Ultimate Rondo

アトリエシリーズとゲーム音楽とその他いろいろ

新シリーズ、ナンバリングタイトル、そしてスマートフォン。「レスレリアーナのアトリエ」について色々語ってみる

2023年8月8日の生放送にて、アトリエ最新作「レスレリアーナのアトリエ ~忘れられた錬金術と極夜の解放者~」が発表されました!

レスレリアーナのアトリエ ~忘れられた錬金術と極夜の解放者~

「アトリエ」シリーズ新作発表会 - YouTube

『レスレリアーナのアトリエ』発表記念 ガスト×Team NINJA×アカツキゲームスインタビュー。“プロジェクトA25”を冠するスマホ向けシリーズ正統新作で、さらなる飛躍を目指す | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

色々と驚きがあった発表でしたが、記憶の新しいうちに色々と語っていきたいと思います。

なお私は普段スマートフォンゲームをほとんどプレイせず、まともにプレイしたのは「アトリエオンライン」と、アトリエシリーズ作曲者の阿知波さん・柳川さん・矢野さんが音楽を担当された繋がりでプレイした「マナシスリフレイン」くらいです。そのためスマートフォンゲームについては色々と知識不足や未プレイ者の感想が入りますがご了承ください。

公式略称は「レスレリ」らしいですが、正直ダサい…のでしばらく私は「レスナ」と呼んでいこうと思います。

スマートフォンで新シリーズ!?

今作はスマートフォンゲームでありながら、秘密シリーズに続く4年ぶりの新シリーズと紹介され、PVには「Project A25」(ナンバリングタイトルの25作目)の表示があります。これが「アトリエオンライン」との最大の違いだと思います。

生放送でいきなりPVが流れたときには、「事前登録受付中」の文字が出るまでコンシューマの新シリーズだと思っていました。「Project A25」というナンバリングタイトル新作を思わせる表示もそうですが、

  • 秘密シリーズや「ソフィー2」を正統進化させたような風景や建物のグラフィック
  • アーランドや不思議シリーズのような従来のアトリエに近い雰囲気のキャラクター
  • 見覚えのある敵キャラたち

など、まさに新シリーズが来た!とワクワクしました。私はコンシューマのアトリエが好きなので、「事前登録受付中」の瞬間には正直がっかりしました。

ただ今回のシリーズ(何シリーズになるんでしょう?極夜シリーズ?)がスマホゲームでずっと出続けるかは分からなくて、「レスナ」のサービスが続いている状態で2作目3作目のスマホゲームが出るってあまり想像できないんですよね。

  • アトリエオンラインのアプリ名が新シーズン開始時に「アトリエオンライン2」になったように(?)、同一アプリ・同一サービスにコンテンツを追加していくことで実質的な続編とする

ということも考えられますが、

  • 「ブルーリフレクション」シリーズ(順番は逆ですが)のように、「レスナ」と世界観を同じくした続編としてコンシューマ作品が制作される

という可能性も十分あると思います。

一応「シェルノサージュ」のように後にオフライン版が出たという前例もあって、個人的にはそれが一番熱いのですが、今作のゲームシステムの性質上なさそうですね…。

世界観や雰囲気は、まさしくアトリエ

今回の生放送で発表された範囲の情報やグラフィックを見ると、世界観や雰囲気に関してはまさしくアトリエらしいと思いました。秘密シリーズより遥かに「安心できるアトリエ」感があります。アトリエ初代ディレクターの吉池さんが監修として関わっていることもありますが、私のような従来作プレイヤーがスマホゲームに持つ抵抗をなんとか減らそうとしているのか、直球で典型的なアトリエらしさを目指しているように感じました。

そのため世界観の描写やストーリー、キャラクターについては安心して楽しめそうだなと思いました。

星がテーマというのも良いですね!これまでのアトリエ作品でも、アイテム、フィールド、楽曲名など様々なもののモチーフとなってきましたが、世界観とストーリーにがっつり関わってくるのは意外と珍しいと思います。

音楽も、PVで流れていた楽曲は6/8拍子+アコースティック+笛の王道アトリエサウンドという感じで、逆に作曲者が当てづらいほどです。第一印象がちょっと矢野さんっぽかったんですけど何でかは自分でも分かりません…。新規参加の方がアトリエサウンドに寄せて作られている可能性もあるので、作曲者さんについては何とも言えないです。今後の情報を待ちたいところです…そしてサントラは絶対出してください!お願いします!

ゲームシステムには期待していない

一方で生放送中に表示されたメニュー画面は、典型的な「ザ・スマホゲー」という感じです。スタミナ、ガチャ、課金石、ミッション、とステレオタイプもいいところです。スマホゲームの会社が入って作っているならまあそうなるよなと。

ガチャが話題になりがちですが、私が一番見たくなかったのはスタミナの表示です。生放送でシステム面は全く触れられていなかったのですが、Google Playのスクリーンショットには探索地に入る時にスタミナを消費するような表示があり、スタミナが切れると満足に採取もできなそうに見えます。

アトリエシリーズの醍醐味であるアイテムの作り込みも、そもそもできないか、相当課金しないと満足に進められないかの2択でしょう。極論、自分のペースで好きなだけ遊べるなら「マリー」くらいの調合システムでも私は良いのです。しかしそこにスタミナやら超低確率レア素材やらが入った時点で「自分のペースで好きなだけ」という前提が崩れ去ります。

せめてストーリーを楽しむだけならストレスなく遊べると良いなと思っていますが、「アトリエオンライン」でせめてストーリーだけでもと思ってあまりの面倒臭さに諦めた記憶があり、さらに今作はスタミナ制というなら尚更期待できないです。「ストーリー進めたい→ボスに勝てない→装備やアイテムを作ろう」という過程は、アトリエの醍醐味であり楽しいところのはずです。でもそのためには◯時間ごとにスタミナ貯めて採取してを繰り返し、低確率のレア素材を集めないといけない。足りなかったらまた◯時間後にやり直し。気持ちがどんどん冷めます。「マナシスリフレイン」はその点良かったんですよね、スタミナ制なしで好きなだけ遊べたしストーリーはすぐに楽しめたので。

私が普段スマホゲームをやらない理由にも繋がるのですが、そもそもコンシューマとスマホゲームはプレイ体験として全く別物だと思っていて、何ならゲームとアニメくらい違うと私は感じています。システムをどんどん快適にして、ストレスなく好きなだけ遊べるように進化し工夫してくれているのがコンシューマのアトリエなのであれば、実時間の制約・莫大な必要アイテム数・期間限定・超低確率やら何やらでフラストレーションを与え、我慢するかお金を払うかの2択を迫り続ける、それがスマホゲームです。私が「ソフィー2」で「快適だ!素晴らしい進化だ!」と言っていたようなこととは完全に逆行するでしょう(そうしないと儲からないからね)。

