Ultimate Rondo

アトリエシリーズとゲーム音楽とその他いろいろ

リディー&スールのアトリエ ボーカル曲感想

ついに発売となりました、リディー&スールのアトリエ! この記事を読んでくださっている皆様は絶賛プレイ中でしょうか。まだの方は是非ともご購入&プレイしていただければと思います。

ゲーム全体についても色々と感想を語りたいところではありますが…この記事ではボーカル曲について感想を書いてみたいと思います。今回も本当に素晴らしい曲が揃っていて…ゲーム内で流れる場面も相まって、どの曲も印象深いです。

ボーカルアルバムの収録順ではなく、ゲームで流れる順番で紹介します。 またゲーム内でそれぞれの曲が流れる場面に言及しますので、ネタバレにはご注意ください。 全ての曲を聴くには、とあるエンディングにたどり着かないといけないので…

クローマ、キャンバス、ペインティング

今作のオープニング曲です。作曲は矢野達也さん。

事前情報をチェックされた方はご存知だと思いますが一応書くと、riyaさんが歌うのが主人公リディーのテーマ曲「キャンバス」。Ceuiさんが歌うのが主人公スールのテーマ曲「ペインティング」。そして2つの曲が同時に流れるよう混ぜ合わせたものが、オープニングで流れる「クローマ」という位置付けです。

歌詞は全然違うものを歌っていたり、掛け合いになったり、ユニゾンやハモリでタイミングが合ったり。ほとんどのフレーズでは違う歌詞を歌っています。

今作の主人公である双子の姉妹、リディーとスールですが…担当イラストレーターさんも分かれていて、イメージカラーの違い、性格の違いなど、「2人でセット」というよりは1人1人がそれぞれ魅力あるキャラクターとして描かれていると感じました。「クローマ」も、riyaさんとCeuiさんがそれぞれ自由に歌うことで心地よい音楽が生まれていると思います。だからこそ、ユニゾンやハモリで同じ歌詞に合流するところはグッときますね。

フルコーラスで聴ける後半では、「君と繋いだ手は離れても」から始まる掛け合いと、その後でお互いのサビのメロディを歌い合うところが好き。あとは地味ですが、サビで「君と」と「虹を」の母音が合うところもお気に入りです。

余談ですが、アトリエシリーズでは意外と(?)少ない、歌詞に「アトリエ」が登場する曲でもありますね。他には「schwarzweiß~霧の向こうに繋がる世界~」や「My Silly Days」などがあります。

スターピース

アバンオープニング曲です。霜月はるかさん・山本美禰子さんのツインボーカルです!作曲は矢野さん。

疾走感あふれる曲で、主人公たちを絵画の異世界の冒険へ、そしてプレイヤーをゲームの世界に引き込んでくれます。タイトルの「」は個人的に重要だと思っています。

1番と2番では歌唱パートが入れ替わっています。霜月さんと山本さんの声、それぞれに違った特徴があるので、パートが入れ替わっただけでかなり印象が変わる気がします。楽器の音では、Bメロで流れる鐘のような音が好き。

2番の「ただひとつだけわがままを言えるなら もう一度、逢いたい」はリディーとスールの母親への想いでしょう。運命を塗り替えて、宿命に向き合って、そして変わりだすエンディング…ゲーム内のとあるイベントを見てから聴くと、本当に素敵な歌詞だなと思います。

発売前から本当に楽しみにしていた曲ですし、公式サイトの試聴も何度も聴きました。こうしてフルコーラスを聴くことができて、歌詞に込められた意味を理解して、ますます好きになりました。

最後に注目したいのがDメロの歌詞、「私たちの見たい景色まで」。何かピンとくるものがありますね。前作のアバンオープニング曲の歌唱も山本美禰子さん、その曲名は…?

Beyond the fate

ストーリー中盤で戦うボス、雷の魔神ファルギオルとの戦闘BGMです。作曲は小高光太郎さん・ういにゃすさん。ボーカルは梶原ひろみさん。

アップテンポでとても格好良い曲です!バイオリンやピアノの優雅なメロディと力強い歌声で、まさにボス戦!って感じです。

歌詞はストーリーにかなり沿ったものになっていて、強大な敵に立ち向かう強い意志が伝わってきます。曲の後半、「何度も 何度も その色取り戻すから」から最後のサビに向かうところが大好き。

2番の歌詞、「だからもう1度 信じて欲しい 救いの手はそばにあるから」などは、かつてファルギオルと戦ったネージュに向けたメッセージなのかもしれないな…と思いました。

中盤の山場となるボス戦を盛り上げる、本当に熱い曲だと思います。

Prism

ファルギオル討伐後、街に戻った時に流れる曲です。作曲は阿知波大輔さん、ボーカルは柳麻美さん。

タイトルの通り、歌詞も歌声も楽器演奏も、全てがキラキラした曲です。未熟だったリディーとスールが、先輩錬金術士たちの助けを借りながら大切な街を救った、達成感と安心感が伝わってきます。「誰もまだ触れることのない 生まれたての世界を包むように」という歌詞が特にお気に入り。

幼い鳥が羽ばたいてゆく」という歌詞がありますが、音楽堂コメントによると阿知波さんはリディーとスールに「小鳥」というイメージを持っていて、フィールドBGMにも「ふたごの小鳥、草原に遊ぶ」などの曲名を付けられています。小鳥、青空、そして虹…そんな美しい景色を想像させてくれる曲です。

フルコーラスでは2番サビで入る、ボーカルメロディとの掛け合いのようなエレキギターが大好きです。ちなみにゲームバージョンは1番だけですがバッチリ入っています。ゲーム内で聴けないのはもったいないですからね!

