダッシュが常時オンになる設定が欲しいです。歩きは使わないので…。「R1で切り替え」で遊んでいますが、セーブデータをロードする度に歩きに戻ってしまいます。あとは壁歩きや隙間移動などのギミック移動中もダッシュできると嬉しいです。

ランドマークは中途半端な位置づけになってしまっています。「フィリス」のようにファストトラベルできるわけでもなく、「ライザ2」のように遺跡の過去に関わるわけでもなく、ただ僅かなAPを回収するための場所となっています。「フィリス」の時は専用BGMがあり、フィリスが憧れていた外の世界で不思議なものを見つけるという意味もあり、ファストトラベルにも使えるという素晴らしい位置づけになっていました。訪れることで得られる機能的または世界観的なメリットが欲しいところです。

あと素材集めなどで同じマップに何度も入ることがあるんですが、「ライザ2」の時は同じマップだとロードを挟まなかったのがすごく良かったんですよね。今作だとロードがあるのでちょっともたつきます。

戦闘

今作は6人参加のコストターンバトル。連携攻撃やサポートガードによって前衛後衛を入れ替えながら戦うマナケミアシリーズと「シャリー」のシステムを継承していて、安定の面白さがあります。

敵のオーラはボス用システムとしては好きで、「このオーラを割り切れば勝ち!」という状況での緊張感が楽しかったです。ザコ戦で毎回オーラ割りを要求されるとダレるかもと懸念していましたが、オーラ耐久値が低くそもそも戦闘を避けやすいのであまりストレスは無かったです。

アトリエの戦闘では珍しく、ガードを重視しているのも面白かったです。装備できる装飾品2枠のうち1枠を占める「護符」は必ずガードに関する効果を持っています。戦闘中にも敵の単体攻撃は事前に対象が分かったり、大技の前には警告が出たり、ガードを使わせたいという意図を感じます。サポートガードで前に出ると、ターンが回ってくるまでガード状態のままなのも嬉しいです。

バトルスピードは変更可能ですが、技の演出が短いので倍速にしなくても十分快適です。デュアルトリガーの演出をスキップできるのはびっくり。これも地味だけど嬉しい機能です。

コストターンバトルでは待機時間(WT)という概念があり、従来の多くの作品ではカードの枚数や目盛りによってだいたいのWTを確認することができましたが、今作では行動順のみが表示されています。検証が不便なのはともかく、通常プレイの範疇でもちょっと不便かなと…。というのも、こちらのWTが全員長かったのかボスが連続4回くらい行動してきて壊滅させられることが何度かあったんですよね。WTが見えないと理不尽感が強く、そうならないようにWTを調節するのもコストターンバトルの戦略として面白いところだと思うので、情報としてあったほうが良いと思います。

フィールドから戦闘への移行がシームレスになりました。戦闘開始は早いですが、終了後に移動可能になるまでの時間を考えるとあまり変わっていないような…とはいえ、見た目はとてもスムーズになったと思います。

音楽

BGMは阿知波さんと柳川さんがメインで、阿部さんが戦闘曲1曲を担当されています。ボーカル曲は矢野さん、阿知波さん、柳川さんが1曲ずつ作曲。浅野さんが参加されていないことを除けば「ソフィー」と同じメンバーとなっています。

今作のBGMを端的に言い表すなら「安定のアトリエサウンド」だと感じました。安定した曲進行と強いメロディが特徴の阿知波さんだけでなく、柳川さんの曲も強いメロディが軸にあってバックのオシャレさで持ち味を出している印象です。私が2人の曲を聴きすぎている影響もありますが、「これは工房BGM」「これはキャラテーマ」というのがとても分かりやすいです。

戦闘曲がたくさんあるのも嬉しいポイントです。通常戦闘曲はストーリー進行に合わせて4つ。作曲者が交互になっているので切り替わったのが分かりやすいという工夫もされています。ボス曲も「春告鳥」「Destructive Disruption」「蒼穹を穿つ」と三者三様の個性が光っています。「Destructive Disruption」では阿知波・平松コンビがアトリエに帰ってきた!という実感があり、「蒼穹を穿つ」がドラゴン戦で流れたときには「戦下の一撃」を思い出して懐かしくなりました。

聴いていて非常に落ち着くし心地よい曲が多く、「ソフィー2」の世界には合っているのですが、やはり過去の不思議サウンドを知っていると矢野さんの曲が与えてくれた衝撃が恋しくなり…。Extra Tracksにていかにも矢野さんらしい戦闘曲2曲を聴くことができて嬉しいのですが、やはりゲーム本編で聴きたいという気持ちがあります。

矢野さんの楽曲の魅力は型に嵌まらない驚きを与えてくれるところで、特に「フィリス」でのボス曲「Pororoca」やフィールド曲「裂罅の大空」などは、主人公フィリスがその敵や場所に出会った時の驚きを代弁してくれるような曲だと思います。アトリエでそんな曲が欲しくなったら、ガストさんよろしくお願いします!…と密かに売り込みさせていただきます。