同じお金を払うにしても、「作品に払う」のか「アイテム(あるいはアイテムが出るかもしれないガチャ)に払う」のかでは全く感覚が違います。ストーリー、グラフィック、システム、ボイス、音楽、地味で細かい改善、作品愛と遊び心、その他諸々を注ぎ込んでゲーム作品として作り上げてくれたことに感謝して対価を払いたいのであって、フラストレーション解消、所有欲、ギャンブル体験にお金を払うスマホゲームの課金にそういう感覚は一切ありません。なのでゲームソフト代だと思って課金して快適さを享受すれば良いという話ではないし、その快適さはあくまで一時的です。最近のスマホゲーム情勢では絶対にあり得ないでしょうが、「Nintendo Switch Online」などのようにゲームソフト代と月額のオンラインプレイ料を払って好きなだけ遊べるならそちらのほうが遥かに良いくらいです。

またオンラインゲームである以上、いつかは遊べなくなります。そして最近のスマホゲーム情勢を見ていると、正直サービス期間はそう長くはないでしょう。私は「トトリ」発売くらいの時にアトリエシリーズを知ったので、それ以前のナンバリングタイトルやDS作品は後追いで全てプレイしましたし、今でも20年くらい前のアトリエ作品を起動して遊ぶことがありますが、そういう遊び方が根本的にできないわけです。これはとても寂しいことです。

改めて箇条書きで、私が懸念していることをまとめます。

  • 実時間の制約を受けるスタミナ制により、調合と採取を繰り返してアイテムを作り込んでいくプレイ体験がブツ切りになり、熱中して楽しめない
  • 基本プレイ無料・アイテム課金制のゲームの傾向として、長期間のプレイ継続や課金を促すため、ストーリー進行やキャラ強化に必要なアイテムが大量要求または入手困難に設定され、ゲームそのものが不親切になるように設計されている可能性が高い
  • 素晴らしいゲームやコンテンツに対してなら喜んで対価を払いたいが、意図的に設計された不親切さを解消するための対価は払いたくない
  • サービス終了してしまうと振り返って遊ぶことが出来ず、それ以降にアトリエを知った人が後追いで遊ぶことができない

これらの点は、スマホゲームである時点で最初から期待はしていないし、そもそも根本的に違うものだと思っているので、自分が楽しめる範囲で楽しめればいいと思っています。今作の悪いところを指摘しているわけではなく、そもそもスマホゲームの常識はそういうもので、私がアトリエシリーズのシステムに求める点がそれらと根本的に相容れないから、私はそこには期待していないということです。私の求める「自由に快適に好きなだけ遊べるアトリエ」を基本プレイ無料で出したらそりゃ儲からない。

まだゲームシステムはほとんど情報がないので、あくまで現時点で公開されている僅かな情報からの予想です。とはいえアトリエ作品でスタミナ制の画面を見せられただけで、私が期待を失うには十分すぎました。良い方向に裏切るなら裏切って欲しい。

今後のアトリエはどうなる

新シリーズ、ナンバリングタイトル、そしてそれがスマートフォンゲームだったということで、気になるのは今後のアトリエがどうなるかです。「アトリエシリーズ」というものを様々な方面に展開するのは喜ばしいことだとして、個人的にはコンシューマの完全新作をこれからも出し続けて欲しいというか、正直それが完全になくなるとアトリエシリーズを追っている意味が私の中ではなくなります。

インタビューで「当然のことながらコンシューマーでも引き続き『アトリエ』シリーズは展開していきますので」と語られているのでそれを信じていますが、気になるのは発売頻度や質への影響です。

今回ゲームシステムの開発は(典型的なスマホゲーのシステムだし)アカツキゲームスが主体だろうと思っていて、キャラの3Dグラフィックはコーエーテクモ内の別ブランドであるTeam NINJAが主に手掛けています。じゃあ元々コンシューマのアトリエを作っている人たちのリソースはあまり取られていないのかな?というのも思いますが、風景や建物のグラフィックがかなり従来のアトリエっぽいのでそこには人が入ってそうな気がするんですよね。アニメとかは増えたところでゲームの開発リソースは多分取られないんでどんどんやってくれ!という気持ちだったんですが、今回に関してはコンシューマの開発が遅くなったり作品のクオリティが下がったりする可能性があるのは嫌だなと。

これまでのアトリエで調合や戦闘などのコアシステムを作ってくれていた人たちがちゃんと残って、素晴らしいコンシューマ作品を作り続けてくれることを願うばかりです。逆にそれが叶うなら、私が楽しめない分野であってもアトリエが展開していくのは喜ばしいと思います。

「レスナ」の世界観がとても好きなのでこのシリーズの2作目としてコンシューマ作品というのが個人的には一番嬉しいんですけど…どうなるでしょうね。

おわりに

色々書きましたが、やはり新作発表というのは嬉しいものです。その上で、私から見た今作の明確に期待できるところ、明確に期待できないところを書き連ねてきました。良い意味で期待を裏切ってくれれば嬉しいですが、それはそれで"基本プレイ無料"のゲームとしてはきっと立ち行かなくなるでしょうから。楽しめるところだけ楽しんで、楽しめなくなったら辞めます。そういうものだと思っています。

スマホゲームはスマホゲームとして、コンシューマゲームはコンシューマゲームとして、それぞれのスタイルの良さを存分に発揮した作品を作り続けてほしいと思います。

「レスナ」の今後の情報、そしていずれ来ると信じているコンシューマ作品の新作発表を楽しみにしています。お読みいただきありがとうございました!

「ライザのアトリエ」アニメ第4話までの感想

「ライザのアトリエ」アニメ第1話から第4話までの感想記事です。

注意点として、原作ゲームでの終盤までのストーリーに少し触れるため、アニメの今後の展開にも関わるネタバレを含むことにはご注意ください。

第1話を観た時点での感想はこちらです。

世界はそのまま、表情はより豊かに。アニメ「ライザのアトリエ」1話をゲーム勢が観た感想 - Ultimate Rondo

また、原作のシナリオライターとアニメのシリーズ構成を担当されている高橋さんのインタビューも非常に良いインタビューだったので、こちらも引用しながら記事を書いていきます。

アニメ『ライザのアトリエ』シリーズ構成・高橋弥七郎氏にインタビュー。人々との交流を通じて描かれる、ライザの成長が見どころ | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

ストーリー構成

アニメは第4話までということで、1クールであれば全体の3分の1が進みました。しかしゲームのメインストーリーの進行度としては序盤中の序盤までしか進んでいません。

一方で、ライザが錬金術を知ってから熱中していくまでの過程が丁寧に描かれたのは嬉しいですし、サブクエストの中でも素敵な話であるバーバラとパットの話を丁寧に映像化してくれたことも嬉しいです。

高橋さんのインタビューでは「なるべく原作に沿って、収まりのいいところまでを丁寧に描こう、という結論になりました」と語られています。第4話まででこの進行度だとゲームのラスボスまでは進まないのかな…?私はそれでも良いと思いますが、原作ストーリーでどこまでが収まり良いかというとあまり心当たりがありません。あと些末な話ですが、サブタイトルの「常闇の女王」が回収されないですね…。

ゲームと違うところで最終回を迎えるとなると必然的にアニオリ展開になるので少し不安ではありますが、そこは高橋さんの構成力に期待しています。

声優さんの活き活きとした演技

ゲームのイベントを再現していると、どうしてもアニメとしては1つ1つの場面が単調になりがちです。デフォルメされたギャグシーンなどもない中で、飽きさせないようにしてくれている最大の要因は声優さんの演技だと思います。ライザ役であるのぐちさんを筆頭に、声優さんの活き活きとした演技は本当に素晴らしいと思います。