柳さんのアトリエ参加が久々ということもあり、また阿知波さんの戦闘曲以外のボーカル曲も久々なので…本当に楽しみにしていた曲です。このタッグで作られる、こんなに爽やかで優しい楽曲を聴けたことに本当に感謝したいです。

やがて生まれ来るあなたに

ストーリー終盤、とある形で再会を果たした母親とともに絵の世界を巡るイベントで流れる曲。作曲は矢野さん、ボーカルは多田葵さん。

リディーとスールが産まれる前の、オネットの心情を歌った歌詞。とてもとても優しい歌です。

2人が幼い頃にオネットは亡くなってしまいますが、「どこかの世界で あなたのことを想っている」…まさにそうだったわけですね。

タイトルを見て、ゲーム発売前は「回想シーンで流れるのかな?」と想像していました。実際のゲーム内のイベントでは一家4人で様々な世界を見て回り、ロジェとスールが追いかけっこしていたり…オネットは家族と一緒に過ごしながら、リディーとスールが産まれる前のことや、これまでのことを思い出していたのでしょうか。

クリア後に読める「音楽堂」もしくはボーカルアルバムのブックレットに、この曲の収録に関するとあるエピソードが語られているので、是非そちらもご確認ください。

Filling the shade

ラストボス、黒き絵画の魔核との戦闘BGMで流れる曲。作曲は矢野さん、ボーカルは丘咲アンナさん。

絵の世界を黒く塗りつぶす存在に対峙する曲ということで…不気味さと怖れ、立ち向かう意志が同時に表現されたような曲だと思います。

深い闇、真っ黒な終焉…それでも「叶えることを諦めないから」まさにこの一言が、ボスに立ち向かうリディーとスールの気持ちなのではないでしょうか。

矢野さんが音楽堂コメントにも書かれていますが、前作・前前作の戦闘曲のメロディが混ぜ込まれているようです。分かりやすいのは「約束を 奇跡を」の後ろのコーラス、フィリスのアトリエの通常戦闘曲「蒼穹」ですね。あとはすごく気付きにくかったですが、「祈る言葉を塗りつぶす深い闇」の後ろにソフィーのアトリエの通常戦闘曲「雲雀東風」のメロディがあります。他にもあるかも…!?

絵筆と希望の唄

エンディングスタッフロールで流れる曲。作曲は矢野さん、ボーカルは熊木杏里さん。

私の印象として、「祝福」という言葉がぴったりの曲だと思います。母が住む絵の世界を守り、(エンディングによりますが)国一番の錬金術士としてこれからの日々を暮らしていくリディーとスールに。そしてゲームをクリアしたプレイヤーに。

願いの声が聞こえた気がしたんだ」「ひとりで悩んでた夢の探し方 君ならわかるかな」「想いを形にする 不思議な力があるから」など…ここまでプレイしてきたなら、たくさんの歌詞のフレーズが心に響くのではないでしょうか。曲調も明るく爽やかで、前向きな気持ちになれる曲です。

Colors

作曲は柳川和樹さん、ボーカルは茶太さん。インタビューで「聴くにはなかなか苦労するんじゃないかなと……。」と言われていましたが、それもそのはず、トゥルーエンドで流れる曲です。

この曲は、父親ロジェの視点で書かれた歌詞になっています。1番はリディーとスールへ、そして2番は2人とオネットへ。オネットに先立たれ、「ダメ親父」として日々を過ごしていましたが…娘たちとたくさんの錬金術士が起こした「奇跡」によって、物語はハッピーエンドを迎えます。リディーとスールの成長に、一番驚いているのはロジェではないでしょうか。

6/8拍子、アコースティックサウンドというまさに「アトリエ」らしい楽曲構成に、茶太さんの優しい歌声が合わさり、爽やかで希望に満ちた曲になっています。

親のもとを離れ、素敵な先輩錬金術士たちとともに。ふたりでどこまでも。素晴らしいエンディング、そして素晴らしい曲でした。

最後に

というわけで、今作のボーカル曲の感想を書いてみました!

ボーカル曲全体として思ったのは…どの曲も歌詞がものすごくストレートに、ゲームのストーリーに沿っているなと。流れる場面それぞれでの、キャラクターの気持ちが伝わってくる曲ばかりでした。

これからもボーカルアルバムでたくさん聴いていきたいと思います。本当に素晴らしい楽曲をありがとうございました!

そして、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。