女神が創った夢幻世界ということで、女性コーラスが入っている曲が多め。これは発注時点でのお題だったようです(サウンドトラックのコメントより)。コーラスは良くも悪くも耳に残るので、長時間聴く工房BGMには少しキツいかも…。でも世界観重視という点でとても良いと思います。

続投キャラが少ないため過去作のアレンジも少なめですが、とても良いアレンジになっています。「もいっちょいこう~fromやってみよう」と「夢をかたちに~from本の見る夢~」はそのままのソフィーとプラフタなので王道のアレンジですが、注目は少女プラフタの「夢の繰り糸」。明らかに「本の見る夢」のアレンジっぽいのに共通のメロディが登場せず、前作を知っているともどかしい思いをします。ソフィーが少女プラフタに会った時の「似てるけど別人…?」という戸惑いを表現しているような、素晴らしいアレンジ(?)だと思います。

ボーカル曲もアバンタイトルテーマ「Syndetos」を始めとして素晴らしい曲となっていますが…語りたいことが多いので、別の記事にしようと思います。

最後に1点。このメンバーならと期待していたので、音楽堂コメントは欲しかった…。大変だとは思うのですが、音楽堂コメントのファンがここに1人いるということは主張し続けていきたいです。

さり気ない前作愛

今作は続編というだけあって、前作「ソフィーのアトリエ」を強く意識したものとなっています。

発売前から、続けて登場するキャラはソフィーとプラフタだけであることが明言されていました。登場しないキャラ達を補完するように、会話の中には前作キャラのエピソードが登場し、図鑑にはキャラ説明も収録されています。イベントでは前作の一枚絵もいくつか表示されました。

それだけでなく、今作ではさり気ないところに前作プレイヤーが「これってもしかして…」と思う要素が仕込まれています。

1つ目はソフィーの初期レベル。戦闘レベル20と錬金レベル50は初期レベルとしては高いですが、これは前作でのソフィーの最高レベルです。戦闘レベル20を超えた後はポイントをアビリティに割り振って成長していくシステムでした。これは今作にも継承され、システムが導入される時の会話ではソフィーが心の中で触れています。

2つ目はレシピ発想。ツリー形式で順番にアイテム名と発想条件が表示されていくシステムですが、前作にも登場した調合アイテムは最初から全て見えています。終末の種火など終盤のアイテムが最初から見えていたので不思議でしたが、気付いたときにはびっくりしました。

他にも樽や調合時のボイス、イベント中のポーズ、パッシブスキルの名前など前作と繋がりのある要素はたくさんあるので、探してみるのも面白いですね。このソフィーは前作でプレイヤーが育て上げたソフィーなんだ、ということを強く意識させてくれます。

その他

今作の図鑑は従来の不思議シリーズのように、関連項目ジャンプとキャラクターの会話が盛り込まれた素晴らしいものになっています。レシピ発想と図鑑で2通りの会話があるのも嬉しいですね。

メインストーリーとキャラストーリーの予定表もソフィー目線で書かれているので親しみが持てます。各項目のタイトルとサブタイトルも良いですね。ソフィーの気持ちが込められています。

声優さんのおまけボイスは今回も収録。文字起こしされているのが地味にありがたいですね。相坂さんと高橋さんのトーク量が可視化されていて面白かったです。

総括

長々と語ってきましたが、本当に素晴らしい作品でした。不思議シリーズ3作で描いてきたテーマをしっかり継承し、新しい技術とシステム面での改善を注ぎ込んだ、まさに「いいとこどり」のアトリエだと思います。

まだまだDLC配信も控えていますし、次回作の話をするのは気が早いかもしれませんが…今作は「アトリエシリーズ25周年記念作品の第1弾」と銘打たれています。であれば第2弾も気になるというものです。

  • ネルケ」のようなシリーズをまたいだクロスオーバー作品
  • 順当に秘密シリーズ第3作
  • 黄昏シリーズなど過去のシリーズの新作

など色々想像できますが、どの作品であっても技術とシステムは継承していけると思っています。「ソフィー2」のように、かゆいところに手が届くようなプレイヤーに寄り添った作品を作ってくれたのであれば、そこは大いに期待したいし開発の方々にも重要視してくれると嬉しいと思っています。

個人的にはどのシリーズも好きだし続編を見たいという気持ちはあるので、開発の方々が作りたいものを作るのが一番だし、それを楽しみたいと思っています。不思議シリーズ新作でフィリスやリディーやスールを見たいという気持ちはもちろんありましたが、インタビュー記事を読んで登場しない理由には納得できたので。

その上であえて希望を挙げるなら黄昏シリーズ中央編が見たいなー…。

これからも「ソフィー2」を楽しみ、アトリエシリーズの今後に期待したいと思います。ここまでお読みいただきありがとうございました。