調合シーン

第2話以降、ライザが調合をするシーンに専用のアニメーションが付くようになりました。材料と材料を繋ぐ演出で、恐らくゲームのリンケージ調合をイメージしていると思われます。

これはあくまで私個人の感想なのですが、ちょっと…いや、けっこうダサいと思います。

  • 出来上がりの「ジャン!」のダサさ
  • 錬金術や調合の工程をどういうものとしてイメージさせたいのか結局よく分からない
  • ライザの身体を強調するカット以外の、明らかな演出や作画の手抜き加減
  • 他の部分の演出がイマイチな分、余計気になってしまう過剰なライザの身体強調

など、原作ゲームのほうが演出が遥かにスマートですし、アニメでも第2話の失敗した時のようなシンプルな演出のほうがマシです。錬金術がテーマの作品において重要なシーンを、安易な身体強調の材料にしていませんか?

原作でもアニメでも、あれだけ身体を強調するアングルがあるにも関わらず私が楽しめているのは、作品におけるそれ以外の魅力が十分大きいからです。調合シーンは全体の印象が悪いので、相対的に短絡的なエロが目に付き、これライザの身体を強調するためにやってるの?と思ってしまいます。アニメ全体(あるいはゲーム全体)がこうなってほしくはないな、という危惧が小さいスケールで具現化されたシーンでした。

しかしこのシーンにライザのキャラクターとしての魅力や錬金術の演出の良さを感じている人もいるかもしれないので、あくまで私の感想です。

戦闘シーン

第1話の戦闘は流石にテンポ悪すぎないかと思いましたが、戦闘慣れしていないということを示す描写だと思えば納得できました。そして第4話の戦闘シーンはレントの剣やライザのアイテムなどが活躍し、演出もなかなか良かったと思います。

タオの活躍

ゲームの戦闘ではどの仲間キャラも長所があって活躍できるのですが、アニメの戦闘でタオが活躍するシーンはまだありません。しかし第4話で古代文字を解読して仲間を救うという活躍を入れてくれたのは本当に素晴らしいと思います。

原作のストーリーイベントでは、タオは終盤に覚醒するキャラです。古代文明の謎を解明して過去の問題に立ち向かっていくという過程において、タオは勉強した成果を存分に活かし本当に頼もしくなります。アニメのストーリーがどこまで進むかは分からないですが、原作でも描かれたタオの活躍を早期にシナリオに組み込んだのはとても良いと思います。

太ももアングルやるなら、シリアスなシーンでは自重してくれ

アニメーターの趣味なのか世間の短絡的なバズりに迎合してなのか分かりませんが、OP映像/ED映像そして全ての話で複数回、不必要または不自然にライザの太ももを強調するカメラアングルが存在します。

それ自体については、そこを楽しみに観ている人々もいると思うので否定はしません。というかまあ原作通りです。私も改めて原作を最初からプレイしているのですが、ここまであったっけ?というくらい露骨なアングルや胸揺れが多くて驚きました。これ自体についてアニメに文句を言うのはお門違いです。

しかし第4話、ライザが爆弾の破壊力の大きさとその危険さを考慮できず、それをアンペルが厳しく諭すシーン。アンペルは錬金術の強すぎる力とそれを使う人間の無責任さが過去に起こした愚行や惨劇を嫌というほど理解しており、原作のストーリーを(特に「ライザ3」まで通して)知っている身からすると本当に重い言葉、重要なシーンなのです。このシーンをアニメに入れてくれたことは嬉しい一方で、何で無神経に太もものアップばっかり映してるんですか?ここの構図考えた人ストーリー理解してます?エロ混ぜてダメな場面の分別くらいつけましょう?

ここだけは本当にやりすぎ、意味不明、ストーリー軽視だと感じました。安易で短絡的なエロやバズりネタへの迎合が、作品が持つ他の大事な魅力を邪魔して破壊するという、私が原作の秘密シリーズを通して大きく問題視し嫌っていたことが、アニメでも行われてしまったことは本当に悲しいです。

おわりに

この記事で書きたいことは最後の項目が6割くらいです。とはいえ嬉しい要素ももちろんあったので、ネガポジのバランスを取っているわけではなく褒めている点も私の正直な気持ちです。

全体の3分の1となる第4話または半分となる第6話くらいで中間感想記事を書こうかなとは前から思っていたのですが、今回の第4話がきっかけとなって記事を書くに至りました。

まあでも、ゲームでもイベントの雰囲気お構いなしに服を雨で透けさせた「ライザ2」の例は似たようなもので、歴史は繰り返すのだなと。アニメの今後の回に対する不安は増大しましたが、過度な期待はせずに楽しめるところを楽しんでいこうと思います。

「マリーのアトリエ Remake」感想

マリーのアトリエ Remake ~ザールブルグ錬金術士~」、ついに発売となりました!

www.gamecity.ne.jp

1997年に発売されたアトリエシリーズ第1作目のフルリメイク。私はオリジナル版を発売当時ではないですが、今から10年くらい前にプレイしました。今のアトリエに比べるとボリュームは少なくシステムはシンプルですが、当時の作品にしかない独特の魅力もあり、レトロゲームとして歴史の中に埋もれるには惜しい作品だと思っていました。そのため今回のリメイクで、私自身が懐かしんで楽しむだけでなく、今のアトリエプレイヤーの人々に魅力を知ってもらえることを嬉しく思います。

今回も感想記事を書きたいと思いますが、私が書きたいことがほぼ全部、発売前のプロデューサー・ディレクターインタビューに書いてあります。なのでよければまずこちらをお読みください。

『マリーのアトリエ』リメイク版インタビュー。楽しさの本質を現代のユーザーに伝えるため、無期限モードなどを用意。一方、25年前のボイスを使用するなど、ノスタルジーも大切に | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com

全体的なリメイクの方向性

全体的なリメイクの方向性として、オリジナル版の魅力やプレイ体験を可能な限りそのまま残したいという強い意志を感じました。このブログではリメイクの初報が出た時にほぼ情報がない状態でシステム等を予想した記事を書きましたが、私の予想を遥かに超えてそのまま再現されています。

そもそもオリジナル版の「マリーのアトリエ」が面白くて遊び心に溢れる作品であり、キャラクターやストーリーだけでなく、細かい点も含めて様々なプレイ体験が印象に残っているゲームです。店に器材や参考書がずらっと並んでいて初期資金の使い道に悩むところから始まり、間に合うと思ったのにズルズル遅れていく依頼、ちょっと外に出ただけなのに無情に進む日付、すぐ踊りだす妖精さん、唐突に始まる謎のミニゲーム、システムに慣れて軌道に乗った時の万能感、そしてエリキシル剤と賢者の石に到達する終盤のクライマックス感。他にもオリジナル版のプレイヤーなら伝わる「マリーあるある」を、リメイクでもそのまま味わうことができます。

しかしこのままではやはり不便で遊びづらいので、ヘルプや画面に表示する注意書きなどをこれでもかと入れて、プレイヤーが考えて対処できるようにしています。

  • 工房に戻るときには1日経過するという注意書きが毎回出る(出るときもドアの前に立つと表示される)
  • 疲労やレベル不足などで調合に失敗しそうなときはマリーがつぶやく
  • 依頼、調合、戦闘などほぼ全ての場面で画面に表示される情報が大幅に増えている
  • 依頼を受けると常に画面に残り日数が表示される
  • 材料不足等で妖精さんが踊った時には常に画面にビックリマークが出る
  • イベントを進めるための条件や時限イベント等が厳しいので、全部のイベントの発生条件を確認できる

などなど、単に仕様を易しく緩和するのではなく、追加された情報を活用して当時の仕様を楽しみながら遊びこなしてほしいという意志が伝わります。

無期限モードという選択肢があるのも良いと思います。日数経過は最近のアトリエと比べると激しく、調合・移動・採取の全てで湯水のように日数が溶けていきます(特に調合日数はオリジナル版より増えています)。期限に追われるのが嫌だ・バッドエンドになりたくないという人や、クリア条件を満たした後も色々やり込みたいという人にとっては無期限モードはありがたいでしょう。

一方で本当にキツい点、面白さよりもストレスが勝ってしまうような点は仕様を変えて緩和されています。例えばミニゲームの難易度は全体的に落とされ、特に「常若のリンゴ」のミニゲームは連打が不要になっています。連打という要素を残す場合、仮に要求される連打スピードを下げたとしてもあまり面白くないと判断したのかもしれません。

意外な変更点としては、アカデミー卒業のために要求されるアイテムランクが4から6に上がりました。ノーマルエンドを迎えるにはこのくらいして欲しいという判断でしょうか。個人的にはどちらでも良かったと思いますが、あえて変更したのは少し意外でした。

洗練された採取と戦闘

システム面で大きく変更され、今のアトリエに近い形で洗練されたのが採取と戦闘です。

採取に関しては狙った素材を手に入れられるようになり、また戦闘もシンボルエンカウントで避けられるようになりました。その上で採取物も戦闘もランダムな従来の採取も選べるようにしているところがこだわりを感じます。

戦闘は行動順や技の威力が表示されるようになり、バランスも調整されています。地味に嬉しいのが戦闘でもらえる経験値の仕様変更です。オリジナル版では敵にとどめを刺さないと経験値が貰えないので、攻撃能力の低い仲間を育てるのが大変でした。

これら2つのシステム調整により賃金不要のマリー&シアだけでもある程度採取ができて、また依頼のバランス調整やイングリド先生の課題の追加などでお金が稼ぎやすくなったので、もしお金を使い果たしても立て直し可能です。序盤の金欠で身動きが取れなくなるのが一番キツいので、そこは重点的にケアされているように思います。

キャラクター

キャラクターは頭身低めの3Dモデルで、表情や仕草がめちゃめちゃ可愛いです。立ち絵やイベントのイラストは、オリジナル版のイラストの構図を踏襲しつつ今風に描き直されています。

ボイスはオリジナル版当時に収録されたものがそのまま使われています。音質や演技の方向性などで多少時代を感じる面はあるものの、26年前のものとは思えないほど自然に聞こえました(サウンドスタッフさんの隠れた努力があるのでしょう…)。オリジナル版プレイ済みの身としては、セリフの細かな言い方が記憶通りで懐かしさを感じます。

追加されたキャライベントも多く、仲間キャラがどんな人物なのかがより伝わりやすくなっています。

音楽

アレンジは谷岡久美さんが担当。原曲の雰囲気はそのままで音源などが洗練された、正統派アレンジだと思います。とても良いです。

私の好みを言うと、原曲は電子音っぽい音源だからこその力強さがあって、戦闘曲は音源が洗練されたことで迫力が減ってしまった面もあると思います。ボス曲「帰還するもの」はもう少し圧があったほうが好きだったかな。でも今のアレンジも好きです。

これは余談ですが、「マリーのアトリエ」の楽曲はシリーズを象徴する第1作目ということで、フレーズがそれ以降のいくつかの楽曲に使われています(主に阿知波さんによって)。逆に最近の作品からプレイした人はマリーをプレイしていて「このフレーズ聴いたことあるぞ…?」と思うかもしれません。私が今思い出せるものを挙げます。

  • ユーディーのアトリエ」の工房曲「お仕事ばんがろう!」の2回目のサビの後ろに、今作の工房曲「只今お仕事中!」のメロディが使われている。
  • メルルのアトリエ」のエスティの必殺技とどめ演出「エスティFJ:ラブリーシャドウ」のイントロに、今作の通常戦闘曲「星風」のイントロが使われている。
  • ソフィーのアトリエ」の後半の工房曲「春風のポーレチカ」の間奏に、今作の工房曲「只今お仕事中!」の間奏のメロディが使われている(作曲者さんツイート)。その後に武器屋の親父のテーマ「その耐え難き奇癖について」の間奏も入っている気がする…。
  • 「リディー&スールのアトリエ」のマティアスのテーマ「知ってるかい?」は、今作のブレドルフ王子のテーマ「知ってるよ」に曲調とタイトルを似せている(作曲者さんツイート)。
  • 「リディー&スールのアトリエ」のハゲルのテーマ「その耐え難き奇癖について for リディー&スール」は、今作の武器屋の親父のテーマの直接のアレンジ曲。
  • ネルケと伝説の錬金術士たち」のアバンタイトルテーマ「Alchemia」のコーラスに、今作のタイトル画面の曲「好きだった絵本」の冒頭のメロディが使われている(作曲者さんインタビュー)。

改善を期待したい点

今回はリメイクということで、オリジナル版由来の不便な要素は「あえて残している」と思っています。それを考慮した上で気になった点を2つ挙げたいと思います。今後もし同様のリメイクがあれば改善を期待したいです。

  • 採取地の道の狭さや障害物による視界の悪さのせいで敵避けが難しい。「ライザのアトリエ2」でも同じ課題があり、これはオリジナル版と無関係の要素なので改善して欲しいです。今作は敵に当たった時点で倒しても逃げても1日経過確定なので尚更です。
  • エンディングは「アーシャのアトリエ」以降のマルチエンディングの仕様と同じく選択式でも良かったのかなと思います。無期限モードがあるなら尚更、やり尽くしてからエンディングを見たいという人もいるかもしれません。優先度の低いエンディングが消滅していても、イベントリスト上では条件を満たしているように見えるのも罠です。元の仕様と追加要素がミスマッチしていると思います。

まとめ

ゲーム全体を通して、オリジナル版の魅力はそのままに、26年間の歴史の中で培った快適性や洗練されたシステムと融合させた、素晴らしいリメイクだと思います。オリジナル版をプレイした人は「マリーってこうだったよね」と思い出に浸れるし、未プレイの人は「初期のアトリエはこんな感じだったんだ」と歴史に思いを馳せることができます。

マリーのアトリエ」やザールブルグシリーズには、単に長く続くシリーズの第1作目であるという点だけには収まらない魅力があります。このリメイクを通じて私は「マリーのアトリエ」の魅力を再認識することができたし、今回初めて「マリーのアトリエ」に触れた方がその魅力を感じてくれたら私は嬉しいです。

オリジナル版の仕様を据え置きにして残すのは、簡単に見えて勇気の要ることだと思います。不便さを排除して経過日数などの数値を緩和すれば、当然遊びやすくなるし難易度は下がります。そうではなく便利な情報を大量に提供することでプレイヤーに対処方法を考えさせ、オリジナル版の仕様を楽しんでもらう、そのリメイク方針が私は好きです。

これだけ良いものを作ってくれると、エリー以降のリメイクも是非とも期待したくなります。インタビュー記事でも「可能性はもちろんあります」と言われているので楽しみに待ちたいと思います。エリーもオリジナル版めっちゃ面白いんですよ…。

今後のリメイクへの期待を述べたところで、今回の記事は終わろうと思います。もちろん秘密シリーズに続く新シリーズも引き続き楽しみにしています。お読みいただきありがとうございました。

三者三様の魅力が彩る夢幻世界。「ソフィーのアトリエ2」のボーカル曲について語る

ソフィーのアトリエ2」には、アバンタイトルテーマ「Syndetos」、イベント挿入歌「Nemo」、エンディングテーマ「Planisphere」という3曲のボーカル曲が使用されています。

どれもとても良い曲で、「ソフィー2」の物語やアトリエシリーズの世界観にぴったりだと思います。また不思議シリーズのこれまでの曲と関連するような遊び心も色々含まれています。

しかし今作には残念ながら音楽堂の作曲者コメントがなく、サウンドトラックにも曲ごとのコメントは記載されていません。公式サイトに作曲者さんと歌手さんのコメントがありますが、発売前に公開されたので曲や歌詞の中身にはあまり触れられていません。

そのためこの記事では、1人のプレイヤー目線での感想や気付いた点などを語っていきます。ゲーム中で曲が流れる場面にも触れていくので、ネタバレにはご注意ください。(エンディングの内容にガッツリ触れます!

はてなブログはJASRAC管理楽曲の歌詞を掲載することが可能なので、説明の中で歌詞の一部を掲載させていただきます。

また3曲ともYouTubeミュージックから自動生成された動画(合法なもの)で聴くことができるので、YouTubeへのリンクも貼っておきます。

★Syndetos

Syndetos - YouTube

曲の概要

  • 作詞作曲:矢野達也さん
  • 歌:鈴湯さん

ストーリー最初のイベントで流れる楽曲。このイベントを観た後はゲーム起動時にも流れるため、実質オープニングテーマでもあります。

ゲームで流れる範囲でも2つの拍子(リズム)が使い分けられていて、穏やかな雰囲気と躍動感が表現されています。しかしフルバージョンの展開はこの比ではなく、2番では全く新しいメロディが始まり、サビの雰囲気も1番とはガラッと変わります。「Into the Journey」の壮大な展開や「クローマ」の全くメロディの違うツインボーカルを思い出すような、矢野さんの新しい挑戦を感じます。

歌詞には今作のテーマである、そして前作のテーマであるが描かれています。ソフィーとプラフタの物語を描くとともに、この歌詞は不思議シリーズそのものを描いた歌詞であると思っています。

前作テーマ「Phronesis」について

「Syndetos」を語る上で欠かせないのが、「ソフィーのアトリエ」のオープニングテーマ「Phronesis」です。「Syndetos」には「Phronesis」の歌詞とメロディが多く使われています。

  • あなたが叶えたい夢を聞きたいな
  • 私は識る
  • 私何を叶えたいの

これらは「Phronesis」にほぼ同じ歌詞が存在します。そもそも「Phronesis」の歌詞を読み返すと「ひとりで悩んでた夢の探し方」から始まり「夢を歌おう」で終わるという、全体を通して夢をテーマとしたものとなっています。これは今作への壮大な伏線というわけではなく(まさかね…)、不思議シリーズ、そしてアトリエシリーズにおいて主人公や仲間たちが夢を叶えるということが大きな共通テーマになっているからだと思います。

曲名の「Phronesis」「Syndetos」も古代ギリシア語という点で共通しています。Phronesisは実践的な知という意味で、錬金術もしくはプラフタをイメージした曲名だと思っています。対してSyndetosは、「結び付けられている」「混ぜ合わせられている」のような意味です(たぶん…)。この言葉も錬金術をイメージする言葉であり、ソフィーとプラフタの関係も表しているのではないかと思っています。

「Phronesis」の作曲は柳川さんですが、今作でもアレンジされたソフィーのテーマソング「やってみよう!」は矢野さん作曲で、この曲のメロディも「Syndetos」に含まれています。

「絵筆と希望の唄」について

もう1つ触れておきたいのが、「リディー&スールのアトリエ」のエンディングテーマである「絵筆と希望の唄」です。不思議シリーズを締め括るにふさわしい曲であり、3作品のテーマが取り入れられています。歌詞を引用します。

走らせた筆先で

奇跡を紡ぐ旅を始めよう

開かれた表紙をくぐって

夢の先の未来図を描く

という歌詞の1~3行目は絵画がモチーフとなっていますが、4行目にしっかりがあるんですよね。そしてこの「夢の先の未来図」という言葉が「Syndetos」にしっかり登場しています。これがまさかの4作目への伏線だったらびっくりです。

ちなみに「Phronesis」と「絵筆と希望の唄」にも、ほぼ共通の「ひとりで悩んでた夢の探し方 あなたは(君なら)分かるかな」というフレーズがあります。

「Syndetos」まとめ

従来作からのプレイヤーにはお馴染みの不思議シリーズの安心感と、異世界での冒険でのワクワク感を見事に表現した曲だと感じました。それだけでなく前作テーマ「Phronesis」と、これまでの不思議シリーズ全体に対するアンサーソングでもあると感じました。

今回取り上げた2つの過去楽曲の他にも、不思議シリーズには「わたしの見たい景色まで」「光ノ軌跡」「Into the Journey」など、歌詞にという言葉が複数回登場する曲がたくさんあります。不思議シリーズを通して、夢を見つける、夢を叶えるというテーマが一貫して描かれ、楽曲にもしっかり表れていること。それに気付くきっかけをくれた曲でした。振り返って過去作の曲を聴いてみるのも面白いと思います。

★Nemo

Nemo - YouTube

曲の概要

  • 作詞:青木香苗さん
  • 作曲:阿知波大輔さん
  • 歌:霜月はるかさん

プラフタの町長就任イベントで流れる楽曲。阿知波さん作曲・霜月さんボーカルの「Eternal Story」から続くお馴染みのコンビです。

私はこのコンビの、爽やかで明るい曲が大好きです。他には「Cynthia」や「もしも時を飛べたら」などなど。(「Liela Xea」みたいなのも好きですけどね)

タイトルの「Nemo」はラテン語で英語の nobody(誰でもない) に相当する単語で、「遠く瞬いてる 名前のない星を」という歌詞と関連していると思われます。

歌詞の解釈

このセクションは裏付けのない、完全に私の解釈です。この歌詞は誰の目線、あるいは誰を描いた歌詞でしょうか?

素直な解釈はソフィー視点での歌詞というものです。曲冒頭の歌詞を引用します。

小さな頃に見た

不思議なその力

瞳の奥 消えないひかり

誰にも言えなくて

上手にできなくて

だけどずっとあこがれていた

このフレーズからは、小さい頃に祖母から教わった錬金術を愛し続けるソフィーの姿が浮かびます。

一方で私は、この歌詞はソフィーだけではなく、ロイテールに来てそれぞれの夢を追い求めている、ゲームでは名前の出てこない一人ひとりを描いているようにも感じました。それは「Nemo」というタイトルの印象もありますし、ゲーム中でもモブである住人達がエルヴィーラを諭すイベント(ここ個人的にめっちゃ好き)があるように、ロイテールの名も無い人々が印象に残っているからです。そしてこの曲はロイテールの住民たちがプラフタ町長を迎え入れるイベントで流れるものです。こういう解釈もアリなんじゃないかなと。

余談ですが、青木香苗さんの歌詞は「その世界に生きる、メインキャラではない誰か」の視点なのかもと感じるものが他にもあります。個人的には「Cynthia」や「TOGGLE」はそうかなと思っています。(これらもいずれブログ記事で語りたい)

歌詞の遊び心

この「Nemo」にも、歌詞の中に過去作の楽曲にちなんだ遊び心が隠れています。3回のサビそれぞれの最後のフレーズを引用します。

  • 降りそそぐ木漏れ日の中
  • 吹き抜ける春風の中
  • やわらかな陽だまりの中

これは前作でのアトリエ(工房)内BGMである「木漏れ日のカンパネラ」「春風のポーレチカ」、そして今作の「陽だまりのピアチェーレ」という3つの曲名にちなんでいます。作曲は全て阿知波さんです。

★Planisphere

Planisphere - YouTube

曲の概要

  • 作詞作曲:柳川和樹さん
  • 歌:近藤佑香さん

エンディングのスタッフロールで流れる曲です。曲名の意味は歌詞にも出てくる星座盤です。

エンディングではありますが、アップテンポで疾走感のある曲。こういうエンディング曲は大好きで、王道バラードとはまた違った良さがあります。

歌詞の解釈

これは私が思いついたのではなくTwitterで見かけたものなのですが、ラミゼルの視点を描いたものであるという解釈が好きです。歌詞をいくつか引用します。

※(追記)「おとのはしらべ21」のコメントで柳川さんがラミゼル視点であると明言されていました。

羽ばたく君は不器用すぎて

思わず隣歩いていたんだ

新しく願う どうか幸せに

繰り返し祈る みんな幸せに

羽ばたく君は不器用なりに

少しずつ高く高く離れる

離れていてもまっすぐ進め

また会う時は星座の下で

今作のエンディングでは、ソフィー達がエルデ=ヴィーゲから元の世界に帰った後、ラミゼルだけが残ってエルヴィーラとの最後の時を過ごします。そしてラミゼルがモノローグの中でソフィー達の未来の幸せを祈り、スタッフロールが始まります。

ラミゼルはエルヴィーラに対しても、ソフィー達に対しても、仲間の中で優しく見守るように接してきました。先ほど引用した歌詞は、エルヴィーラと出会った時の気持ち、ゲームのエンディングで別れたソフィー達への気持ち、そしてゲームでは描かれなかったエルヴィーラとの別れの後の気持ちを描いているように思えます。

エルヴィーラはソフィーにもらった「夢幻のペンデュラム」によって、人々が元の世界に帰った後も夢の中に入って話すことができます。皆が夢を持ち続けていれば、それが夜空の星のような目印となってきっとまた会えるはず。別れの寂しさだけでなく未来への希望に溢れたエンディングであることが、前向きな歌詞からも疾走感のある曲調からも感じられます。

おわりに

この記事は「ソフィー2」の発売直後から1年以上、書きかけ状態のまま上手くまとまらずに放置していました。ふと気が向いたので楽曲を聴き直したりゲーム内のイベントを見直したりして記事を完成させましたが、やっぱり「ソフィー2」のストーリー、キャラクター、音楽、とても良いですね。

楽曲や歌詞の考察については、断片的ながらも今まで考えたネタがいくつかあるので、今後も記事を書いていきたいです。でも本当は自分の勝手な考察を書くよりもご本人の音楽堂コメントが読みたい…。

世界はそのまま、表情はより豊かに。アニメ「ライザのアトリエ」1話をゲーム勢が観た感想

アニメ『ライザのアトリエ ~常闇の女王と秘密の隠れ家~』、ついに第1話が放送されました!

ar-anime.com

アトリエ作品のアニメ化は「エスカ&ロジーのアトリエ」に続く2作品目です。期待しつつ不安もありつつ1話を観たのですが、原作ゲームファンとして触れたい要素がたくさんあったので感想記事を書こうと思います。

※文章中の「ライザ1」「ライザ2」「ライザ3」はそれぞれ原作ゲーム作品を指します。

クーケン島周辺の原作に忠実な描写

1話の冒頭はゲームと同じく、ライザがクーケン島の村の中を走り抜けるところから始まります。「ライザ1」の舞台はクーケン島とその対岸周辺で、これは最近発売された「ライザ3」にもほぼそのまま登場した場所なのでとても見覚えがあります。その場所がしっかりアニメで忠実に描かれ感動しました。

村の風景の中に登場する住民たちもゲームの3Dモデルを参考に描かれていて、見たことある姿ばかりでした。開始30秒で例の漁師が出てきてウッとなりましたが、まあここも原作通りということで。

表情豊かなキャラクターたち

キャラクターデザインは概ね原作通りなのですが、アニメでより魅力的になったのが表情だと思います。ゲームの3Dモデルでは難しいコミカルな表情や仕草が多く、よりキャラクターが可愛く描かれたと思います。

ロミィさんの登場は嬉しいですね!ゲームでは「ライザ1」時点でボイスなしのキャラだったのですが、プレイヤーからの人気が高かったので「ライザ2」以降はボイス付きで登場したという経緯があります。アニメではしっかりボイス付きで登場してくれました。

ライザ猫っぽいな…?とか、ルベルトさん見た目若くね…?とか、アンペルさん目のクマすごくね…?とか観てる時は思ってたんですが、改めて原作のイラストや3Dモデルと見比べると、概ね忠実に再現しつつアニメで自然になるように調整されてるなと感じました。レントも「ライザ1」ではこんな髪型だったなーと思ったり。

「ライザ1」は最近のアトリエ作品の中では珍しく、ストーリーでけっこう明確に嫌な奴というのが出てきます。アニメ1話でもランバーはかなり嫌な奴感が出てましたねー。「ライザ3」までプレイして結末を知っている身としては比較的安心して観ることが出来ますが、今後の話数でどのように描かれるか気になるところです。

女性キャラの体型も原作通りではありますがそこまで極端ではなく、服を透けさせる「ライザ2」や体型極端な「ライザ3」をプレイした後だとアニメのほうが比較的マシに見えます。とはいえ場面によっては強調されていますし、狙ったようなアングルは多数あったように思いますが。

私はこれまでのブログ記事でも書いているように、アトリエキャラの性的特徴については肯定も否定もしませんが、そのために他の魅力が軽視されたり邪魔されたりするのは嫌だと思っています。1話時点ではストーリーや場面演出、そしてお色気だけに頼らないキャラの魅力もしっかり描いてくれたので、最終回までそうあってほしいと思います。

ストーリーはこれからの展開に期待

1話時点ではストーリーの流れはほぼ原作通り。クーケン島のしきたりなど、ゲーム内の世界観や設定を伝えるために説明口調のセリフが多いなとは思いましたが、まあ1話なので仕方ないでしょう。私は「ライザ1」の頃の細かい設定をかなり忘れているので、そうだったなと思い出すことができて良かったです。

ある程度は原作のストーリーを忠実になぞるのかなと予想していますが、アニメ独自の改変が入るのか、「エスカ&ロジー」のようにメインストーリーから外れたアニメ独自の回が挟まるのか、それらも含めて今後の展開に期待です。

エンディングまでの尺の配分は頑張って欲しいところ…アトリエのストーリーは長そうに見えてお使いイベントがけっこうあるので、そこをいい感じに端折れば1クールで足りそうな気はしています。

戦闘と調合はもう少し頑張って欲しかった

RPGをアニメ化した場合、戦闘シーンの描かれ方はけっこう気になりがちです。もう少しスピード感が欲しいなとは思いましたが、1話のライザ達は戦い慣れていないのでこういう描写になっているのかもしれません。声優さんのインタビューでも、戦い慣れていない表現をしてほしいというオーダーがあったと語られていました。今後の話数での迫力ある戦闘に期待です。

そしてアトリエシリーズならではの調合。「エスカ&ロジー」でも出来上がりが電子レンジみたいになっていてどう描くか苦労したんだろうなと思いましたが、今作でもたぶん色々悩んだ結果、あの泡に入って降ってくる演出になったんでしょうね…。原作でも「ライザ1」の調合では泡っぽいエフェクト(※動画注意)が出るのでそれを元にしたのかなとは思いますが、原作の表現のほうがスマートですっきりしていると思います。アトリエシリーズとしては調合は重要なシーンなので、もう少しダサくない感じで頑張って欲しかったなと。高度なアイテムを作るほど演出も変わっていくかもしれないので、こちらも今後の話数に期待ですね。

とはいえ、1話を1時間スペシャルにして調合シーンまで持っていったのはとても良いと思います。やっぱり調合してこそのアトリエシリーズですからね。

安心感のある音楽

BGM担当は柳川和樹さん、2010年の「トトリ」以来ほぼ全てのアトリエ作品に携わっている作曲家さんです。原作では5人の作曲家さんが担当されていましたが、柳川さん1人の担当になった分、原作よりもアトリエっぽくなった感じがしました。クーケン島の自然豊かな風景と柳川さんのアコースティックな作風がとても合っていました。

OPとEDの曲は、BGMとは対照的に良い意味でアトリエっぽくない曲だなと。元々原作の秘密シリーズでも、OP/ED曲はこれまでのアトリエと関わりのなかった(何ならゲーム全般と関わりが薄かった)ミュージシャンさんを起用していました。個人的にはOPの「ゴールデンレイ」がお気に入りです。

そしてサントラが単体で買えることがとても嬉しいです。ガストブランドのゲームでもアトリエ以外のサントラはゲームのプレミアムBOX限定だったりするので、もし円盤特典限定とかだったら非常に悲しかったです…。大変感謝。

その他細かいところ

ライザの初期武器が変な棒(唐棹という農具のようです)になってました。考えてみたら最初から錬金術士っぽい杖を持っているほうが不自然なので、これは良い改変なのかも?

クラウディアは1話では戦わないけど弓持ってましたね…?原作ではフルートを吹いて音符(?)で攻撃するキャラでしたが、流石にアニメでは無理があったでしょうか。

アンペルさんが助けてくれるときのタル型爆弾、あんなアイテムあったっけ…?と思っていましたが、見返したらあのシーンは原作通りでした。あれ何なんだろう…

ゲームにないシーンの補完でも、リストレア薬瓶や退魔のブローチなどゲームのアイテムがちゃんと出てくるのは嬉しいですね。退魔のブローチ、原作での効果はかなり攻撃寄りです。

うに(決して栗ではない)はいくつかの歴代アトリエ作品では拾ってそのまま敵に投げることが出来ますが、原作のライザは残念ながら投げることができません(コアクリスタル制ですからね)。直接掴んで投げられる人々は特殊な訓練を積んでいるのでしょう…。

まとめ

今回の1話を観た感想としては、ゲームの世界とキャラクターを尊重して作られていることに加え、アニメならではの表現でキャラクターの魅力を引き出し、原作のストーリーイベントの合間を補完して膨らませている点がとても良いと思いました。致命的な(理由不明、原作軽視と思うような)改変もなく、原作ゲーム勢の私としても大満足でした。

個人的な話としては、つい半年前に好きなゲーム原作のアニメで「1話時点では原作愛を非常に感じたが、後半に原作ストーリーのイベントやセリフが軽視されアニメ独自の改変で埋め尽くされて悲しくなる」という体験をしたので、ほんの少し警戒してしまいますし、ライザがそうならないことを願っています。

今後感想記事を書くかどうかは未定ですが、少なくとも最終話を観終わった後には書くと思います。アニメ放送はまだ始まったばかり、これからも期待しています!

ライザのアトリエ3 アイテムダメージ追求 第2回

DLC追加要素と、その他諸々の変更によって記録を更新しました。

前回の結果はこちらです。推定ダメージ計算式についてもここにまとめているので参照してください。

ultimaterondo.hateblo.jp

★ルールとプレイ環境

敵1体に対する1個のアイテム使用で、できるだけ大きなダメージを出すことを目指す。

プレイ環境:PS4版 ソフトウェアバージョン1.04 DLC錬金術の神秘」「冒険の極意」適用後

★結果

7213万8747ダメージを記録した。

youtu.be

★主な変更点

メインアタッカーをカラに変更した

カラはパッシブスキル「風あとの監視者」によるダメージ強化量が非常に大きく、同じく最大HPに応じてダメージを強化する闇精・月精とも相性が良い。

ライザはパッシブスキル、武器「ミストラルケーン」の効果、スキル「ミルキーウェイ」による高いアイテム強化が魅力だったが、トータルでカラのほうが高いダメージとなった。

パッシブスキル「活性循環」のダメージ増加はアイテムでは機能していないように見える。フィルフサ系の敵が何らかの属性耐性を持っていて面倒という理由もあって利用していない。

最大HPを増やした

最適値ではないが、素材や鍵の厳選が不要な範囲で最大HPを増やした。

状態異常特攻のために+効果を導入した

状態異常特攻には+効果、-効果が両方カウントされる。超特性「自然治癒」と「四精霊の宿り」(4属性分)は敵にも使うことが可能なので、+効果を5個追加できる。

大型以上のモンスターが常に持つパッシブスキル「無属性耐性上昇」なども+効果として扱われるが、

  • ほとんどの敵が属性耐性持ちであり、耐性がある属性は「ダウンウィンド」などの効果で2段階低下させないと-効果に表示されない
  • 属性耐性低下に対する耐性が高く、成功しない場合が多い

等の理由で、-効果が付いたかどうか確認と掛け直しが毎回必須となるのが難点。今回は利用していない。

DLC追加要素を導入した

リンクコール効果「帯電氷の波動」と装飾品特性「アタックマスタリ」による強化が特に大きい。

また「沈黙の呼び鈴」のアイテム強化効果はライザのミルキーウェイと同じ50%であり、カラに変更したデメリットを補っている。

★使用アイテム

ツヴァイレゾナンス

  • ツヴァイレゾナンス
    • 効果:融合する火炎、[LC]帯電氷の波動、鮮烈なる力
    • 特性:破壊力上昇++、追い討ち強化++、少数ボーナス++
    • 超特性:膨張錬金術

上位効果扱いの「帯電氷の波動」を一応使っているが、恐らく「旋風炎の波動」もダメージは同じと思われる。持っている鍵のバースト効果に合わせて選ぶと良い。

デバフ用アイテム

前回同様、偽りのブーケ・プラジグ・レヘルン・ラヴィネージュ・アカシアの原典・アストローズ・エーデルフトを使用。超特性「自然治癒」と「四精霊の宿り」を入れておく。

バフ用アイテム

前回用いていた時空の天文時計・エイビスコール・ゴールドハートに加え、鎮静の呼び鈴に効果「心が和らぐ」を付けておく。対象のHPが半分以下でないとアイテム強化のバフが発動しないので、カラのアイテムに「等価交換」を付けてHPを削っておく必要がある。

★装備構成

カラ

  • レーヴェントアード
    • 効果:次元を超える、[LC]会心強化+40%、[付与]四色の羽根・超、[付与]魔の盟約・大
    • 特性:リスクブースト・氷、リスクブースト・雷、状態異常特攻
    • 超特性:鷹の目
  • クルーガークローク
    • 効果:[LC]会心強化+40%、秘伝の刻印、賢者の智慧、[付与]レインフォース・超
    • 特性:HP強化++、戦士の誓い、支援の誓い
    • 超特性:守護者の心得
  • ウォーロックリング
    • 効果:死神の魔術、魔の領域、[LC]会心強化+30%、境界越え
    • 特性:アタックマスタリ、戦士の誓い、騎士の誓い
    • 超特性:援護の心得
  • ハーナルリング
    • 効果:英雄の魂、極限集中、コアオーバーフロー、[LC]会心強化+40%
    • 特性:アタックマスタリ、戦士の誓い、騎士の誓い
    • 超特性:守護者の心得

最大HPの恩恵が大きくなったので防具をクルーガークロークに変更し、各装備のHP上昇量を増やした。ステータス画面での最大HPは1843、バフ込みで4423となった。

鍵ガチャでシンボル効果を増やせば大きくダメージが上がるが、楽しくないのでやっていない。

「融合する火炎」のダメージがカンストしてしまう影響で、リスクブーストは火の代わりに雷を採用したほうが良い計算結果となった。

★戦闘の流れ

  1. カラを操作キャラとして戦闘開始
    • 「先見之識」でT-Lvが上がるので即座にアクションオーダーが提案される
  2. キーチェンジする
  3. スキルでCCを貯め、アクションオーダーを発動する
  4. 時空の天文時計を使う(ここでHPを削っておく)
    • T-Lvが上昇しアクションオーダーが提案される
  5. ルナジャッジメントを発動する
    • アクションオーダーが発動する
  6. オーダーカウントが3以上になるので演目・暁光を発動する
  7. 操作キャラをクラウディアに変更し、騒乱の一矢++、エイビスコール、デバフアイテム3つを使う
  8. 操作キャラをライザに変更し、鎮静の呼び鈴とデバフアイテム3つを使う
  9. 操作キャラをカラに変更し、ダークスピリットで自身に闇精を付与する
  10. 仲間に割り込まれて睡眠が解けないよう、間をあけずに次のアイテムを使う
    • 偽りのブーケを4回使う
    • 偽りのブーケ、時空の天文時計、ゴールドハート、ツヴァイレゾナンスを使う

カラの闇精には特殊な仕様があり、キースクライヤーの効果で付与した特殊な闇精が最後に残ってはいけない。

ライザのアトリエ3 闇精と月精の効果についての検証結果 - Ultimate Rondo

本手順では早めにキーチェンジを行い、別のキャラを操作している間の通常攻撃で光精を付与し、改めてダークスピリットで闇精を付与している。

★ダメージ計算表

スプレッドシートにまとめている。

計算上のダメージ最小値は6259万0080、最大値(カンストを考慮した値)は7603万8962となった。

ライザのアトリエ3 闇精と月精の効果についての検証結果

カラのスキル等で付与される精霊について検証結果から推測される仕様をまとめます。

全ての強化量はアイテムダメージだけで検証しています。それ以外のダメージにどう影響するかは分かりません。

検証環境

PS4版 ソフトウェアバージョン1.04 DLC錬金術の神秘」「冒険の極意」適用後

付与手段

光精・闇精・月精の付与手段には次のものがある。

  • 通常攻撃「ノック」
    • カラ自身に光精を付与
  • スキル「ダークスピリット」
    • カラ自身に闇精を付与
  • オーダースキル「ホーリートレイル」
    • 操作キャラに光精を付与
  • オーダースキル「シャドウスフィア」
    • 操作キャラに闇精を付与
  • パッシブスキル「キースクライヤー」
    • キーチェンジ使用者に、現在HPが最大HPの50%以下の場合は光精を、50%より大きい場合は闇精を付与
  • フェイタルドライブ「ルナジャッジメント
    • 前衛全員に月精を付与

光精と闇精は共存できず、互いに上書きされる。

闇精の効果

闇精には2種類あり、挙動が異なると考えられる(ゲーム内の説明文は同じ)。

  • 「ダークスピリット」または「シャドウスフィア」で付与したもの
    • これを通常の闇精と呼ぶことにする。
    • 最大HPの5%(小数点以下切り捨て)を消費し、その値に応じてダメージが増加する。実際に消費できたかどうかは関係ない。
    • 強化量(%)は ceil(消費量×0.7)+15 で計算される。ceilは小数点以下切り上げを示す。
  • 「キースクライヤー」で付与したもの
    • HPを消費せず、ダメージが50%増加する。

「キースクライヤー」で付与した闇精は、通常の闇精より常に優先される。通常の闇精を付与した後に「キースクライヤー」で闇精を付与すると上書きされるが、その逆は上書きされない。これは残り時間がリセットされるかどうかで確認できる。

光精を付与するとどちらの闇精であっても消滅するので、その後に改めて通常の闇精を付与することができる。

50%という強化量は通常の闇精において最大HPが999の時のものであり、最大HPが1020以上であれば通常の闇精のほうが強化量が大きくなる。

月精の効果

最大HPの5%(小数点以下切り捨て)を消費し、その値に応じてダメージが増加する。実際に消費できたかどうかは関係ない。

強化量(%)は ceil(消費量×0.7)+30 で計算される。ceilは小数点以下切り上げを示す。